ベンチャーが集まるエストニアという国で見た産物
本日は、お手伝いさせていただいているスタートアップのいちメンバーとして記事を書きますね。
といっても、こういう記事って上から読む人はあまりおらず、かいつまんで読みたいと思いますし、長文大作ですから、好きなところから好きな情報だけ読み逃げしてくれて構わないですよ!
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クリエイターたちのモチベーションに、無料の仮想通貨を投げ銭する感覚で。
estieについて。
少し前から、estieという不動産業界のスタートアップにて、エンジニアとしてお仕事させていただいています。
中の人である私が言うのはアレですが、みなさん優秀で羨望の眼差しです。
私のことを良く知る人は私が物事を俯瞰して見る癖があることはご存知だと思いますが、estieはスタートアップとして最低限必要な要素が揃ってるよな、と思うばかりです。(要素については、起業の科学とか巷の本を漁ると出てくるよ。)
ということで、今回はスタートアップをテーマに書きます。
私とテーマについて。
まずは、Qiitaから来た方は私が誰だかわからないと思いますので、私に想いを寄せてもらうためにも少しだけ私のお話を。
突然ですが、本日12月8日は私に生命を与えてくれた母の誕生日。
御年68歳になる母は、日本から少し南の国・台湾から約30年前に来日しました。
そのおかげもあり、年に1度の帰省の度に、小さな私はパスポートを掲げて飛行機を利用していました。
とはいうものの、パスポートの税関スタンプはどのページも台湾と日本ばかりで、彩のないページに虚しさを覚えた幼少期でした。
ところが、英語系の学科が花形の某大学に進学したことをきかっけに、自分のspeaking能力のなさに焦り、振袖に使う費用を英国への留学に充てるように親に懇願しました。それが、人生で初めてアジア圏を脱出した時でした。
その時観た風景や文化、人の違いなどの多くの感動がきっかけで、それ以来、お金を貯めては興味ある国を訪ねるようになりました。
そんな私の行きたい国リストに、ずっと、そっとおとなしく息を潜めていた国がありました。
それが、エストニアです。
友人の後押しもあって、出発の前日に全ての旅のあれこれを予約し、パスポートを掲げて出国しました。
この時のパスポートの税関スタンプページは、華やかであることはご想像に容易いですかね。
旅の工程は、バルト三国を南から北上し、最後にスウェーデンに1泊だけ寄り道するというもの。
一番の楽しみは、ベンチャー大国と言われるエストニアの現実に少しでも浸ることです。あ、それから、向こうの広い公園で読書すること。
(エストニアを含むバルト三国の旅に関しては、note記事を書き溜めしているので企画が固まるまでお待ちください。)
学生の頃からベンチャー起業や発想力・創造力といった分野にアンテナを張っていましたが、ようやく遠回りして戻って参りました。ということで、巷ではITベンチャー大国だと言われるエストニアで観てきたこと、書きますね。
エストニアという国と歴史と巷の噂
みなさん、エストニアという国を聞いて、世界地図のどの辺に位置する国かぱっと思い出せますか?
…
安心してください。私はロジックの無い"まる覚え"科目の地歴(倫理政経含む)が苦手で、学生時代はバルト三国を正しく言えませんでした。
今は、google先生が何でも教えてくれますので、わからない方々はもうググってますよね。
ムーミンの国フィンランドをはじめとする北欧の国々の南に面した、バルト海を挟んで南にエストニアはあります。バルト三国は上から、エストニア・ラトビア・リトアニアと並んでいて、エストニアとラトビアを合わせた形は、青森県みたいな形をしていますよね。
歴史には疎いのであまり深入りしませんが、バルト三国は独立して約30年ほどしか経っていません。それまで、旧ソ連に翻弄され続ける国でした。
国民の独立精神が最高潮に達した30年前、人々で作ったバルトの道で独立を主張します。
晴れて独立国家となったバルト三国のうち、最北のエストニアは今やIT大国と言われるようになりました。ネット上では様々な見解があちこちに飛び交っていますが、どれもこれも曖昧…。
実際にどんな国なのか観てみたい、現地の人に話を聞いてみたいという一心で旅しました。
現地で参加したベンチャーツアー
今って、旅行に関するサービスが溢れていますよね。
個人的には旅行会社が用意するツアーに興味がなく、ローカルな人と触れ合いたいのでそんなサービスがないかを探していました。
そんな中見つけたサービスがこの二つ。
・like A local
・トラベロコ
どれも現地に住む人に、ツアーしてもらおう!というサービスです。そのうち、後者は現地在住の日本人が案内するという違いがあります。
私は両方とも利用しました。結局、契約までたどり着いたのは前者のエストニアでのベンチャー企業ツアーでした。
とはいっても、後者のサービスでエストニアの現地の方とやり取りする中で「最近は、ベンチャー企業訪問を、一種のアクティビティのように考えて来日する人や企業が多い。なので、明確な商談がないのであれば基本的にはお断りする。」というご意見をいただいていました。そりゃそうですよね。
ですから、前者で契約したツアーも、半信半疑という気持ちで投げ銭しました。
ツアーのホストは、実際の起業家・CEOの方でした。
ラッキーなことに観光の繁忙期でなかったからか、参加者は私一人。ということで、聞きたいこと聞いて、ランチもして、エストニアでベンチャーを立ち上げた人を紹介しよか、なんて話もしてくれました。
彼のツアーはこんな感じ。
・自己紹介、彼の会社の簡単な説明
・エストニアの簡単な歴史
・エストニアの主なベンチャー
ついでに私は、エストニアeIDカードについても聞きました。eIDカードとは、日本のマイナンバーカードのそれで、エストニアでは基本的に全てをこのカードで管理します。このカードを持つ人であればアクセスできるサイトを彼に見せてもらったところ、次のような項目を管理していました。
・個人情報(氏名、年齢、性別、家族、出身、学歴、職歴…)
・エストニア語レベル
・通院経歴
・車や船を含む資産
・起業手続き
通院経歴まで管理されているのか!と驚きましたが、これはこれで孤独死の早期発見とか、色々なことに使えそうですね。
一方で、注目したいのは最後の起業手続きです。
エストニアでの企業は安いし簡単!と聞いていたものの、こんなに気楽に申請できるのかと驚きました。
今はfreeeが似たようなサービスを出していますが、民間が介していない政府が管理している情報だけで、それも数万円で起業手続きが終わる。お洒落ですね!
現地で出会ったCEOと可愛いスタートアッププロダクト
エストニアを旅していて感じたことは、IT大国と言われていても、街全体を上げてITを推進している雰囲気はありませんでした。(後に書く空港でのプロモーションは別です。)
しっかり観光地の雰囲気を守り、綺麗なヨーロッパの街並み・旧市街を楽しめる雰囲気でした。なんだ、思っていたよりもITで作る未来は現在に近いものなんだな、なんて思いながらお土産を探しにワインのお店に入る。
そのワインのお店の試飲スタイルが画期的で眺めていると、カウンターで飲んでいる中年(といっても、ダンディな素敵なおじさん)に話しかけられました。
とりあえず、隣で飲みながら話をしていると、彼はフランスからやってきてエストニアでベンチャーを立ち上げたという。仮想通貨産業に属していると。
こんなにもあっさりCEOと出会ったので、思っているよりそこら中にスタートアップのCEOはいるのかもしれない、と思いました。
さて、エストニアのスタートアップでホットなプロダクトにどんなものがあるかとツアーのオーナーに聞いてみました。
それは、路線バスで30分くらいの科学大学の付近にあるから見てみると良いと言われ、向かいました。
旧市街付近から離れたからか、閑散としている街並にこの辺だよなあとキョロキョロしていると。いた!
STARSHIPのこの子はUber eatsのロボット版。こうやって蓋を開いて荷物を入れて、指定の場所まで運んでくれる。
何がすごいかって、この子、歩道を器用に走るんです。センサで360度の動きを感知して、トラックが来るとわかると止まるんです。
そっと、センサに見つからないように追跡していたら愛着が湧いてしまいましたよね。それと、ホームページのタイトルにあるロゴも可愛い。
時間さえあれば、会社に突撃訪問したり、近くの技術大学の研究室を探索したりしたかったのですが、後ろにバレエ『白鳥の湖』を観賞する予定を入れてしまったので断念!残念!
他にも様々なスタートアップサービスを教えてもらいましたが、やはりIT系のサービスが多い印象でした。
国を挙げてスタートアップを支援するエストニア
さて、先ほどのeIDでも触れたように、エストニアでは政府が管理するサービス内で簡単に起業申請ができます。ものの2,3分!(わお。
それでも、街中ではスタートアップを前面に出すような雰囲気はありませんでした。
と思ったら、空港は前面に押し出しているじゃないの!
小規模の空港でしたが、世界最大のハブ空港であるドバイ空港の背伸びしたようなリッチでラウンジのような空港ではなく、温かみのあるお洒落な空間でした。その一角に、エストニアのスタートアップ支援や、eID、教育などを紹介するスペースがありました。
一見、ただの休憩スペースのようですが、天井からぶら下がるVRメガネを通して、スタートアップ支援のこと、eIDのこと、教育のことを知ることができます。この、国について紹介するスペースに、スタートアップ系の情報が含まれているということは国も推しているということだろうな、と。
あとは、こんな感じで来たよ!と名刺を置いていくスペースも。
他にも、ヨーロッパのスタートアップコミュニティに参加していたり、エストニアスタートアップ企業の情勢リストが整備されていたり…
めちゃくちゃスタートアップに力入れてるなあ!と思いました。
おわりに私が想ふこと
エストニアにスタートアップやベンチャーが多い由来は、国の規模感や、独立したタイミングがあったからこそだろうと思います。
独立から30年とはいえども、国自体がスタートアップ。そんな印象でした。
今回のバルト三国の旅を経て、やっぱりテクノロジーの産物って面白いものがあるよなと、久しぶりに学生時代のワクワク感を思い出しました。
だからこそ、私はテクノロジーに関わる仕事をしていたいのだと思います。
加えて、学生時代から私は技術者、テッキーな人を心から尊敬している。
私も母校でプログラミングの授業を受け持っていたりしますが、プログラミングの教育も大切。でも、それが必要だからやるのではなく、憧れる職業となっていくことも大事だなと思います。
まだまだ日本は技術者が尊重されるような仕組みができていないけれど、アメリカを見習って技術者がより尊重され、憧れる職業であると素敵な世界だなあと思います。