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【感想42】BLUE GIANT

めちゃくちゃオススメされたし、逆張り発動抑えて行ったら大満足しながら帰ってた。そんな映画。

 仙台から上京した宮本大が日本で過ごした中で辿ったジャズとの道のりを描く2時間。
よく言われている音へのこだわりだけじゃなくて、音楽に負けない映像表現と演奏そのものへの尊敬の念が溢れ出ている。
シナリオは凝っているわけではないんだけれど、ストレートだからこそ演奏に乗せられるアツいメッセージがダイレクトに伝わってくるのがものすごく心地よかった。老若男女誰にでも勧められる、最高にズルいアニメ。



 主人公たち「JASS」の3人はそれぞれ専用の奏者が当てられているぐらい音楽には力を入れているので、とにかく聞いているだけでも素人耳でもハッキリわかるぐらいJASSの演奏の質が違うなっていうのが伝わってくる。
それに加えてソロパートの映像表現だったり、荒々しい動きを表現するためのCGシーンだったり、視覚的にもわかりやすく演奏の凄みを伝えてくる。
置いて行かれない人を作らないためだけじゃなく、退屈にならないシーン作りとして活きていたりと映画館のデッカいスクリーンで見る意義がより際立てられている。

 シナリオも(多分)10巻ほどあるシナリオを2時間にまとめているのでだいぶマイルドな仕上がりではあるんだけれど、この映画の強みにしている演奏シーンも交えてキャラの心境を視覚的に補助して理解しやすくしたりと丁寧に進めてくれる。
雪祈が初めて大のサックスを聴くときに、省かれたんであろう大のジャズに惹かれてから上京するまでの情景を大の演奏のみをBGMに展開させたシーンなんかは特にそう。雪祈の心情変化に説得力を持たせる、映像作品だからこその表現だと思う。


 こだわりの音楽にシンプルなシナリオじゃ、そりゃ人気になっちゃうなぁ…ていうのが正直なところ。多分『THE FIRST SLAM DANK』も同じ系統かもしれない。
いわゆるチープって言われがちなタイプのシナリオ展開でも、ラストシーンはいい音楽のおかげもあって胸を打たれるぐらいには感情移入しきっていたので本当にズルい映画だなと思った。
この映画でジャズが気になった人はディズニーシーのビッグバンドビート(スペシャルトリートじゃない方)を見に行ってほしい。日本で一番楽しくて最高なスイングジャズを見れるから。

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