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ダイシング工程で使うLaser Grooving技術

割引あり

はじめに

 前回に紹介したダイシング工程で使用するLaser Groovingに関して簡単に説明したいと思います。色々なところを調べてもあまり詳細に関して紹介されていないのでどんな技術だろう?と思う方が多いかと思いますが、後工程最初の作業でもあり基礎的なことを知っておくのは重要かと思います。前回の記事をまだ読んでみない方はこちらをご参照ください。

自己紹介

 日本の大学でPhDを取得し、日本の会社に就職するも会社の方針転換で一年も経たずに外部に出向し、先行きが見えないため別の日本企業に転職。なぜか転勤族になり西の方に移住。英語を勉強して外資系に転職しVISAをサポートしていただきUSに移住。その後GCを取得しBay Areaの大手テック企業に転職して今にいたります。専門は半導体のプロセス設計です。
 半導体に関する記事等はこちらに集約しておりますので、ご参考までにリンクを貼っておきます。一部有料ですが作者のお茶代と思ってください。


Laserで何をする?

 そもそもとして、LaserとDicingの関係性を説明しないと理解が深まりません。そこでざっくりとなぜLaserが必要かをまとめておきます。特にLaser Groovingを使わないとどのような不具合が発生するかです。

  • 直接Die sawで切ると、チッピングが発生しやすい

  • Cuや配線層のLow-kがDie sawのBladeにつまり目詰まりを起こす

  • 配線層が柔らかすぎてBladeがブレる

などが主な理由です。

 そこでLaserで配線層部分を昇華させ配線層を除去し、残ったSi部分のみをDie sawで加工するようにすれば作業が楽になります。ただLaserはかなり強力な加工なので、発熱や制御性というのをうまくコントロールする必要があります。
 大抵はナノ秒Pulseを使用します。連続照射だと発熱や昇華させた材料の再付着等を制御するのが難しくなるからです。

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アメリカSilicon Valley在住のエンジニアです。日本企業から突然アメリカ企業に転職して気が付いた事や知って役に立った事を書いています。