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特許権~権利侵害を受けた場合、権利侵害との警告を受けた場合の対応~

正当な権限なく他人の発明を業として実施する特許権の侵害。第三者が自社の特許権を侵害している場合には、対抗措置を講ずる必要があります。また、他人の特許権を侵害することないよう努めなくてはなりませんが、万が一侵害したと相手方にみなされた場合にはどのように警告を受けたり訴えられたりするのでしょうか。みていきます。

直接侵害と間接侵害

特許権者は特許発明の実施をする権利を占有し(独占権)、他者が特許発明の実施をする場合にそれを排除することができます(排除権)。
侵害には直接侵害、間接侵害といったものがあります。第三者が業として販売や生産を行うものが直接侵害です。製品Aを作るには専用部品Bが必ず必要です。この専用部品Bを生産・販売することは侵害を助ける行為となります。こういった場合が間接侵害です。

権利が侵害された場合 対応策とは

権利が侵害された場合の対応策はどのようなものがあるでしょう。特許権侵害を発見した場合に、書面で警告を行います。法律上には警告の必要がありません。
相手が侵害行為を辞めない場合、差し止め請求の訴訟を起こすことができます。差し止め請求が認められれば、相手の侵害行為を止めさせ、侵害行為を行うための設備などを除去させることができます。
警告や差し止め請求によって侵害行為を止めさせるだけでなく、発生した損害を相手に賠償するよう請求することができます。この権利を損害賠償請求権と呼びます。故意・過失が要件となり、時効は3年です。
不当利得返還請求とは、相手が権利の侵害によって不当に得た利益を、権利者に返還するように求める請求です。損害賠償請求が認められない場合を補完する役割を果たしています。故意・過失を要件とせず、時効は5年または10年です。
信用回復措置請求は、特許権の侵害によって失った信用の回復を相手に請求するものです。不当利得返還請求権は、権利を行使するのに侵害者の故意・過失は必要ありません。たとえば、謝罪広告といったものです。
刑事告訴。刑事処分にて懲役や罰金が科されることもあります。特許権を侵害した者は、直接侵害の場合は、10年以下の懲役又は1000万円以下の罰金に処され、あるいはこれらの両方が科されます。間接侵害の場合は、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金に処され、あるいはこれらの両方が科されます。

権利を侵害と場合

特許権を侵害したとみなされた場合、どういった流れで相手から警告をうけ、どのように対抗していけばよいのでしょうか。

他者からの警告を受けます。特許権侵害の警告書が送付されてくることが一般的です。
相手の特許権の範囲・状況、専門家への相談、無効の場合は書面で回答といった事実の調査を行います。

先使用権を主張することができます。先使用権とは、特許権者が特許出願をする前に、別の第三者が同じ発明をすでに実施していたり、同じ発明による事業を準備していた場合、第三者に認められる権利です。この第三者は、引き続き発明を業として実施することができます。
出願前に発明を実施・準備していた場合、事業の範囲内で無償で発明実施可能です。

相手の特許の無効を主張する場合には、特許無効審判を請求をすることができます。無効審判を請求するにはその特許に関する「利害関係」を有することが必要です。

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