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芹沢怜司怪談蔵書まとめ

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連載していたホラー小説のまとめです。
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記事一覧

芹沢怜司の怪談蔵書 「1.拾ったベルト」

 私――芹沢怜司は子供の頃から怪談の虜だ。  隙間風を全身に浴び、身を震わせながら読む恐…

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芹沢怜司の怪談蔵書「2.揺れない旗」

 散歩していると道に手袋や長靴などが落ちていることがある。どうしてこんなところに落ちてる…

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芹沢怜司の怪談蔵書「3.傘を持つ赤子」

 先ほど話した交通安全の旗に出てきた若者なんだが、実は私の知人でね。類は友を呼ぶってやつ…

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芹沢怜司の怪談蔵書「4.溺れ手招く」

「もしもし。ああそう……赤子のやつ本物だったんだ。実際にお目にかかった感想は? 怖かった…

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芹沢怜司の怪談蔵書「5.死者用マニュアル本」

 あの地域、相変わらず行方不明者が多いみたいだね。そうそう語り部の彼、執筆した後にもう一…

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芹沢怜司の怪談蔵書「6.殺意の小刀」

 ガラガラガラ  おや、帰ってきたようだよ。今回あの本を読んだ誰かは筆を執れたのかな。私…

芹沢怜司の怪談蔵書「7.止まらないタイヤ」

「こんばんは! 今日もいい部屋ですね」 「いらっしゃい。こんな薄暗いところを好むのは君ぐらいだよ」 「まあそうかもしれませんね。はいこれお土産です」 「早急に隣の部屋に置いてきてくれ。いつ君が私を殺そうとするかわからないからね」  知人は呪われた小刀が入った桐箱を見せてきた。直接触れなければ大丈夫だと思うが、念のため早く彼の手から離しておきたい。 「相変わらず怜司さんは心配性ですねー。もうそんなの気にしなくてもいい段階じゃないですか」 「昔からの癖はそう簡単に変えられない

芹沢怜司の怪談蔵書「8.壁の中から」

「決めました。引っ越します!」  知人は話を聞いてすぐ本を引っ張り出して町の場所を調べた…

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芹沢怜司の怪談蔵書「9.観測者」

 知人から連絡があった。どうやら無事に町に到着したようだ。これからホテルに荷物を置いて、…

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芹沢怜司の怪談蔵書「10.人形のお客様」

「怜司さん! 壁の唸り声聞いてきましたよ!」  町に到着した知人はさっそく壁の中から聞こ…

芹沢怜司の怪談蔵書「11.呪いの配達人」

「もしもし怜司さん、荷物届きました?」 「まだ来てないよ」 「そうですか良かった。実はです…

芹沢怜司の怪談蔵書「12.代々続くお手伝いさんの秘密」

 呪いの配達人から受け取ったダンボールを開けると目が合った。 「おはようございます。遠路…

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芹沢怜司の怪談蔵書「13.追われる霊」

「良かった! 無事に届きましたか。どうです? 人形の様子は」 「部屋に閉じこもって出てく…

芹沢怜司の怪談蔵書「14.闇の中身」

 知人から追われる霊の調査報告が入った翌日、家の前で追いかけっこをしている霊を見た。  はて、私は寝ぼけているのか? 目を擦って、顔を洗って、普段はやらないラジオ体操までして頭をすっきりさせたが、やはり夢や幻覚などではなかった。小さなお化けが大きなお化けを追いかけている。あの話と同じ光景が繰り広げられていた。  しかしアレは本当に追いかけ、追いかけられる幽霊なのだろうか。私は本物を見たことがない。もしかしたら偽物かもしれない。  家の前を通ったタイミングで撮影し、写真を知人