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【短編小説】娑婆訶永遠か

 気付いた時にはもう遅かった。
 俺は顔を俯けて足速に過ぎ去ろうとしたけれど、そいつは正面に立つどころか並び歩きながら俺の顔を下から覗き込んできた。
「なぁ、見てたろ」

 俺は顔を上げて空欠伸をしながら無視を決め込むが、そいつは食い下がる。
「見てたろ、ワカってんだよ」
 視界の端でニヤニヤと笑う顔が見えた。
 どうしてこうも余裕なのか、絶対的優位なんて言うものはあり得ないのに。

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1,136字
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