BARの扉の向こうには
友人たちと話をしている中で「バーでよく飲んでる」という話をすると「バーとか行ったことないわ~」と言われることがよくある、そこで「なんか行きにくかったりする?」って聞くと「入りにくそうだし、高そうだし、ああいう空間でどう過ごして良いのかわからんのよなぁ」と返されることが僕の同年代でも意外に多い。
たしかに、バーの扉は「ハイドアウト」な文化を引き継いでいるのか今でも重かったり、開けにくかったり、場所によっては入り口そのものが分かりにくくなっていたりする所があるからそれがまず第一に「バーには行きづらい」という雰囲気の原因なんだろう。
でも、あの「重い扉」を開けた先にはこれまで自分が知りえなかったものが沢山待っていることは保証するから少しでも興味があるなら、ほんの少しの勇気で扉を開けて入ってみることをお勧めする。
バーの雰囲気はあの扉をあけた向こう側の人間だけが味わえるものだと思うから。
次に「値段が高そう」ということ、たしかにチェーンの居酒屋で飲むハイボールとオーセンティック(本格的)なバーで飲むハイボールは値段が全然違う、だいたいチェーンの居酒屋だと安くて200円ぐらいで飲めて、方やホテルのバーだと7~800円したりもする。
「同じハイボールでなんでこんなに違うねん!、ウイスキーとソーダ混ぜるだけやろ」と思っている方がいるのも事実だし、チェーンの居酒屋のハイボールが悪いとは微塵も思わないし、ジャンクなものと一緒にゴクゴク飲めるゴリゴリに氷が詰まった安いハイボールは僕も大好きだ。
でも、一度でいいからオーセンティックなバーで腕のいいバーテンダーが作るハイボールを飲んで欲しい、別にハイボールで無くてもいい、ジントニックでも、カシスオレンジでもいい居酒屋で飲む同じお酒をバーで飲んで欲しい。
「あ、全然違う」
と思えること請け合いだ、雰囲気もそうさせるのだろうがそれほどまでにバーテンダーが作るカクテルやお酒はレベルが違うと断言できる。
そして、それだけ「違う」と思わせられるお酒を作ることができる人にはそれなりの対価を支払っても僕は構わないと思っている、それを「敬意」や「称賛」と言い換えても良いかもしれない「美味しいものを作って下さりありがとうございます、素晴らしい技術でした」という言葉を「お金」という形にして表すというのはそんなにおかしいことではない筈だ。
無論、これに関しては本当に「人それぞれ」なので「いや、そうは思わないね!そんなに自分は払えないわ」と思う方はそれで良いと思う、あくまで「美味しく飲めること」が第一なのだから。
最後に、「バーでの過ごし方」だ、行ったことがない人たちはどうしても「映画やドラマなどで見るバー」のイメージが強いようで「薄暗い、静かな雰囲気でマスターは物静か、常連が多く「いつものやつを」みたいな会話が交わされている」、「あちらの方からです」(カクテルが流れてくる)みたいな感じを想像されている方が今でも多いように思う。
もちろんそういうバーもあるのは事実だし(「あちらの方からです」は経験がないが)、そのイメージが先行すると「どう過ごせばいいの???」となるもの無理からぬ話だ。
そういった方々に助言というか、「RTはこういうことに気をつけている」ということを書くのであれば・・・
① 「知ったかぶりはしない、分からないことは聞く」
② 「黙る必要はないけれど、それなりに静かにしよう」
だいたいこの2点だと思う。
まず①の「知ったかぶりはしない、分からないことは聞く」から
バーに行くとバックバー(後ろの棚)にたくさんのボトルが並んでいて、しかもだいたいのバーの場合、メニューが常に置かれていないことが多い(若しくはメニューそのものが無い)しバーテンダーは「何に致しましょう」と聞いてくる。
さぁいきなりの難関だ、自分はそんなにお酒の事は知らない、居酒屋で飲むぐらいだ、気の利いたカクテルなんて知らない・・・自分が知ってるカクテルといえば・・・
「じゃ、じゃあジントニックを下さい」ととりあえず居酒屋で飲んだことあるカクテルを頼むと、バーテンダーは「ではジンは何に致しましょう?ゴードン、タンカレー、ビーフィーター、ボンベイ、変わったところでは日本のクラフトジンの「六ジン」などもありますが」と想像以上の答えが返ってきた
なんだ??ゴードン?人名??タンカレー?仙台の牛タン入りカレー??ビーフィーターはコンビニで見たことある気がする、ボンベイ??猫の品種??
いきなりの知らない単語の嵐に戸惑っているのが本音だが、それでもちょっとは格好つけたい気もあるし、よく分からないというのも気恥ずかしいので
「じゃあ、おすすめで作って下さい」と絞り出した・・・
すると、優しいバーテンダーは「では普段はどんなジンを飲まれていますか?」と聞いてきた
普段?〇民とか〇木屋のジントニックしか飲んだことないわ!そもそもジンがそんなにあるなんて初めて知ったよ!!
というの心の声を抑え込んで・・・最初に聞いたジンの中で覚えてるやつを・・・
「じゃあタンカレーでお願いします」
するとバーテンダーは「タンカレーは普通のとナンバー10とありますがどちらにしますか?」と返してきた・・・詰んだ・・・
という経験がある方々がひょっとしたらいるかもしれない
まぁ、察しの良いバーテンダーならバー初心者かどうかは見抜けるかもしれないのでここまで初めての方に聞くことは少ないかもだけど、やはり「知らないこと、分からないことは聞く」が重要だと思う。
何があるか分からなかったら「メニューありますか?」とか、何かカクテルを飲みたいけど名前とか知らないのなら「いつもは居酒屋でジントニックとかしか飲まないんですけど、何か違ったのを飲みたくて」とか、一言交わすだけでもバーテンダーは優しく教えてくれる、知らないことは決して恥ではない、自分の知らないことは聞けば良いのだ
実際僕も、初めて行くバーとかでは色々と聞くことが多いし、こちらから少しの勇気で聞いていけばバーテンダーは喜んでお酒の世界を案内してくれるだろう
次に②の「黙る必要はないけれど、それなりに静かにしよう」は言うまでもないことかも知れないが、バーには落ち着いてお酒を楽しみに来ている人も多い、バー全体の雰囲気もオーセンティックなバーであればダウンライトでシックな感じのところもあるだろう。
そういった「非日常の雰囲気」を味わうのもバーで過ごす一つの楽しみに出来ればまた一つ世界が広がるし、「バーが似合う人」になれるのかもしれない。
静かに飲むのもまた一興、要は「雰囲気を壊さずに大人の社交場を楽しみましょう」ということだ。
無論、細かく言えばまだあるけれどこの辺りに気を付ければどこのバーでも楽しめると思うのが僕の個人的な考えだ。
もし、今夜バーに行こうかと思っているけど足踏みしている方がいればこの記事を一助にして少し重い扉を開ける勇気が出たならこんなに嬉しいことはない。
今宵も皆様とバーに幸多からんことを。
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