「トレードマーク」とは何ですか？
小さな会社のビジネスプロデューサー・弁理士のヤマダP（@sweetsbenrishi）です。
商標登録の仕事をしていると、色々な相談が持ち込まれます。中には勘違いで相談してくる人もいます。
そんな勘違いの中から、他の人も同じような勘違いをしているんじゃないかと思うものについて解説していこうと思います。
今日は「トレードマーク」について解説します。
▶「トレードマーク（TM）」の意味
今日、一人の女性が商標について相談してきました。かなり慌てている様子...。
「●●●（彼女の会社の屋号）」でトレードマークを取っている会社があったので、慌てて相談しました！
「トレードマークを取られた」と言っています。
はい。ちょっと勘違いをしていますね。解説していきましょう。
「トレードマーク（trademark）」とは、「商標」のことです。
商売上の標識だから商標と言います。具体的には、商売をする際に、自分が製造販売する商品、自分が提供するサービスに付けて使う文字やマークのことです。
例えば、パソコンに付いているリンゴのマークも商標ですし、ネット通販のサイトに表示されている「amazon.com」という文字も商標です。
この「トレードマーク（商標）」という言葉には、商標登録をされているとか、商標権という意味合いは含まれていません。商標登録されていない（商標権を取っていない）ものも「商標」なんです。
「トレードマーク」は権利という意味合いがないので、「トレードマークを取っている」という言い方はおかしいんですよね。商標登録を取っているとか、商標権を取っている、と言うならわかるんですが。
商品名に「TM」というマークが付いているのを見たことがありませんか？ あれは「トレードマーク（trademark）」の略なんです。彼女はその事を言いたかったようです。
でも、「TM」マークは、「この商品名（サービス名）は商標として使っていますよ」という宣言のようなものです。特に法律的な意味合いはありません。
言い換えると、商標登録されていない商標、商標権を取っていない商標にも「TM」マークを付けることができます。だから、誰かが商品名やサービス名、会社名などに「TM」マークを付けて使っていたとしても、その名前を使っちゃいけないということはないんです。
▶「®（マルアール）」の意味
一方、商標登録されていることを示すマークが「®（マルアール）」です。「®」は、「Registered（登録されている）」の略なんです。
「®」が付いている商品名やサービス名は、商標登録をしていますよ、商標権を持っていますよ、ということを示しているわけです。
商標権は独占権ですから、商標権を持っていない人が勝手に使うと商標権侵害となります。
裁判で訴えられると、商標の使用を中止するよう求められたり、損害賠償金を請求されたりしますし、商標権侵害は犯罪なので、十年以下の懲役、千万円以下の罰金の一方または双方を科されるおそれもありますので注意しないといけません。
では、「®」が付いている商品名やサービス名は絶対に使ってはいけないのか？と言うと、必ずしもそうではありません。
商標登録はその商品名やサービス名を使いたい商品やサービスを指定して登録するシステムになっています。同じ名前でも商品やサービスが似ていなければ、商標権の範囲には含まれません。即ち、その名前を使っても良い場合があるということです。
▶「トレードマーク（TM）」はどんな時に使われるのか？
では、「TM」マークは、具体的にはどんなケースで使われるんでしょうか？
例えば、以下のようなケースが考えられます。
① 商標として使っていると言いたいだけ（商標登録の出願をしておらず、商標登録も受けていない）
② 商標登録の出願はしているが、まだ審査中で商標登録されていない
③ 商標登録の出願はしたが、商標登録を認めてもらえなかった
前の項で、「TM」マークを付けて使っている人がいても、その名前を使っちゃいけないということではない、と言いました。
しかし、②のケースには注意する必要があります。
今はまだ商標登録されていないけれども、将来的には商標登録される可能性があるからです。
▶まとめ
今日のまとめです。
● 「トレードマーク（trademark、TM）」は「商標」のこと。「商標」には、商標登録されていない（商標権を取っていない）ものも含まれる。
● 「®」は、「Registered（登録されている）」の略。商標登録をしていますよ、商標権を持っていますよ、という意味。
● 「TM」マークが付いている場合でも、将来的に商標登録される可能性もある点に注意する。
皆さんにも今回のような問題が起こるケースはあると思います。
ヤマダからのアドバイスは、
「まず、落ち着け！」
「近くの弁理士にアドバイスを求めよ！」
です（笑）
一人で考えていると不安になるだけです。専門家に聞けば、客観的な視点から的確なアドバイスをしてくれるはずです！
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では今日はこの辺で。
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