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このシリーズはここまでかな:読書録「銀嶺探偵社 静おばあちゃんと要介護探偵2」

・銀齢探偵社 静おばあちゃんと要介護探偵2
著者:  中山七里 ナレーター:沢井真知、祐泉勇
出版: 文藝春秋(Audible版)

日本で20人目の元・女性判事「静」(80歳代)と、名古屋経済会の重鎮で下半身不随で車椅子に頼らざるを得ない要介護状態の「玄太郎」(70歳代)の老老コンビによる短編推理小説集第2作。
前作は名古屋が舞台でしたが、今作では玄太郎が癌治療のために上京して来て、東京が舞台となります。


短編集だけど、連作短編的なところっていうのは前作とも同様ですが、本作に関しては静さんの過去が絡む事件があってやや重いトーンにもなります。


・もの言えぬ証人:玄太郎の主治医になり予定の医師が医療過誤の疑いをかけられるが…
・像は忘れない:構造計算書偽造事件の渦中にあった設計家が何者かに殺される。建築業界の重鎮・玄太郎に建設団体から相談が…
・鉄の柩:退職した警官の車がコンビニに突っ込み、警官は死亡。高齢者の運転ミスと考えられたが…
・葬儀を終えて:静の元・同僚が孤独死した。だがその死の経緯に違和感を覚えた静は…
・復讐の女神:またもや静の元・同僚が亡くなる。今度は殺人事件だが、その裏にはもう一つ別の陰謀が…



医療過誤、構造書偽造、高齢者ドライバーの運転ミス、孤独死…
と、社会問題を絡ませながら、エンタメとして手堅くまとめるあたりが中山七里さん。
終盤の静さんの過去に絡んだ事件なんかもなかなか読ませてくれました。


エピローグの雰囲気だとシリーズとしては、この2人のコンビは終了かもしれませんね。
ちょっと残念。
2人とも中山ワールドでは他の作品に出ているようですので、続きはそちらで…という感じかな
静さんの娘さん夫婦が亡くなった事件に関しては、本作では決着がついていないような感じもするんですけど、それは他の作品でフォローされてるかもしれませんね。


もっともこの2人を追いかけて、他の作品にまで手を出していくかどうかはちょっと悩ましいところ。
玄太郎さんのほうは、どうも悲劇的な最期が描かれてるようですし…。
その可能性はご本人が既に自覚されていますけどね。
ま、Audibleになった中山作品を追いかけていく中で、再会できるなら、それはそれでアリってとこカナ。

#読書感想文
#銀嶺探偵社
#中山七里
#Audible

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