月一開催のごはん会。
Rくんがまたもうちに忘れ物をしたことで、サングラスの一件再来か!?と思われたのだけれど、そんなに甘くはなかった。
ネックレスはサングラスよりはるかに優先度が低かった。
よく考えれば、彼が何かを忘れて帰るなどいつものことで、彼の目にとってサングラスが必要不可欠であるだけだった。
取りに来ることなく、Rくん・妹・妹の夫(Tくん)・私の4人でのご飯会の日になった。
定期的に行われるこの会が、私にとって本当に大切な時間だ。
2週間ぶりに顔を合わせたRくんは、ツーブロックがだいぶ伸びていた。
フワフワドキドキしながら「ひ、久しぶり!」と言った私に、Rくんは「よ!おれたち最近よく会うね!」と言った。
久しぶりやろーが。
私の久しぶりが行き場なくしとるやろ。
妹に見つかると話を蒸し返されるので後で渡そうと思っていた私の前で、Rくんに「ネックレス忘れたの匂わせ?(笑)」と意地悪をする妹。
「そだよ、気付いちゃったかー」と笑う彼。
「へぇー余裕じゃん!ベッドで何したかお姉さんに話してごらん!?」
「えーどこにお姉さんがいるんだろー?おれには見えないなー」
「あっおまえ!どこに目付けてる!お姉さんですと言えー!」
妹の意地悪を簡単に躱しながらも場の空気を悪くしないのは、Rくんのコミュ力の高さ故だ。(いつも妹がごめん。)
ケラケラ笑う陽キャ2人のコントを、微笑ましく見ているだけの陰キャ2人。(Tくんと私)
Tくんが「仲良いよなぁ。」と呟いたことで、やっと静かになったRくんが苦笑いしながら「毎日たいへんすね。」と言って、陰キャ2人はやっと大笑いした。
ご飯を食べながらの会話は、殆ど妹&私、Tくん&Rくんだった。
私もRくんと久しぶりに話したかったのだけれど、Tくんが離さない。(笑)
2人はとても仲が良い。
RちゃんTちゃんと呼び合っている。
妹が、Tくんはこのご飯会で私よりRくんに会えるのを楽しみにしていると言っているし(まぁいいけれど。。)
Rくんは、妹と会う時はTくんも来ないのかと必ず聞く。
Tくんは落ち着いているタイプだから、落ち着いていないRくんに疲れないか心配していたのだけれど(笑)、初めて会った日の帰りの車内で “Rくんはすごくいい奴で馬が合う” と喜んでいたと妹から聞いて、私も嬉しかった。
今日もお酒が入っていつもよりお喋りになったTくんが、「おれはRちゃんを本当の弟だと思ってる。」と言った。
Rくんは真顔で「おれは姉さん(妹のこと)の本当の旦那さんだと思ってます!」と返して、Tくんが「なんでやねん!本当の旦那って、そりゃそうだよ!」と言って、二人で笑っていた。
仲良いなぁ。(笑)
いくらお酒が入っているからといって、大人しいTくんになんでやねんと言わせるRくんはすごい。
人に心を開かせる才能があると思う。
食事の後でしばらく話していると、Tくんが「Rちゃんは来るもの拒まず、去るもの追わずだよね。」と言った。
妹も「わかる、執着とか無縁そう。」と言って、私を見る。
…えぇ、執着の強い姉ですよ。。
するとRくんが「え。来るもの拒んで去るもの追わずですよ。」と言う。
妹が「冷た。」と言って皆んなで笑う。
確かに、と笑っていたRくんが、「去っていくものはそれもまた縁だから、基本は追わないけど。本当に無くしたくないものは、どんなにダサくてもおれは追いますよ。」と言った。
一瞬の沈黙の後、Tくんが「モテるのわかる気がした。」と呟いた。
私が彼を好きな理由の一つは、正にこれだ。
確かにRくんは執着しない。
人にも物にも。まるで執着がない。
来るものは拒んでいないように見せるのが上手なだけで、しっかり拒んでいるのも本音だと思う。
けれど彼は、数少ない本当に大事なものはとことん追う。
ダサいとかかっこ悪いとか、そんな小さいことは気にしない。
俺が大切なものは手放したくないのだと、彼は一生懸命に伝える。
男女関係なくこれをする。
“そこまでやってダメならそれもまた縁” なのだ。
そしてもう追わない。執着はしない。
「皆さんこれがイケメンですよ!と言いたい。」と、最近言うことがRくんのようになってきた私。
「よっイケメン。」と茶化す妹。
「いやーかっこいいよ!人生何周目!?俺に指南してください!」と酔っ払いTくん。
「…おれだってわかるぞ。イジられてるなこれは。」とRくん。
Tくんはその後もRくんを離さず飲み続け、ついに寝た。
これもだいたいルーティーン。(笑)
「嬉しいからって飲みすぎ。」と呆れた妹は、Tくんを置いて帰っていった。
“お姉ちゃんとRちゃんのこと聞けなかったし。” という爆弾発言を残して。
私がキッチンで片付けを始めると、「ほんとに置いて帰るとか、あいつどうかしてんな!」と笑いながら、 Rくんが食器を運んできてくれた。
「おれ洗おうか?」というありがたい申し出を、丁重に断る。
あなた、アライグマかというほど洗うやろ。
「さすがに座ってるのも悪いから応援するか!」と寝ている人の前で言って、洗い物をしている私と向かい合わせになる形でカウンターから謎の邪魔を応援をしてくれた。(笑)
歌ったり踊ったり、何かのキャラクターの真似をしたり、私が洗っているお皿にアテレコしたりと中々クセが強くて騒がしいのだけれど(笑)陽気なRくんと居ると、私は常に笑っている。
帰りがけに、「今日も楽しかったね。いつもうまいごはん作ってくれてありがとう。」と言ってくれた。
食べている時も、煉獄さん並みに一口食べる毎にうまいうまいと食べてくれるのに、帰る時にも必ず言ってくれるのが嬉しい。
私が食べてもらって嬉しいから作っているのに。
泥酔したTくんは、「おれこの人送るのいやなんだけど。」と言いながらも(笑)Rくんが送っていってくれた。
久しぶりにRくんの元へ戻った、妹曰く “ヤンキーかラッパーしか着けないネックレス” は、彼が「Tちゃんなんだか地味だからこれ着けとこう。」と言ってTくんに勝手に着けていて、私はまた笑った。
酔いが覚めたTくんのリアクションが楽しみで仕方ない。
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