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言葉のチョイスで知的さを、終わり方でユーモアを「泉下の先生も定義に困っていまいか」

中学生の頃、朝日新聞の「天声人語」を読むのが好きだった。
誰が書いたかわからないが、文調を好んで読んでいた。

中学生の私は、朝ごはんを食べながら新聞をこんな流れで読んでいた。
まず、一面。気になるタイトルを眺める。
う〜ん、ない。あ、今日の天声人語は何かな。ふむふむ…
よし、TV欄。さっと見て終わり。そんなにTV観ないのよ。
続いて社会面。ここはじっくり読む。なぜなら、当時は一番自分に近い情報が載っていたから。

でもさ、中学生の私よ。天声人語を読むところまでは良いと思うんだ。
でもさ、経済面を読んでおいてよ。
今ならそう思う。

さて、そんなこんなで天声人語が好きだった私は、最近は浮気をしている。
最近は経済新聞の「春秋」を読む。

つい先日、デジタル通貨について書いてあったのだが、書き出しから終わりまで筆者のセンスと心地よいリズム感で読んでいて楽しかった。

書き出しは、通貨を定義したマルクスに呼びかけていた。

「マルクス先生、19世紀に資本主義を分析し、こう喝破した。」
マルクスを先生を呼んで始まるのがなんとも面白い。
そうして、現代のデジタル通貨の説明があり、終わりはこう締める。

泉下の先生も定義に困っていまいか

ここでまた、「泉下の先生」という知的な表現と、「困っていまいか」というリズムの良い終わり方。

終始、著者のペースに呑み込まれた時間だったが、心地よかった。
そんな文章を書いてみたいものだ。

気になる言葉、魅力的な言葉を集める共同マガジン「コトバツムギ」を始めました。共同運営者は以前ライティングスクールで一緒に学んだもりやみほさん。月~金までのうち、私は火・金を担当しています。

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