【小説】うたかたも続けば同じ夢
終電間近の心斎橋で境田爽とすれ違った。
四年ぶりだった。
ビルの煌めきが本当は果てしないはずの暗闇に勝っていて、その谷間を土曜の開放感たちが行き交う。
なんとなく視界に入ってきた。三度目のチラ見で確信した。咄嗟に「爽ちゃん!」と呼びたくなって、蓬莱夏樹は閉口する。あの頃の境田が身に付けていたものなど、もうどこにも残っていないように見えた。キミの知らない時間を生きてきました、と言わんばかりに前を向いて笑う境田の隣には、やたらシュッとした男がいた。
上品な嫌味でも言いそうな顔をし