預言交換局

われわれの神はフィクションです。実在の神仏とは関係ありません。

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最近の記事

祭りのさなか、任意の世界線を吸収・統合する空中サーカス

「パスコードを記憶しているか?」 「金魚すくい、林檎飴、 綿菓子、綿菓子、ヨーヨー釣り、だろ」 「違う  金魚すくい、林檎飴、焼きそば、かき氷、 射的、たこ焼き、林檎飴、 綿菓子、綿菓子、ヨーヨー釣り」 「そんなに食べられるかなあ」 理想家のための寓話 昔、 ひとりの理想家が天に召された 広場での演説の最中だった 生来熱に浮かされやすいたちだったが、 その夜は聴衆の興奮も相まって ついにおのれの浮力を制しきれなくなったのだ とり囲む聴衆の足もと

    • We are like the dreamer, qui rêve et ensuite vit à l'intérieur du rêve. Mi perdis vojon. ここは誰の夢だろう

      夜のとばりを下ろすのは 光呑みほす夢見主 修道院の中庭で 今宵のト書きが配られる 「お母さま、  わたくしはまだ眠たくないわ」 (すなわち出口はないのです 光のないのと同じこと) 「わがままを言ってはいけません  明日の朝も早いのですよ」 (そんなはずはない 私は昨晩 窓よりもれ出ずる 光を見たぞ) 時計はくりかえし 午前二時を指す 裏道から現れた老婆が 杖を道に叩きつけた (配られたのだ 誰かに 「光あれ」の 台詞が) 探せ 台詞を

      • 壊されていると同時に守られている踊り

        ヒュレーの海で踊る 踏みつけにしていたのは邪鬼ではなかった 花が咲くたび背骨が痛む ボキボキと音を立てあらぬ方向へ曲がる 手足は構わずリズムを刻む ヒュレーは攪拌され また花が咲く 悲鳴を上げようにも顔は どこか遠くを見ている 右足が波にさらわれ 左手が水底に沈む 背骨はS字に曲がり 顔はなお遠くを見ている それでも音楽は続く 踊りは決して終わっていない 「どれほどバラバラでぐちゃぐちゃで 取り返しがつかないように見えたとしても 踊りは今も守られて

        • カンブリア紀の独裁者

          サアサアどうぞ御覧あれ あれに見えるはカンブリア紀の独裁者 あわれ彼こそカンブリア紀の独裁者 彼の正義は不動の秩序 在りし日の対称性こそ彼の夢 ところがどうして 生まれる時代を間違えた 圧しても滅しても次から次へ 湧いて出てくる反乱分子 出てくるはずだよよく見て御覧 彼の敵とは他でもない 彼自身の可能性  現代人の身体は  大脳新皮質による一党独裁に陥っています  彼ら権力者は信じています  国家の転覆はすなわち  人格の崩壊であると ヤアヤアどうぞ御覧あれ あれに見

        祭りのさなか、任意の世界線を吸収・統合する空中サーカス

          種まく人

          今わたくしの庭で赤い実をつけております木も 元はひとつぶの種でありました 茶色くかたい ちっぽけな種でありました かたい皮の中で眠るのは 主語のない夢です (ロイコクロリディウムに寄生されたカタツムリが 光を求めて這うのを見ている) 夢は 降り立った土地の養分を吸い上げて 芽を出し 葉を出し 枝を伸ばし わたくしという主語を獲得しました 電話が鳴ります わたくしは受話器を取ります (ビッグバン直後の宇宙には対称性がありました) 公共性の高い間違い電話 木は 二度と再