見出し画像

【短編小説】乾涸びた熱帯魚

 全く馬鹿げているとは思うが、ピアスと言う肉体的な傷の他に何かを遺したいと思うならその精神を深く傷つける他に無いだろう。
 傷はいずれ塞がる。
 イカ焼きは要らない。それはビーナス像の欠けた腕にはならない。

 そう、ピアスを開けたんだ。その耳に。俺の記憶が確かならな。
 保冷剤で冷やした耳に「行くよ」と声をかけて針を徹した。肉体の鮮明さに驚いた。皮膚は曖昧だ。肌を何度重ねたところで何もわからないのは当たり前だ。それは肉じゃない。 

ここから先は

966字
マガジン購読で去年の作品が読み放題! しかもオリジナル作品!二次創作無し! 読んで飛べる読むクスリの詰め合わせ! これはお得!

波打ち際ブンガク1年目が500円で読み放題! 360本くらいのオリジナル短編小説(1000字前後)がいっぱい。しかも読みきりばかり。 扉絵…

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

サポートして頂けると食費やお風呂代などになって記事になります。特にいい事はありません。