続・背伸びとお酒の思い出
実はそのバーの事を知ったのは母親との家での会話だった、割とコミュ障気味な僕とは違い、社交的な母は友達と時々飲みに行き2軒目などでバーに行っていたようだ。
ある時に「あんた、あそこのバー知ってる?良かったで」と言われ、その時は「はぁ、なるほど」程度だったのだが、会社での飲み会のあと2次会でどこか知らないかと言われた時にそのバーの事を思い出した。
その時の会社の人3~4人で初めてそのバーに向かったのだが、大都市とは言えないがちょっと大きな街程度の飲み屋街にあるとは思えないオーセンティックな店構えに内心は「大丈夫かな、めっちゃ高かったらどうしよう・・・」と緊張しつつ半地下になっているそのバーのドアを潜った。
中はダウンライトで適度に暗く、でも陰気な感じは一切なく多人数用のテーブルにはちゃんと生花が活けてあるので華やかささえも感じた。
マスターは気さくだけれど非常に落ち着いた方で、カクテルの腕前やウイスキーやワインの知識も豊富で、一緒に行った会社の人達も非常に楽しんでいる様子だった。
それ以降、時々そのバーに顔を出して他の常連の方々からいろいろなお酒を教えてもらったり映画談義で盛り上がったりしていたのだけれど、今から考えてみればその時はまだ僕は20代の後半の頃、周りは40代を越えていそうな方が多かった。
その時点でもう僕はウイスキーのことはそれなりに飲み方も覚えていていっちょ前にストレートやロックでゆっくりと飲んでいる若い奴
周りからみれば「背伸びして大人の世界に通っている若造」みたいに思われていたのだろうか、でもそんなことはおくびにも出さずマスターを始め周りの方々には色々と良くして頂いたことは今では感謝しかない。
まぁ、実際背伸びをしてそんな世界との付き合い方を覚えようとしていたのは事実か。
初めてお店の常連さんたちと仲良くなれたのはこのバー
初めてバカラのグラスでお酒を飲んだのはこのバー
初めてカリフォルニアワインの良さを教えてくれたのはこのバー
お店が終わってからのアフターに付き合うなんてことを覚えたのもここだったな
以前に書いた難波の「バッフィ・バルバ」が僕に初めてウイスキーの世界を教えてくれたバーだとすると、このバーは僕に初めて「お酒を飲む社交の世界の一端」を教えてくれたところだろうな。
そのバーの名前は「BAR Phrase(フレーズ)」
おっとりとして気さくな、でも腕は一流のマスターがいるもう20年近くやっている良いお店だ。
また外に飲みに行けるようになればマスターのお酒を飲みに行こう。