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SW/AC Library|宮浦宜子「おしゃべりな食卓 おかいさん」 『1でもなく、2でもなく、3についてのこと』

実際にSW/ACの本棚にあったり、相談員らが参照する読みものを紹介するSW/AC Libraryです。

SW/ACがつなぐ福祉/介護/障害/対話/アートの領域などなどをテーマに、それぞれの分野に馴染みのない人にも接点や関心を持つきっかけになる書籍などが登場します。執筆は相談員の小泉です。
対話形式の文章ですので、訪問者がこられたら、SW/AC でどんな相談の場をつくるのかも垣間見えるかもしれません。

今回はNPO法人 こえとことばとこころの部屋(ココルーム)が発行するZine  『1でもなく、2でもなく、3についてのこと』の中から、宮浦宜子さんの連載「おしゃべりな食卓 おかいさん」を紹介します。

〈以下の相談内容は実際の相談ではなく、架空の創作です。また紹介する書籍の文章表現を尊重して文章を構成しています。〉


今回の相談者は、地域で居場所づくりを模索されている方です。
集まったときに何か創作活動をしてみてはどうだろうかと思い立ち、SW/ACに相談に来られました。

相談者:障害のある人や高齢の方など、自分で遠くに出かけるのが難しい人が地域で集える場所を作りたいと思っています。健康で働いている人ばかりじゃないから、お金をかけずに楽しめるいいアイディアはないでしょうか。

ちぎり絵や書道なんかは年齢関係なく楽しくできる活動としてやっているところを見たことがあります。アーティストと創作のための材料を工夫してさがすところから、何か活動してみるのもいいかもしれないですね。

まずは自分たちにできることから始めてみたいですが、それはそれでアイディアに限界がありそう。

居場所づくりといえば先日、元喫茶店をコミュニティカフェにして、子どもたちが自由に来られて、宿題をしたり、しゃべったり、夕食を食べに来られる場所の見学に行ったんですね。そこですごく印象的だったのが、食事の時間で。

みんなで食事をするんですか?

そうです。家では一人でいることも多いのかな、という子どもたちが、準備してもらった食事を運んで、みんなで分けて食べるんです。おいしそうに食べながら、いろんな話が食卓にでます。どのおかずが好きか、そんな話から、学校であったこと、バイトのこと、最近気になっていることなどなど。

何かを食べると落ち着くし、元気になりますよね。

不機嫌そうだったり、疲れていたように見えた子たちが食べて、お互いに会話して楽しい時間を過ごしているのが伝わってきて。食事や食卓ってこんなに人を元気にするんだなと気づいて、それ以来、わたしは食卓とか食事の本を集めています。

たとえば食卓ディレクターの宮浦宜子さんの「おしゃべりな食卓 おかいさん」。おかいさんと関西で呼ばれるおかゆが語り手となって、ずいぶん昔に生まれて、世界の様々な場所で食べられてきたことを自分で紹介していくのですが、こういう食卓の描写が気に入っています。

土鍋の中から、眺めているとね、まあみんなニコニコ楽しそうにしているな、と思いますね。当然ですよね。みんなで食べるんだから。[…]私、おかゆは、意外と役に立つ料理なんですよ、ということでしょうか。誰でもどんなときでも、みんなで一緒のものを食べられて、いろんなものを入れられるから楽しくて、炊き上がるのを待つ時間におしゃべりができて。まあ、だからこそこんなに長生きしてるんですけどね。

宮浦宜子「おしゃべりな食卓 おかいさん」 『1でもなく、2でもなく、3についてのこと』

食べるって確かに誰かと共有しやすいですね。私たちの居場所に食べものを用意しても良いのかも。

宮浦さんは、このZineを発行しているココルームの主催する釜ヶ崎芸術大学で、みんなでおかゆを作って食べる講座をされています。講座まで準備しなくても、スナックや甘いもの、飲み物を準備して食べる時間をつくるのも会話が弾むきっかけになるかもしれないですね。

Zine  『1でもなく、2でもなく、3についてのこと』

創作活動のほうも、もう少し意見交換を続けませんか。いくつか参考になる例をお知らせできると思うので。

そうですね。まだ急いでいるわけではないので、ちょっとずつプログラムづくりをしている段階で。また相談させてもらえたらと思います。




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