「統合失調症者にアウトドアを勧める会」会長就任のごあいさつ
このたび、「統合失調症者にアウトドアを勧める会」を勝手に作り、勝手に会長に就任いたしましたSW大橋です。
統合失調症「者」としたのは「患者」ではなく「障害者」でもないと捉えてみたくそうしました。
先日、『統合失調症と登山』という記事を書いたところ、人気があるようなので、「そうだ、統合失調症者に勧めるべきはアウトドアだ」と勝手に思い、自惚れた私は『統合失調症の俺、スカイダイビングをする』という記事をさらに書きました。そう、私も統合失調症の当事者であります。
私は高校二年生で山岳部に短期間ですが所属していました。そのときに登った雪山、夏山が忘れられず、大学時代には登山愛好家である叔父と夏山に登り、それからブランクがあり、三十代になって夏山の単独登山をするようになりました。単独登山とは一人で山に登ることです。一人が好きというか、同じ趣味の友達がいないのです。
いや、すみません、話が暗い方向になりかけました。今回の記事は明るく行こうと思っております。そうです、アウトドアを統合失調症者に勧めるのは、明るい思い出を作って欲しいからでもあります。統合失調症でありますと、どうしても内側に閉じこもってしまう傾向が強いと思います。私が強調したいのは、心が閉じこもっていても、体はドアの外へ出るべきだ、ということです。ドアの外、アウトドアです。
でも、おカネがないので、アウトドアなどできません、という方もいらっしゃるかと思います。しかし、この記事を読んでいただければ、おカネのことなどそんなに問題ではないことに気づかれると思います。
おカネと言うと、本日、日曜日、私がマイカーで出勤路につくと、途中、家のガレージからSUV(ジープとかパジェロとかの類の車)が出て来て、その後ろに水上スクーターのような物をけん引していました。「すげえ、金持ちの趣味だな」と思いました。金持ちと言っても、家の大きさは私の住んでいる住宅地と同じだから、一般庶民の家です。ですから、ある程度おカネがあれば充分できる趣味なのです。私も軽自動車ではなくSUVに乗ってみたいという夢があります。自動車にはドアがあります。ドアの外がアウトドアならば車の中はインドアですね。これは理屈です。オープンカーにもドアがありますが、あれはほぼアウトドアのような気がします。オートバイは確実にアウトドアでしょう。自転車もそうでしょう。自転車に乗って土手の上を風を切って走る、これだけで立派なアウトドアです。ほら、おカネがないからと諦めていた方、自転車を買うおカネがあればアウトドアはできます。自転車に乗れない方もいるかもしれません。そういう方は、水筒に熱湯を入れて、カップラーメンと割り箸を持って、どこか見晴らしのいい場所に行ってそれを食べるだけで楽しいと思いますよ。それはキャンプの楽しみの基本形です。
そういえば、最近キャンプが流行っているようです。キャンプ場に行って、家族でキャンプ、いいですよね。私は独身です。家族と言ったら年老いた両親しかいません。弟二人は遠くにいます。しかし、これが大事なのです。私は思います。「よし、俺も将来、結婚して子供を連れてキャンプをするぞ」。これが夢を持つということだと思います。家族で登山もいいかもしれません。私は四十三歳ですが諦めていません。
そういえば、アウトドア用品ってカッコよくありませんか?例えば登山靴。あの重厚感。私は革製の重い登山靴を履いて登山しています。二十七年前に買ったものです。だいぶ古いタイプです。当時、三万円以上したと思います。しかし、二十年後も使っているなんて安いと思いませんか?登山は初期費用が掛かるのですが、あとは交通費と宿泊費、食費などです。比較的おカネを掛けない趣味と言えると思います。そのカネさえも、という人もいるでしょう、そこが夢の力です。山に行く、と決断するところから始めるのです。決断したら、どうするかを考えるのです。障害年金の一部を貯金するとかでもいいと思います。そして、登山にはおカネ以上に体力が必要です。重い荷物を背負って山に登る練習をしなければなりません。地方に住んでいて近くに低山があるという方はすぐに出来るでしょう。都会にいる方でも重い荷物を背負って遠くまで歩けばいいのです。ということは外へ出ることになりますよね?ほら、目標を立てれば動き出せるのです。
いや、私の知っている周囲の統合失調症の方はみんなおカネがないのでおカネのことに話題が向きがちです。しかし、アウトドアの魅力は、おカネを掛けて遊ぶという満足感ではありません。先に述べたように、たしかにアウトドア用品はカッコイイです。その理由は背後にアウトドアのロマンがあるからです。道具を揃えただけで満足するのはアウトドアではありません。おカネには代えられない価値がアウトドアにはあると思うのです。
そこで思い出したのは、私が以前登った槍ヶ岳のことです。槍ヶ岳は長野県と岐阜県の境にある山で、日本で五番目の高峰で、その名の通り、山頂が槍のように尖っています。私は上高地という観光地から登りました。上高地は帝国ホテルなどのある、ちょっとリッチな避暑地でありますが、多くの観光客で賑わっています。私はその観光客を縫うように追い抜いて歩き、上高地の一番奥から登山道に入りました。その登山道の入り口に「これより先は、登山装備のない方は進入禁止」という意味の看板がありました。私は登山装備がありましたので、それより先に入ることができました。そのとき自分をカッコイイと思いました。おカネさえあれば上高地には行けます。しかし、登山装備と体力技術がなければそれより奥の、真の冒険の世界には行けないのです。
さあ、ここまで読んで登山に行きたいと思った方がいれば幸いです。
このように、「統合失調症者にアウトドアを勧める会」の会員の皆様にはアウトドアの魅力を統合失調症の方に向けてSNSで広めて欲しいのです。会費はいりません。会員名簿も存在しません。同じ統合失調症の当事者で、アウトドアを趣味にしている方は、そうでない方に勧めて欲しいのです。登山、キャンプ、沢登り、釣り、スキューバダイビング、スカイダイビング、素潜り、ツーリング、サイクリング、サーフィン、洞窟探検(「ケイビング」と言います)、パラグライダー、カヌー、等々。他にもアウトドアはたくさんあります。せっかく地球にいるのだから、地球を感じて生きてみたいと思いませんか?アウトドアは統合失調症に効く、というリハビリ効果の期待もありますが、それは結果論で、リハビリのためにアウトドアをするという健康主義みたいなのではなくて、統合失調症でも純粋にアウトドアを楽しんで欲しいと思います。健康になるためではなく、人生を充実させるためです。
以上、「統合失調症者にアウトドアを勧める会」会長就任のごあいさつとさせていただきます。
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