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真剣に真面目になればなるほど一番大切なことを忘れる

もう、ずーいぶん前のことなんですけどね

悩める若いドラムさんに、質問をしたことがありました

あの、ドラムってどうすると音が出るのですか

そう聞くと、「例えばスネアだと、腕をこうして、こう構えて、そこで、スティックを振り下ろします」

ほー、それで、音が出るんですね
と、意地悪な私、スネアを横に移動して、はいどうぞ、振り下ろしてみてね

音はどう?

「って、スネア無くなったんで音出ないです」

でも、説明してくれた通りのことはできたよねぇ

「そうですけど、でも、スネアがないです」

そしたら、改めて、スネアの音を出すためには何が必要だろ?

と、いじわるはつづく

正しい振り下ろし方とか、スティックを構える方法、座り方、楽器との距離色々説明してくれましたが

なぜか、スティックをドラムのヘッドにぶつければ、音が出るという、ちょーシンプルな説明が最後まで出てきませんでした。

この、ぶつかるという現象が無ければ、永遠におとはでません。



時は経って

バイオリンを弾くかたに、どうすると音が出るのかを聞いてみました

「弓をこんな角度に当てて、圧力をかけて、動かします」

うーん、本当に絶対音出る?

やはりココでも理想的な構えや動かし方について説明してくださるのですが

毛を弦に当てて擦る

という、発音原理の説明は出てきませんでした。

ドラムさんもバイオリンさんも

ぶつけるとおとがでる
こするとおとがでる

と、聞いた瞬間に「あっ」
という表情をしたのが印象的でした。

歴が長くなってくると、当たり前過ぎることは忘れがちに

エーー、そんなの当たり前ですよー

と、思うようなことでも、一番最初に音が出るために必要なことなので、意識の中に置いておいた方がお得だと思うんです

ここぞ!という、緊張する場面で、ドラムを叩くために意識に上がってくること、バイオリンを演奏するために意識に上がってくることは、やはり、普段から意識においていることで、そこを正そうとしがちです

スティックがぶつかる、毛でこする
これが抜けていると、より一層真剣になったときに、予期せぬ空振り、予期せぬから滑りや、引っかかりすぎのギシッ、が起きたりします。

初めて楽器を持ったときに味わった
なーんもできないけど
とにかくぶつけると音が出てたのしー
とにかくこすればおとが出て楽しー
って思った頃のこと、思い出しておくとお得かも!ですねぇ!


うーーん、にしても、いじわる。

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