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【感想90】トーク・トゥ・ミー

 従兄弟一家が富山にあるのもあって、帰省シーズンに災害起きた時のキツさをより一層印象づいた数日になると思う。
ギリギリで年始のあちこちオードリーが観れたのもよかったなあ、ていうのも実際に内容を見てもらえるとわかるかもしれない。ああいうセットも、演者のための一要素としては大事になってくるんだなっていうのがわかりやすく伝わる回だった。

他人に勧めやすい ★★★★★
個人的に好きか  ★★★★☆

 ここ数年のホラーの中でもかなりの傑作。見て損はないと思う。
1時間半とタイトな時間なのもあって、冗長なシーン一切なしでどんどんと嫌な気分にさせてくる描写とエンタメになり得る要素がバッサリと切り捨てられているところはホラーとして及第点を平気で越えてくる証拠として十分だし、ホラーが本当に苦手っていう人以外には見てほしい。

 SNSで流行っている動画の中にある、降霊術をドラッグ感覚で行うパーティをやるために母親を亡くしたミアが友達を巻き込んで開くのが発端になる。降りてくる霊はランダムと言いつつ、友達の弟ライリーに憑依したのがミアの母親だとミアが確信したところからどんどん事態が悪くなっていく。
ライリーがまだ中学生ぐらいなこともあって、高校生組でやっていた90秒厳守のルールを50秒にする、という条件付きでやっていたものの、母親と話せるというのに気付いたところでミアが50秒を超えても周りを止めて話し続けると… ていうのが話のさわり。

 上で書いたとおり、ミアの性格がかなりひどい。悪いとかじゃなくてひどい。
序盤では出てくる人物たちをいろいろと映しながら丁寧に前振りになる日常描写をしているけれど、母親を亡くしたとはいえかなり自分勝手な側面が目立ったり裏では快く思われていないっていうのがわかるシーンが差し込まれていたりと、ミア自体がそこまで成熟している人間じゃないことがプッシュされる。「めんどくせぇな」て思うような友達がそのままミアの性格、て言ったほうが伝わりやすいなって思う。

 しかも物語としては成長を促すようなポイントはあるものの、明確に成長できるような出来事が起きないっていうのが味噌になってくる。嫌われる性格の子が独断でどんどん降霊術に頼って判断していくんだから、そりゃあね…としか言いようがない結末に陥る。

 いろんなシーンで挿し込まれてくる、手を取り合う・握るところでも示唆されている通り、相互コミュニケーションについてが軸になる話だとも思う。
ミアが前向きになったり人として成長するような場面が起きないのも、周りがミアと話し合う姿勢を見せなかったり、唯一向き合おうとしていた父親はミアが向き合わなかったりと相互コミュニケーションを取れていたのが降りてきた霊以外にいないっていうのが大きくなる。それ以外でも手をアップにしたシーンは本作の降霊術で使うのが腕というのもあって、心理を表すシーンでよく使われているので出てきたら記憶に残るように注目してほしい。

 もともとスプラッター映画が人がやられていくのを見てスカッとする、アクション映画で求められるようなエンタメ性を求められているのもあって、スプラッターのイメージをもってホラー映画を見に来ました!ていう人が肩透かしを食らっている印象だけれど、ホラー映画としてマジでいい映画。
霊を憑依させるのに使う腕の出自とかも一切語らない、人間側により強くフィーチャーしているおかげで訳の分からないものに振り回されているっていうのが怖さをより増しているのがいいところ。出自とかの細かい背景ネタを明かされたら冷める性格っていうのが大きいかもだけど。
あとは『ミッドサマー』みたいに絵面のインパクトを重視した結果、周り周って面白シーンみたいな見られ方もされる中で現実味をより感じられるほど没入できるフィクション色の薄さのおかげで純粋に恐怖を煽るようなシーンないのも大きい。


 胸糞とかスプラッターとかのラベリングがいらない、純粋にホラーとして面白いなっていうのは久々なので見るのが遅くなったのを後悔するぐらい面白かった。それぐらオススメ。


 

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