皮肉と無為と諦観 RADIOHEAD 『KID A』

歌詞を意識しだすと難解すぎて書けなくなりそうなので、フィーリングのレビューになります。
私は1曲目 Everything In Its Right Place のインパクトでこのアルバムのヘビーリスナーになったし、このアルバムが全世界で驚異的な売上を達成したのもこの曲の影響が強いと思っている(特にこれまでを知っていた人にとっては衝撃だっただろう)。このアルバム、この曲からは特に、リスナーの反応を楽しむような・感情を意図的にコントロールするような確信犯的な「あざとさ」のようなものを、私は感じる。歌詞からはかなり切迫感や閉塞感、曲によっては世界への怒りを感じるが、The National Anthem 、Optimistic といった皮肉しかないタイトルや サンプリング、テクノ、オルガンといった新たな試み等、音楽的にはリスナーにある程度干渉してくるような余裕をもった遊び心が見える。
内省的、精神的にギリギリの状態で書かれた歌詞、等のイメージがあるかもしれないが、この作品では(というかレディオヘッドの他の作品も)世界との接触も強く求めていると感じられる。めちゃくちゃ雑に言ってしまえば かまってちゃん 的なところがある。クオリティについては散々賞賛されているが、私はそういったある種の人懐っこさが音楽の世界観に反したセールスと求心力に繋がっている気がしている。


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