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雪化粧 企画参加作品 カバー小説


カバー作品は、
本作後、読んでいただくのを
おすすめします。



東京にもチラチラと
粉雪が舞い始めた。

息を吐けば当然白く。
煙草を吸わない私から
白い煙が出るのが
なんだか楽しい。

街が少しずつ雪化粧されていく。

自販機であたたかい
ブラック珈琲を買ってきて
駅前のベンチへ戻る。

もうすぐ目的の電車が
到着する。
あたたかい珈琲が、
喉を通り胃を満たしていく。

息を吐くと
さっきより真っ白な気がした。

街もさっきより
真っ白に変わっている。

珈琲の缶を捨てている間に
電車は、到着して
彼は私に気づかずに、
すでに歩き初めていた。


降り積もった雪は
踏むと黒く汚れてしまった。

彼の足跡。
わざと、彼の足跡に
自分の足跡を重ねる。

ふふ。
なんだか、忍者にでも
なった気分。

粉雪から少し強めの
雪へと変わってきた。
もうすぐ、傘がないと
困るだろう。

彼用に用意した紳士傘を
見せたら、驚いて
くれるだろうか?

スキップにも近い
リズムで、彼を追う。


紳士傘はちょっと重い。
それでも私の足は軽い。

路地を曲がり、新雪積もる
真っ白な世界。

彼と私だけの世界。
後から、
彼に紳士傘を突き立てる。

鋭利な先端は、綺麗に
第一頚椎と第二頚椎に埋まった。

真っ白な世界に
赤と黒が映える。

そのまま、正面に周り
用意したナイフを
前頸部へ
真一文字に滑らす。


後処理班が到着するまで
彼に死化粧を施してみた。

やっぱり大きな
紳士傘はいい。
粒の大きくなった雪から
私と彼を隠してくれる。



雪化粧。【20字小説】|まくら


まくらさんの
20文字小説をカバーさせて
いただきました。

真っ白な雪化粧には
やっぱり死化粧が
よく似合いますよね♥


登場人物が
違うのは、読み手によって
変わる楽しさ♥
って、事で許して下さい。
(イメージは、カヲル)

【参加者募集】カバー小説|椎名ピザ


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