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シューゲイザー

 タカに会うのは高校以来だった。つまり五年ぶりだ。だから僕は最初、それがタカだとは気付かなかった。バイト帰りにたまたま立ち寄ったコンビニの、可もなく不可もない接客をこなす店員。顔なんて見ない。僕のスマートフォンがタイミングよく鳴らなければ、きっとそのままスルーして帰っていた。 「マイブラ」  つい、ポロッと口にしてしまった、というような声音だった。僕のスマホから鳴ったのは、確かにマイ・ブラッディ・バレンタインのオンリーシャロウだった。ソーシャルゲームのイベントの開始を知らせる

    • みんな違ってみんな不幸

      3年付き合って同棲もしていた恋人と別れた人と、3ヶ月付き合った恋人と別れた人。 前者と後者、客観的に見たら前者の方が不幸と思われがちだけど、主観で考えたら不幸の度合いに差なんて無いと思う。幸せも不幸せも等しく与えられたものであって、それをどう捉えるかは本人の心の在り方次第だから。誰かが誰かよりつらいなんてことはない、みんな同じくらいつらい。だから、「自分はこんなにつらい経験したんだ、他の人よりもずっとずっとつらい経験だったんだ、だから引きずって当たり前」って考え方は、気持ちよ

      • 神さまのいない教室

         柚穂が神さまだと気付いたのは、現代文の授業中だった。  現代文の先生は声が小さく、聞き取りにくい。文字だけが妙に綺麗だけれども、チョークを黒板につける瞬間、何故かいつも手が震える。その日も彼は、手をぶるぶるとさせながら、独り言のように言葉を落とした。 「皆さんの心の中に、神さまはいますか」  中途半端に時間が余った授業の終盤、先生はほんの雑談くらいの気持ちで、その話をしたのだろう。しかし、教室の緊張感は切れ、「大きな声で笑ってもいい集団」の話し声が、さざなみを作ってい

        • クソ恋愛ダルク

          高校からの友人のAちゃんは、いつも変な恋愛をしている。 Aちゃんのルックスは普通だ。特別美人でもないしものすごくブスってわけでもない。オシャレしたらまあまあ見れる外見になる。 でもAちゃんが好きになる人は変。というか、Aちゃんが相手を変にしている。してあげるのが好きな人なのだ。お付き合いするといつも、相手にいろいろ買い与えたり、ご飯作ってあげたりしてる。最初の方は相手も恐縮するんだけど、Aちゃんの態度はいつも相手にへりくだっている感じで、お願いだからわたしの施しを受けてくださ

        シューゲイザー

          他人に興味がない

          他人に興味がないから人と会うのが苦痛なのに一人は嫌という非常に自分勝手な葛藤で苦しんでいる、ずーーーーーーーっと。 他人に興味がない、なんていうと厨二病みたいだけど、結構深刻に悩んでいて、 まあ前の記事にも書いたけどガチの自意識過剰で自分のことしか考えてないからなんだよね。 話を盛り上げなきゃ!とか、空気を読まなきゃ!みたいな感じで振る舞っているのは、盛り上げて空気を読める人に見られたい、つまんない奴だって思われたくないっていう自意識からの行動。相手のこと一ミリも考えてない

          他人に興味がない

          自意識過剰を自重したい

          わたしが思う自意識過剰とは、 「他人からどう見られているのかを異様に気にしている自分」のことで、 他人の気持ちを度外視して自分自分自分!って考えちゃう=自意識過剰を、わたしは、なおしたい。 自意識が過剰だから、自分がおもっていることではなく、相手が思う正解の返答を考えて答えて、歪みがでる。 当たり障りないことしか言えない。不正解を踏みたくないから。 言葉には、言葉以上の意味なんてないはずなのにね。 「さむいね」も「喉渇いた」も本来はそれ以上の意味なんてないのに、そう言われ

          自意識過剰を自重したい

          「花束みたいな恋をした」観た

          恋が始まるときの、客観的に見たら恥ずかしいテンション どうでもいいことを言いたくなる高揚感 (白いジーンズ穿いてる男は苦手、とか、UNOで「今UNOって言わなかったー!」って言う女が苦手、とか) そういうの観てモゾモゾする感覚がよかった。 絹ちゃんが麦くん家に初めて行くシーンで、 あの狭さの部屋、あの距離に異性がいる緊張感に冷や汗が出そうになった。 陰キャっぽい感想だ。 部屋狭そう、って思ったのは、2人の距離感の濃密さもあったのかな。 新規ハイみたいな。恋人できましたハイみた

          「花束みたいな恋をした」観た