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日本酒の新しい価値が、コラボから生まれた

こんにちは!
日本橋茅場町のワインショップ Wine and Weekendオーナーソムリエのスージーです。
ショップ経営の他、ワイン講座やイベント開催、コンサルティングをしております。

さて今回は、私の愛読書ならぬ愛読新聞である『日経MJ』から気になる記事をピックアップするシリーズ(…の一回目)です。

『日本酒 破格を通した新参者』

2024年5月27日付

高級な価格帯の日本酒をリリースし、海外でも高評価を受けているスタートアップ2社のお話。

当店Wine and Weekendはワイン専門店ですが、
ラベルデザインがユニークでストーリーがあり、かつもちろん美味しいものが見つかると、ワイン以外でも仕入れさせていただいています。
梅酒しかり、日本酒しかり。

2016年創業当初に驚いたのは、『日本酒って、安いな』ということ。
小売店を開く前は、日本酒を瓶で買ったことはなく飲食店でグラスで注文するくらいでしたので、
あまり販売価格を気にしたことがなかったんですね。

しかし日本酒って、720ml(ワインは750ml)で1500円とか、せいぜい2000円とかがほぼほぼ大半。

え・・??
これって、ウチのような流通業者が儲かるかどうかということもさることながら、
そもそも生産者の方はきちんと経済が潤ってるのやろか・・・??

ワインならウン十万、ウン百万の値の商品はザラに?ありますが、
これは衝撃的な事実です。

聞けば、やはり昔ながらの酒蔵はどんどん消滅していっていると。
江戸時代から続く貴重な酒蔵だって、容赦無く潰れる。

原因の一つには後継者不足の問題もありますし、
そもそも飲む人が少なくなっている
日本酒販売量は、1970年台の4分の1に減少しています。

これはワインショップの立場として対岸の火事ではなく、
お酒を愛する一個人としてもとても胸を締め付けられる思いになりました。

立ち上がったのはスタートアップ

傍から憂いている私には成す術もありませんが、
同様にこの状況を危惧し、メスを入れるべく立ち上がったスタートアップ企業があります。
ツートップとして記事に紹介された日本酒ブランドは、
「ミナキ」(会社名リボーン)と
「サケハンドレッド」(同クリア)。

どちらの社もITなど全くの異業種からの参入です。
自分達で醸造はせず、既存の酒蔵に委託醸造でタッグを。
(清酒製造免許の新規取得はほぼ認められていないという現状もあります)

『サケハンドレッド』

今年5月のカンヌ国際映画祭のパーティー「ジャパンナイト」にて、スパークリング日本酒「深星」が振る舞われました。
これをリリースするのは、2013年に創業したクリア社。
主力商品「百光」の価格は、なんと38,500円。
それでも抽選販売で3万円件を超える応募があるそうです。

記事中で印象に残った生駒社長の言葉は
「飲む人(日本酒の販売量)が4分の1になるからといって
飲む量を4倍にしようというのは現実的ではない。
4倍の価格で売れれば市場を維持できる」
というもの。

その通り。
しかしながら実現するには
その価格設定から紐づいた美味しさと、ストーリーを生み出さなくてはいけない。

生駒さんがこの事業を始めるにあたり、委託提携してくれる酒蔵を探す際は苦労の連続で、門前払いが常。
夜行バスを使い月に10〜20軒を回ったそう。

晴れてサケハンドレッドが醸造を委託をできることになった酒蔵は、熊本県の河津酒造。
三代目の河津宏昭さんは言います。
「生駒さんの100年先の日本酒の未来を想像している話を聞き、とても共感した」
「委託を受けている感覚はあまりなくパートナーとして一緒に日本酒の未来を想像している感じ」

異業種の経歴からの知見で商品を企画。
そこに古くから続く酒造りの技術が合わさって商品が誕生しました。

足を動かし、熱意を伝え、生まれた信頼感から誕生したコラボレーションです。

ちなみに手がける中で最高額の商品は、29年熟成「現外」。
500ml入りでなんとお値段26万6200円!

『ミナキ』

元々は動画広告会社を創業し、JCOMに株式売却をされたという経歴の皆木社長。
21年に設立ながら、リリース後わずか1年で世界最大級の酒類品評会「インターナショナル・ワイン・チャレンジ」において金賞を受賞。
日本酒だけで1000以上の銘柄の中の、上位5~6%のみが与えられるのが金賞です。

前出のサケハンドレッドと同様に、ミナキも委託先の酒蔵探しには困難を極めました。
とにかく断られ続け、最終的には山形県の奥羽自慢と提携。
「皆木社長の日本酒に対する思いを聞くうちに、どこまでできるのか試してみたくなり醸造に至った」

やはり皆木さんの想いの部分に動かされた形です。

こちらも主力商品は36,080円と、まさに高級日本酒。

共に目指すのは

皆様ご存知の通り、商品とは作ったというだけでは売れません。
適切な層へ訴えかけてゆくことが求められます。

日本だけでなく海外でも認められる両商品が共にアプローチしたい層は
「日本酒が縁遠く、ワインやシャンパーニュを飲んできた層」
「高級なお酒をプレゼントする文化のある国の人へ」
「芸術やファッションなど付加価値への消費を惜しまない層」
とのこと。

どんなに美味しいお酒を作っても、酒蔵だけでは見据えられないビジョンではないでしょうか。

同時に異業種から日本酒への想いだけがあっても、造り手の意図や技術が合致しなければ成立しません。

コラボが創造する可能性

きちんとブランディングを重ね、ターゲット層へと一直線にアピールする動き。
売り上げが立ちキャッシュが回れば生産者の生活が守れ、自国の文化も守れる。

こうして熱意と企画力、技術と適切な販売方法を以て
欲しい人のところに欲しい商品が届き、
そして何より美味しい日本酒を飲んで幸せな人が増えるというループが生まれます。

今回のこの記事でご紹介したのは
二人の社長の想いと行動力が生み出したコラボ。

スタートアップ × 日本酒のコラボ
=新たな価値の創造。

すなわちお酒という切り口での、新たな楽しみと幸せの創造です。

実は兼ねてより、ワインにおけるコラボの可能性を考えてきました。
ワインは人によっては添え物でありながら、
人によってはそれだけで主役にもなれるもの。

どんな業種でも、ワインと何かのコラボで新しい価値が生まれたら、
それはとても大きな楽しみになるであろうと感じています。

近々そんなコミュニティを作ろうと画策中。
今月下旬にはキックオフイベントの前の、ミニ版0次会パーティーを開催します。

ぜひ様々な業種の方に絡んでいただきたいです。

それでは本日はこの辺で。ちゃお〜

【ジャケ買いワインのセレクトショップ
Wine and Weekend】
東京都日本橋蛎殻町1-6-9-103
03-6661-1845
info@wandw.tv
https://wineandweekend.tokyo/

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