アサナのトリセツ04: ヴィラバドラーサナ2(英雄のポーズ)後編
ヴィーラバッドラーサナII(勇者のポーズ)は、ヨガの基本的なアサナ(ポーズ)のひとつで、下肢、体幹の筋力と股関節の可動域を向上させ、姿勢改善の効果が期待できます。
難易度が高いわけではないのですが、その分、アラインメントが疎かになりがちです。ポイントをしっかり押さえて、怪我のリスクを引き下げ、効果を最大化させましょう。
前回の記事では特に重要な下半身のアラインメントについてお話しました。ポーズの効果と禁忌、基本的なポーズへの入り方、代表的な下半身のミスアラインメントへの対処方法について詳しく書いています。今回はその続きなので、未読の方はこちらを先にどうぞ。
ヴィラ2における上半身のアラインメント
土台が整ったら上半身を骨盤の真上に配置、腕は肩の高さで指先まで長く伸ばします。
下半身のアラインメントが整ったら自ずと腰の位置は決まるので、そこで丹田を安定させたら真上に心臓がくるように背骨を伸ばします。そして胸から上下左右にエネルギーを広げるイメージです。
しかしこのアサナは下半身がニュートラルとは程遠い大股なので、骨盤の上に上半身が伸ばすのは実は結構難しいことに気づくのでは? 曲げている足側に上半身が流れたり、あるいは腹側に倒れたり、肩の力が入り過ぎたりしがちです。
座り姿勢になると骨盤が後ろに倒れやすいものですが、このアサナでは股関節が屈曲しているだけでなく外に大きく開く姿勢です。かつ、左右非対称、しかも立ち姿勢。上半身をまっすぐに保つのは難しいし、力が入るのも無理はありません。
教科書通りじゃなくていい
下半身のアラインメントを教科書通りに整えたけど、あまりに上半身が窮屈だと感じるなら少し緩めても構いません。
両足のかかと同士が描くラインは重視しつつ、前後(マットの長い縁)の距離を詰め、左右(マットの短い縁)の距離を離します。
ただし少しずつですよ! 1cmくらいずつニジニジにじってください。
初心者さんは結構大きく動いてしまいやすく、一気に5cm以上動いてしまうことも珍しくありません。体重移動が意外と大変だからということもあるでしょうが、ここはひとつ、少〜〜しずつ動くようにしましょうね。
行うべきことは行いつつ、一箇所に負担がかからないように全体を観察する。これはどのアサナも言えることです。上半身と下半身は繋がっていて、お互い影響していることを実感して、そして対応しましょう。
辛さを軽減しながら、効果を減らさないために
初心者さんがこのポーズでつらいのは、大体において太腿です。前腿が疲れる、腿裏が伸びない、痛いはヴィラ2の二大お悩み。
ここで一旦やって欲しいのは両足で床を押すこと。具体的に言えば後の足裏をさらに強く踏むことです。
後足をしっかりと踏みしめると前腿の負担は自然と軽くなります。もちろん膝や足首についても同じです。さらに全体のバランスが良くなり、前のめりになりやすい上半身の位置が本来あるべき骨盤の上の方に戻されます。
ミスアラインメントが起きる理由として「柔軟性の不足か、筋力不足か」が議論されやすいですが、大前提には配置をどうするかの問題があります。足マットにつけない場所はありません、足や手や膝などをどこにつくか。このステップを大事にすると不要な力を抜いてポーズを整えることができます。
余計な力が入らなければ、自ずと心にも余裕が生まれ、より洗練されたアサナへと導かれるはずです。
ハムストリングスを攻略せよ
ハムストリングス、通称ハムは大腿二頭筋、半膜様筋、半腱様筋といった太腿の裏側の筋肉の総称です。
いずれも膝を曲げるときや後向きに足を蹴り上げるときに使われる筋肉で、坐骨(座ったときに床に着くお尻の骨)の同じ箇所から始まり膝裏まで伸びている大きな筋肉です。
このポーズの際に前足のハムが伸びないという声がとにかく多い!!!
座り姿勢の際には骨盤が後傾した状態になりやすいですが、骨盤後傾の姿勢の時には背骨が丸まり、腿裏は収縮した状態です。座り姿勢が長いライフスタイルを送っている人は概してハムが硬くなりがちです。
しかしハムストリングスの柔軟性が失われると更に骨盤の後傾に拍車がかかり、腰痛の原因となります。また背骨のカーブが失われると肩こりにも良くありません。
ぜひ対策したいところですが、ハムストリングスだけをストレッチするではなく腰部〜背中の下半分まで大きな範囲で考えると良いでしょう。痛みや必要以上の負荷なくストレッチされます。
優先順位を理解して実践しよう
どんなに理論がわかっていても練習しなければポーズはできないし、ハムの柔軟性が増すことはありません。ぜひやってみましょう。
その前に、おさらいとしてポーズで気をつける際のポイント、そしてその優先順位を確認しましょう
①足裏の配置を疎かにしない
クラス中にポーズに入る時は慌ててしまいがちですが、ここはしっかりと整えましょう。キープ中の微調整も大切です
②前足の膝は常にかかとの上
筆者としましては①と②の項目はマストだと考えて欲しい。膝の位置、完璧ではなくてもキープ中ずっと意識しておくことで必要な筋力が培われます。
③後ろ足もしっかりと踏む
全体のバランスが整いやすくなります。見えてない身体部位を意識して観察することは、固有受容性感覚 proprioceptive senseを培われ、アサナだけでなく日常動作が洗練されていきます。
④両かかとの間に骨盤を配置しようと努める
これはマスト項目ではなくて努力項目。股関節の回旋(大腿骨を軸に位置はそのままで回転させる動き、このポーズの場合は前足は外旋で後足は内旋です)は人によって限界が違いますが、特別な運動習慣がない成人において最大限に開く状態であることは稀。このアプローチは前足の内腿にストレッチが入っているところまで行いつつ、無理はしないように。
⑤上半身は骨盤の真上に
ようやく上半身です。あまりにも無理があると感じたら下半身のアラインメントを見直しましょう。順位は後ろの方にありますが、これはとても大切。
⑥背面にも意識を広げよう
後足や後ろの腕など見えてないパーツのことも思い出してあげてくださいね。背中も同様です。意識を向けるだけで背筋にスイッチが入り、上半身が更に安定します。アゴを引くと尚よし。
⑦実践する
やらなきゃ何も始まらない! さあ動いてみましょう!
↓こっちの10分フローにもヴィラバッドゥラーサナ2が出てきます
ポーズの入り方はおさらいしたし、流れで動きたいな〜という方はこちらもぜひやってみてください。股関節をたくさん動かしているので、ポーズに入りやすいはずです。
姿勢改善を目指す方、慢性的な腰痛・肩こりを軽くしたい方、ヴィラ2を今まで以上に丁寧にやってみてください。続けていればきっと効果がありますよ
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