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直接的に時事的なことを歴史家が語るのに相応しくない時期なのかも:読書録「誰が国家を殺すのか」

・誰が国家を殺すのか 日本人へⅤ
著者:塩野七生
出版:文春新書(Kindle版)

「文藝春秋」連載エッセイをまとめたもの。
もう「5巻」ですか。
今回は「2017年8月」から「2021年8月」に書かれたエッセイ(+入院記)が収められています。
時期的には「コロナ前」から「コロナ禍中」。
日本の政治の視点から言えば、「20年8月」の安倍首相退陣は時期に入っていますが、「22年7月」の安倍氏暗殺はカバーしていません。
「あとがき」で少し触れてらっしゃいますが。


もともと「歴史家の視点」から書かれたエッセイで、時事的なことを取り上げながらも主義主張を振り回すというのとは違うシリーズだと思ってるのですが、さすがにこの期間の「コロナ対応」の時事性は強力で、なんか今振り返って読むと、
「そういうこともあったな〜」
って気分になっちゃいます。
コロナもアップダウンを繰り返しましたし(まだ過ぎ去ったとは言えないかな?)、イタリア政治、イタリアサッカーもまた。
保守の立場から塩野さんは安倍政権を評価してたと思うのですが、それも「安定」があればこそ。
そこが「コロナ対応」で揺らぎ、その後は…。
「歴史家」として俯瞰の立場から時事を語る…ってのは結構難しい時期だったんだな…と思います。
(題名の「誰が〜」は、「衆愚政」を指していると思います。この問題意識はコロナ禍でより強くなっちゃった面はあるでしょうね)


僕は「文藝春秋」はデジタル版をnoteで購入しているので塩野さんのエッセイは毎月読んでるんですが、最近は「明治日本」の話が続いています。
このタイミングで「時事的なこと」を追いかけて書くことはチョット向かないな…と塩野さんも思われてるんじゃないかなぁ…とか想像したりして。
当たってるかどうかは、知らんけどw。


個人的にこんな風に少し前の時期のことを振り返るってのは悪くないなと思いますけどね。(だから連載がまとまったら読んでるわけです)


#読書感想文
#塩野七生
#日本人へ
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