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冬の図書館から南国へ

冬の冷たい息吹が窓ガラスを白く染める中、温もりに満ちた図書館でカメは時を忘れて物語に心を委ねていた。帽子や手袋といった冬の装いは、彼の横に静かに置かれている。そんな彼の元に、震える声で「寒い、寒い、寒い」と囁くウサギが現れた。

「こんなに寒いと心まで凍ってしまうわ。暖かさで氷を溶かして欲しいの」とウサギはカメに切望した。カメはゆっくりと顔を上げ、「沖縄の本は分類番号291.9の書架に、ハワイの本なら分類番号297.6の書架にあると思うよ」と提案した。

しかし彼女の眼は凍りついたままだった。「本の中の温もりでは足りないの。私が求めているのは、南の島で感じられる暖かい風。そこの息吹なの」と訴えた。しばらく考え込んだカメだったが、「それなら、南の島へ行くしかないね。それがウサギさんの探し求める答えだね」と微笑んだ。

カメの言葉にウサギは内心で歓喜しながらも、外見は落ち着きを保ち、「それでは、早速予約を」とスマホで旅行会社を検索し始めた。窓の外の寒さとは裏腹に、彼女の心は心地よい南風で温められていた。

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