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『最後の秘境 東京藝大 天才たちのカオスな日常』


#推薦図書

■「びびびっ」ときた本


なんだか分からないが、ある時本屋に行き


「びびびっ」と

きてしまった本を見つけた

だが

いつも通り、

「まっいいか、後で図書館であったら借りよう!」

と思って本屋ではスルーした。

思えば、今年はコロナのおかげで
暇があれば図書館で本を読み漁った年でもあった。

いつも通りに
なんとなーく

「どれ借りようか?」と書棚を


ぼっーーーーと眺めていたら

発見!

さっそく、はやる気持ちを背に図書館を後にする。

■藝大のイメージ

東京藝大のイメージと言うと
私の勝手なイメージと世間のイメージだが、

「知的」
「ハイセンス」
「非凡」
「音楽家」
「バリバリ、文科系の方々」
「セレブ」

などなど…

実際にこの本を読み思ったのは

半分はあたりで、半分は良い意味でイメージを超越していた。

だったらどんなところがイメージどおりで
どのあたりがイメージを超越しているのか?
というと

こんなところだ。

■音大生の衣装は自前が当たり前

少し前にテレビや漫画で音大を舞台にした
『のだめカンタービレ』が大ヒットした。
そのあたりをイメージして頂けると分かりやすいです。

ドラマで主人公 のだめがピアノのコンクールで身に着ける衣装は
毎回

高価そうなドレスだ。

あれは、ドラマの中だから毎回違う衣装が実現できる訳でもあるが

実際に音大生がコンクールで身に着ける衣装は自前なんです。

なぜなら
入学して1年生のうちにコンクール用の宣材写真を写真館で撮影する。
そのため、多くの学生がこぞって一兆頼のドレスやタキシードを購入。
実際に、潜在用写真がもとで卒業後に交響楽団にスカウトされるなどということもあるからです。

そうなると

さすがに、

『ファッションセンター しまむら』で購入

と言う訳にはいかない。

まぁー、買いたくても
そもそも売っていませんが‥


軽く見積もっても
1回で万単位はする。
さらに
コンクールが重なれば
毎回衣装は着回しするわけにはいかない。
そのため、1着だけとはいかない。

そう考えると
入学の時点で学費以外にも
衣装代や宣材写真代金がかかる。
さらに、特に女性の場合はオプションとして
メイク代金などの出費がかかる。

例えば、成人式で写真館に本格的に写真を撮ったことがある
女性やそれぐらいの年齢のお子様を持つ親御さんあたりならば
写真ワンカットにつきいくらか?
衣装はレンタルにしてもいくらかは
何となくお分かりであることでしょう。

■楽器を持っているだけでもハイリスク
やはり、女の争いはいつの時代も怖い。

そして、持っている楽器の金額が人によって

マンションの頭金か?

というレベルだ。

そのため、気軽に友人に

「トイレ行くから、ちょっと見ていてね」

という訳にはいかない。

下手するとライバルに

隠されたり
壊されたり
などということもなくもないとのこと。

藝大では
なぜか、かわいくてできる女性は
被害に遭いやすいというジンクスがあるそうです。
おー、これじゃー昔見た出ていた
「少女に何が起こったか」のリアル版みたいじゃないか…
(音大を舞台にして、一般家庭の出身の天才ピアニスト役の小泉今日子氏と生まれも美貌も才能も兼ね備えてセレブだけどちょっと性格に難ありの音大生役の賀来千香子氏の派閥争いのストーリーでした)

■卒業作品にかける情熱と金額は
創造を絶するスケール

のだめカンタービレのドラマの中では、女優の紗栄子氏も出演していた。
彼女の役は地方の一般家庭出身のコントラバス奏者でした。
そのため、バイトをして生活費を賄う苦学生の役でした。
実際に、音大生の中でも
代々音楽一家でセレブ家庭の者もいれば
そうでない者もいる。
何も、これは音楽専攻のものだけではない。
何かを創造して形にするアート系の学生でもそれはある。

中には、卒業制作作品にしようする材料に
何十万もする高額なものを扱うので1年生のうちから
コツコツバイトをして、家賃2万円代のレトロなアパート生活
ごちそうは、業務スーパーで購入するタレなし納豆‼

と言う学生までいる。

さらに、つわものになると
賃貸の家に雨を降らせるアート作品を作る学生がいたり
(※もちろん、大家さんには許可どりをしたうえで、引き続き事が済んだら元通りの部屋に直しています。)

マイノリティーの自分自身と世間に折り合いをつけ、昇華しながら創作活動をしている学生もいる。確かに、多数派からは理解されにくい生きづらさを抱えて生きるのはしんどいのかもしれない。そう考えたら、何となく感慨深いシリアスな内容も出てくる。

■藝大入試編
「えっ、音符に書き順なんてあったの?」

そして何よりも、驚いたのが
藝大の入試問題です。

ネタバレですが、

音楽専攻の問題ですが、音符の正しい書き順が出題された年がありました。

私も、幼少時代ピアノを少し習っていました。
しかし、楽典はやっていないので正直

「音符に書き順ってあったの?」

と衝撃を受けました。

さらに、
油絵専攻学科の入試会場は
重たい油絵の道具一式を担いで
自力で5階まで階段を登らないと
試験会場に辿り着けない場所にある
ということにも驚きました。

ちなみに、藝大では大物作品を作製することもあるので

通常の教室よりも、高さが軽く見積もっても倍はあるそうです。
そのため、5階だが10階に相当する高さなんです。

ある意味、入試もサバイバルだけれど
こんな難関が待ち受けていたとは
誰もこの本を読むまで知らないことです。

よって、油絵専攻は知力だけではなく
事前にアスリート並みの筋トレが必要ということが分かりました。

ある意味、これって東大入試よりも難関なんじゃないでしょうか?

良い意味で「非凡」でカオスな風土と個性的な方々だと思います。
そして、何よりも

恐れ多くも

ちょっとこの大学の文化祭をのぞいてみたくなりました。






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