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コロナ禍で考えたこと:犬犬犬ときて……猫! と暮らす

コロナ禍の中、奇しくも大きな時間的ゆとりが生まれ、自然を求めてせっせと花を育てはじめたわけですが、次第にもうひとつの、かつて一度も抱いたことのない思いがムクムクと育ってゆきました。

それは(人間目線で)もっと生々しい自然、命と共に暮らすこと、具体的に言えば犬と暮らすことです。

新しいことにチャレンジするのが苦手な僕にとって、これは自分でも驚くような展開だったのですが、せっかく芽生えたこの気持ちを大切にし、なんとか現実にしたいと思いました。

かつて実家で犬を飼っていたせいもあってか昔から犬派。インターネットで調べたり、犬センパイから話を聞いたりしているうちに益々犬と暮らす毎日への憧れは強くなってゆきました。

その一方で「犬と暮らしたい人間がまんま犬と暮らすのはつまらないな。ダイナミズムがしょぼすぎるな」なんて考える、少々ひねくれたもうひとりの自分がいました。周囲には猫センパイも多いのですが、これまで不思議と猫に興味を抱いたことはありません。でも、犬犬犬ときて……猫! って引っくり返るほうが面白い! 断然生きてる! と、そんな妙な気持ちが心の奥底にあったのです。

けれど、とりわけ保護された犬猫のサイトをのぞいてみると「あなたは一生、この命と暮らす覚悟がありますか?」なんて怖ろしい言葉が踊り、とてもじゃないけど「犬犬犬ときて……猫!」なんて言っていられません。とにかく犬に集中! とさらに情報収集を進めてゆきました。

しかしながら保護犬にアタックするには保護団体の思いが重すぎ、ペットショップの犬を飼うのにはなぜだか気がひけます。ならば、と行けそうな範囲のブリーダーにアポを取るのですが、どうにも上手くゆきません。この子! と決めても同じように決めた人は大勢いるらしく、「売買契約が成立しました」という連絡が続きます。なんというか値段も手ごろで可愛らしい犬にはそりゃあ人気が偏るなあ、でもそれってどうなんだろう……なんて複雑な気持ちに包まれるようにもなりました。

ルルちゃん1

そんな中、出版社「さりげなく」を主宰する稲垣かの子さんから「最近『魔女の宅急便』を見て感動した」と聞きました。

僕も大好きな映画だからDVDを持っており、さっそく影響を受けて見てみると、そこにはあの有名な黒猫ジジがひょうひょうとした様子で大活躍しています。

時を置かずして、離れて暮らす息子とDVDを借りに行くと、『ルドルフとイッパイアッテナ』という、かつて2人で一緒に見た(そして僕が子ども時代に本で読んだ)アニメ映画をまた見たいといいます。主人公ルドルフはまたしても黒猫。

そのとき遂に、ごくごく自然に引っくり返ったのです。

犬犬犬ときて……猫! それも黒猫一本!!

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すると、こう肚を決めて3日も経たぬうちに、不思議なことに黒猫保護情報が(僕の決意は何も知らないはずの)井﨑敦子さんから寄せられ、ああ、これはもう、運命的な必然的なアレだなと思いました。

優しすぎるヤマザキさんという方に保護されたその仔猫(♀)にさっそく会いにゆき、その場でもらい受けることを決めました。

魔法使いのような名前にしたいと思い、「ルル」と名づけました。

ルルが生まれておよそ半年、いっしょに暮らしはじめて4ヶ月になります。

おちこむこともあるけれど、ぼくもルルもげんきです。


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