見出し画像

コロナ禍で考えたこと:生きる術としての芸術

緊急事態宣言の発出をきっかけにして、2020年4月中旬から5月末にかけてスウィングでもほとんどの利用者が在宅ワークをすることになりました。その判断が正しかったのかどうか……今でも分かりませんが、少なくとも当時は、迷いながらも―おそらく世界中の大半の人がそうだったように―「感染拡大防止」を最優先と考えたのです。

皆をバラバラにして、ひたすら家で過ごすよう強いることには申し訳なさもあり、方針を決めたときには涙がこぼれたのですが……ところがどっこい、ほどなく僕は「泣いて損した!」と思うことになります。

スウィングでは常日頃から世間一般で言うところのいわゆる仕事らしい仕事はほとんどしておらず、絵を描いたり詩を書いたりといった、対価度外視の芸術活動を仕事としている人が大半です。

驚いたことにこの芸術活動はコロナ禍であっても、在宅ワークでもあっても、ほとんどビクともしませんでした。

時をかける少女①

つまり在宅ワーク期間中もスウィングで過ごす時間とさして変わらず自由に絵を描き、詩を書き、それぞれに充実した時間を過ごしていることが段々と分かってきたのです。だって普段は過剰な情報や物欲に振り回され、感情の起伏も激しいあのQさんですら「今日は詩を書いて過ごした」なんて穏やかに言うんですから。

一体そんな、ウソみたいに文化的な1日を送る人が世界中に何人いるというのでしょう。

スウィングの多くの人にとって芸術が仕事というより日々の楽しみ、いや、ほとんど生きる術として身についていることを目の当たりにし、あらためて芸術の数字にはできない、けれどとてつもなく大きな力を再確認したのでした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?