「いらっしゃい、神楽ちゃん」 アースタシアに頼み込んで、國政綾水のココロの中に送って貰った私は、彼女の人格にそう言って出迎えられた。 「こんにちは、綾水さん。」 「アーヤでいいって、前も言ったじゃない。」 どうやら、前お粥の作り方を教わった人格と同一の人格のようだ、流石に言葉使いだけでは分からなかったので、綾水さん、と呼んだが。 「前と同じアーヤさんだったんですか、分かりませんでした。」 「確かに、見た目だけじゃ判断し辛いわよね。」 うんうん、と言わんばかりに彼女は頷く
私の後輩である神楽の出自は、それはそれは数奇なもので、そもそもそれはハッキリとしないものなので、出自と言う言葉が正しい物なのかすらも分かりませんでした。 それは二月の寒い夜に、私の誕生日プレゼントを買おうとして父と遊びに行ったショッピングモールの事で、そこで初めて私達は出会いました。出会った時私は父とはぐれていて、泣きだしそうだったのを覚えています。はぐれた父を探している私に、彼女は何故か話かけて来たのです。ショッピングモールなのですから同い年くらいの子供は沢山いましたが、何
トントン 「月神楽です。」 ドアをノックして、入室の確認をする、自分自身とはいえ一応は上司なのだ。 「入ってください。」 自分や、あの子よりも少し大人びた声でそう言われる。 「失礼します。」 部屋に入って扉を閉め切る前に、 「あの子の体調は大丈夫ですか?」 と、質問される。 どう返そうか、少し悩みこんでしまった。 「その様子だと、あまり良くないようですね…」 当たり前の様に見透かされてしまった、体調が良ければ何も思い悩む事はないのだから、当然と言えば当然
「入りますよ。」 がちゃん。 扉が開く音がして、自分と同じ顔をした少女が現れる。 「今日のご飯を持ってきましたよ。」 人格は、他の人格が消えそうになってもあまり看病したりはしない。 でも月神楽は毎日私にご飯を持ってきてくれるし、身の回りの世話もしてくれる、ありがたい事だ。 「ありがとうございます、今日のご飯は」 「お粥です」 最後まで言い切っていないのにそう告げられた。 「えー!またお粥ですか?ぴょんこはそろそろ他のものが食べたいです!!」 「わがまま言わ
「ガブちゃん劇場に行くの?劇場は今日休みだよね?」 そう問いかけてきた声の主、逢瀬つばめは、赤くて丸い瞳を不思議そうにこちらに向けてくる。 「馬鹿ね、休みは明日でしょ。」 「あ、あれ!?そうだっけ!?私卯月さんと遊ぶ約束しちゃったよ!?」 ド天然な彼女は、私が適当に着いた嘘にも、期待以上の反応を見せる。今日もつばめらしさが溢れている。 「なんてね、嘘よ。ただ劇場の図書館で本が読みたいだけ。」 「良かった〜、そうだよね、私が仕事なら卯月さんだって仕事だもんね。」
初めましての方は初めまして、顔見知りの方はこんにちはこんばんは、丹咲(みてるぞ)と申します、対戦よろしくお願いします。 さて、今回のアドベントカレンダー参加の経緯を話しますと、最初発表された時には夢の中で、現に戻った頃には埋まっており、おー楽しそうな企画だな。と傍観しておりましたら数日後、2日の席が空いていた所を丁度Twitterで見た為参加させていた次第でございます。改めて、よろしくお願いします。 さて、2日の枠と言う事で、そぉいさんが宣言通り終わるのであれば実質私がト