『名古屋のたこ焼き』こそ元祖たこ焼きの系譜を受け継ぐ『正統派』だった話
驚きの新事実です。なんと、『名古屋のたこ焼きこそが元祖の味を連綿と受け継ぐ、昔ながらのたこ焼きである』と判明しました!
こんにちわ、こんばんわ。作家兼名古屋めし料理家のSwindです。
本日11/29放送の東海テレビ・ニュースOne「スギヤマ探偵社」のテーマは「名古屋たこ焼きの謎」について。最近話題の名古屋たこ焼きについて改めてしっかり調査しようということで私もロケに同行させていただきいろいろと検証させていただきました。
その結果飛び出たのが判『名古屋たこ焼きこそ正統派たこ焼き』説。ということで、番組でお話した内容にさらに補足しつつ、改めて説の立証を試みたいと思います。
そもそも『名古屋たこ焼き』とは何か?
本題に入る前に、まずは『名古屋たこ焼き』とはなんぞやというお話から。『名古屋たこ焼き』という言い方はここ最近の呼び方ではありますが、名古屋では昔から以下の3つの特徴を持つたこ焼きが日常的に親しまれています。
その他には『カリッと焼き上げられている』や『トッピングの鰹節や青のりがあまり使われない』などもありますが、この辺りはお店ごとの個性もあるので大まかに言えば1~3が揃っていることが『名古屋たこ焼き』の特徴と言って良いかと思います。
番組でご訪問もした「さく蛸」さんの『名古屋焼き醤油』もまさに3拍子揃った名古屋たこ焼きです。
名古屋を愛するTwitterアカウント「おいでよ名古屋」さんのサイトでたこ焼きカテゴリーを見てみても、たくさんの『名古屋たこ焼き』が見つかります。
元祖たこ焼きにソースがない!?
一般的には『ソース』が主流のたこ焼き、なぜ名古屋では『醤油味の素焼き』になったのかを深く掘り下げたことは今まで行われていませんでした。
しかし、番組スタッフの方と一緒にそのヒミツを探っていくと……とんでもない事実が判明します。
なんと「たこ焼きの元祖は醤油味の素焼き」だったんです!
会津屋さんのラジオ焼きから誕生した『たこ焼き』。今でも原点の味をそのままに、ダシと醤油で味付けした生地をそのまま素焼きの形で提供されています。これは名古屋たこ焼きと同じ特徴ですね。
そしてもう一つの共通項が会津屋さんのたこ焼きも『小玉』であるということ。その証拠となるのが料金表で、会津屋さんのたこ焼きは「12個500円=1玉41.7円」とかなり単価が安くなっています。名古屋たこ焼きの『さく蛸』さんも10個400円=1玉あたり40円とほぼ同単価ですね。
ちなみに大阪のたこ焼きをざっと調べてみると、お店によってばらつきはあるのもの、大きさに概ね比例するように1玉あたり50~80円のところが多い模様。 小玉だから1人前の個数が多めになる傾向も会津屋さんと名古屋たこ焼きの共通項と言えるでしょう。
ということで、「醤油味の素焼き」で「小玉」という、名古屋たこ焼き三大特徴のうちの2つまでが一致。見た目的にはほぼ「名古屋たこ焼き」そのままということで、会津屋さんの元祖たこ焼きスタイルを名古屋たこ焼きがしっかりと受け継いでいることがここで判明しました!
ちなみに会津屋さんではこんなお話も聞けました。
昔のことなので記録などは残っていませんが、少なくとも名古屋にはかなり早い段階でたこ焼きが伝わっていたのは間違いなさそうです。
ちなみに会津屋さんのたこ焼きにはキャベツは入らないとのこと。ここは名古屋での独自進化のようです。
あの有名名古屋めしが「名古屋たこ焼き」を生み出した遠因に!?
さて、そうなると俄然気になるのが『大阪ではソースたこ焼きが主流になったのに、なぜ名古屋のたこ焼きは醤油味の素焼きのまま残ったのか?』ということ。今回はそのヒミツについても綿密な検証を行いました。
様々な角度の検証の結果、重要な鍵となったのが『名古屋と大阪のソースの違い』でした。
今ではたこ焼き専用のソースがたくさん販売されていますが、元をたどるともともとは「とんかつソース」だったとのこと。とろみのあるとんかつソースは大阪で生まれたと言われており、大阪ソース文化の要ともいえる存在です。会津屋さんでも戦後に誕生したとんかつソースを普及させるべくソースメーカーがたこ焼き屋に売り込んだという話をお伺い出来ました。
一方名古屋でソースといえばご存じ「こいくちソース」。旨味成分が多く、さらっとしたソースが好まれています。
一口にソースと言っても全く異なる二つのソース。もしかしたらここに違いがあるのでは無いかと、実際にたこ焼きに塗って検証してみました。
すると……?
結果は一目瞭然。「名古屋のこいくちソースはたこ焼きとの相性が良くない」と言わざるを得ない結論となりました。
とにかく名古屋のソースはさらりとしすぎていて、上にソースを塗っても馴染まないんです。無理矢理塗りつけても真っ黒に染まっていくだけで、その割にたこ焼きを食べて見てもソースの味があまり感じられませんでした。見た目にも美味しそうにはならず、味もいまいち。これではソースを塗ろうという発想にはなりませんね。
一方の大阪のソースは、まず塗る段階でしっかりとたこ焼きにのってくれます。見た目にも照りが出て何とも美味しそうですし、味はもちろんバッチリ!たこ焼きにたっぷりとソースがのるので一体となった味わいが楽しめます。
また、大阪のとろみのあるソースを塗ることで鰹ぶしや青のりといったトッピングも風に飛ぶことなく納まります。その意味でもとろみのある大阪のソースはたこ焼きにきっちり合う、だから大阪ではソースたこ焼きが広く親しまれるようになったんだと思われます。
一方「こいくちソース」文化圏の名古屋では、「大阪ではたこ焼きにソースつけてるよ~」と言われても、手元のこいくちソースをかけただけではピンと来ない。なら今まで通りのたこ焼きでええがね~、となって昔ながらの「醤油味の素焼き」のたこ焼きがそのまま残った。これが今回のロケ同行で得られた「名古屋たこ焼きの真実(ただし、Swind説)」でした。
ちなみにちなみに、なぜ名古屋では「とんかつソース」が広まらなかったのか。それはもはや調べる余地もありませんが、一つの仮説としてある名古屋めしの存在があったからでは……と思い浮かびました。
それがこちら。
THE名古屋めし「みそかつ」ですね。名古屋ではとんかつにはソースではなく味噌をかけますのでとんかつソースの出番はなかった。そしてもともと旨味成分が強い調味料を好む土地柄でもあったため、ソース=こいくちソースの文化圏となった……という理屈が浮かんできます。もちろんこれはあくまで仮説、しかしあながち間違ってない話かなとも思います。
そう考えると、名古屋では「味噌カツ」があったからとんかつソースが広まらず、結果として名古屋たこ焼きが醤油味の素焼きで残った……まとめると「味噌カツがあったから、名古屋たこ焼きが元祖スタイルのまま残った」といえるのかもしれませんね(笑)
ということで、改めての結論です。
「名古屋たこ焼きこそ、元祖たこ焼きスタイルを受け継いだたこ焼きである!(ただしキャベツは入れた)」
多く名古屋人もあまりに身近すぎて気づいていなかった名古屋たこ焼きの真実、これを気にぜひ多くの方に知って頂ければうれしいです。
それでは今回はこの辺で失礼いたします。
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