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半導体が好きになる

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半導体に関する記事です。雑多なことや自分が勉強したことに関する記事をまとめたマガジンです。一部有料設定していますが、X等でShareしていただけると割引になります。
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記事一覧

半導体製造に不可欠なScribe lineに切り込む

はじめに  今回は半導体製造における最も重要で、かつ最も謎の多いScribe Lineに関して切り込んで行こうと思います。そもそも存在を知らない人が多いかと思いますが、これがないと半導体製造するできません。かなりノウハウが集約されているところですし、深く知っている人もいないので、なおざりになっている場合が多いですが、このScribe lineを詳しく知っていると、即戦力どころか引っ張りだこになります。  今回はノウハウの部分は触らず、一般的にScribe lineがなぜ重要

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半導体材料・装置・Foundry・Fablessの関係

はじめに  今回は以前に書いたnoteの補足として自分の経験を踏まえ大雑把なサプライチェーンに関してまとめておきたいと思います。というのも結構勘違いや思い込みがある話を聞くので、経験者の意見として実際の事実をまとめておきたいと思います。  自分はIDMとFabless両方の経験があるので、そこまで現実とかけ離れた話ではないかと思います。  まだ以前の記事を見ていない方はこちらを先に読んでいただけるとわかりやすいかと思います。 自己紹介  日本の大学でPhDを取得し、日本の

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半導体設計に必要なEDAとは

 今回はEDAというものに関して自分が理解している内容をまとめておきたいと思います。そもそもEDAとは何かから、今後考えられる進化の方向性に関してもある程度網羅していきたいと思います。 自己紹介  日本の大学でPhDを取得し、日本の会社に就職するも会社の方針転換で一年も経たずに外部に出向し、先行きが見えないため別の日本企業に転職。なぜか転勤族になり西の方に移住。英語を勉強して外資系に転職しVISAをサポートしていただきUSに移住。その後GCを取得しBay Areaの大手テ

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半導体チップ設計のTimeline(FablessとIDMの違い比較)

はじめに  今回は、IDMとFabless企業とで半導体チップ設計の時間的な違いを簡単に書いていきたいと思います。というのも自分はどちらも経験があるので、そのBackgrondを含め一般的な違いを分かりやすいようにまとめておきたいです。よく聞かれますし、忘れないようにとの意味合いもあります・・・。  もう少し上位概念から知りたい人は以前に書いたこちらの記事等をご参照していただけると幸いです。 自己紹介  日本の大学でPhDを取得し、日本の会社に就職するも会社の方針転換で

人工知能と半導体、どこで動くものが面白いか?

 最近は人工知能が各所で話題になっています。最近だとNVIDIAが次世代のチップを公開したりして話題になりました。またLLMの推論や学習を効率良く実行するためのチップ開発なども話題になっていますね。  自分は天邪鬼というか、話題になっている事項に関連はするが、王道ではないところを攻めるのが好きです。なので王道と比べれば大したことがないが確実に需要があるところを考えてみたいと思います。  自己紹介  日本の大学でPhDを取得し、日本の会社に就職するも会社の方針転換で一年も経

半導体チップ(CPU)のWafer価格見積もり

はじめに   今回は、ちょっと興味があったのでざっくりと計算してみました。実際にはパッケージコストや実装部品がありますがざっくり計算なのでその部分は考慮していません。時間があったら調べてUpdateしたいと思います。  今回の調べてたのはintelのCore i9 14900KというCPUです。実際の販売価格とdie sizeからおおよそのWfコストを逆計算しています。 自己紹介 日本の大学でPhDを取得し、日本の会社に就職するも会社の方針転換で一年も経たずに外部に

AIチップってなに!?

 今回は日頃自分でも疑問に思っているAIチップに関して考察をしていきたいと思います。私は半導体エンジニアですが半導体設計の専門ではないのでアーキテクチャやその他に関しては全くの素人です。ですがこの分野を俯瞰して見てみることでAIチップとはなんぞや?というのが理解できればと思っています。 背景  Newsや色々なところで、AIチップ設計やAIチップ製造に向けた技術開発および工場建設が紙面を飾っています。ところでAIチップて何?に関しては結構あやふやだったり、全く触れなかった

半導体製品の信頼性(基礎編)

はじめに今回は導入編の続きとして基礎編をまとめていきたいと思います。基礎編ではどのようなコンセプトで半導体製品の信頼性試験が設定されているかに関してまとめました。全体像を知る上では十分かと思いますが、実際に信頼性試験をする。またはその結果をみて判断するという作業には少し物足りないです。なので今回はさらに深掘りして、実施される試験の項目まで落とし込んで、どのような試験が一般的に実施されるかに関してまとめていきます。  まだ導入編を見ていない方はこちらを最初に読んでいただけると

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半導体製造業の今昔、そして未来へ

 今回は自分の経験や調べてことをまとめて、半導体製造の今昔物語ではないですが大雑把な業界としての流れと、今後起こるであろうことを考察してまとめました。私は経済評論家でもなければ事業戦略の専門家でもないので、あくまで自分の思考をまとめただけです。 自己紹介  日本の大学でPhDを取得し、日本の会社に就職するも会社の方針転換で一年も経たずに外部に出向し、先行きが見えないため別の日本企業に転職。なぜか転勤族になり西の方に移住。英語を勉強して外資系に転職しVISAをサポートしてい

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これから半導体をはじめる君へ

はじめに 今回は日本でも半導体が盛り上がりつつあります。そこで少しでもこれからの世代に繋げていければと思い。自分が知っている限りの知識をまとめておこうと思います。時間があれば英語にも対応させていく予定です。  半導体といってもかなり裾野が広く、半導体装置、材料だけではなく半導体設計、設計ツールなどあります。また水平分業がかなり進んでいる産業分野でもありすべを網羅することはできません。さらに言うと進化のスピードが尋常じゃなく早く、去年の技術は過去の技術という事がザラにあります。

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半導体プロセス要素の全体像

はじめに 全体像を把握するという意味で、下記の記事を書きました。今回はこれを基にそれぞれの技術分野をもう少し詳しく書いていこうと思います。まだ以前の記事を見ていない方は是非こちらを先に読んでみてください。 半導体プロセス要素を分解してみる 具体的にどのようなプロセス要素があるかを俯瞰的にみてみましょう。最近の技術は基礎的なプロセスを組み合わせて新たなプロセス要素を構築しているので、単純に分解することはできません。今回は工場での製造観点というよりTCADという仮想空間でプロセ

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プロセスインテグレーションの仕事

はじめに 今回は、半導体デバイスのプロセスインテグレーションエンジニアの仕事に関してまとめていきます。話の流れてしては2つ目の項目となります。おおよその仕事内容に関してと全体像に関してはこちらのnoteをご参照ください 全体像 それでは具体的にプロセスインテグレーションエンジニアはどのような仕事を行っており、責任範囲としてどの様なものなのかを明確にしていきます。各社によってこの責任範囲は変わるので一概に言えませんが、おおよそこの様な感じです。  責任範囲がかなり広いので、

Device設計とは

はじめに シリーズとして続けている記事の第三弾としてDevice設計の仕事内容を簡単に書いていきたいと思います。半導体エンジニアの簡単な役割や全体像に関して知りたい方はまずこちらの記事をご参照ください。 Device設計者の仕事全体像 まずは全体像の把握からです。この分野の仕事は表にあまり出ないのでわからない部分が多くあるかと思います。自分もあまり詳しいくは把握しておりません。文献等で調べた範囲ですので間違いがあるかもしれませんが、大体はあっているかと思います。  

回路設計

はじめに 今回は回路設計に関して簡単に書いていこうと思います。まだ全体の話を読んでいない方はこちらを先に読んでいただければと思います。 分野わけ まずは簡単に分野を大きく2つに分けます。両方を跨ぐ設計もありますがそこはご了承ください。そこは本当の専門家がどこかで話してくれるかと思います。 Digital設計  アルゴリズム設計、RTL記述、物理設計を含みます。昔の言い方で言うとLogic屋さんです。現在ではSystem C/C++等でアルゴリズ設計するとツールからRTL