「神奈川編」の第1章って感じかな?:読書録「隠蔽捜査9 探花」
・隠蔽捜査9 探花
著者:今野敏
出版:新潮社
神奈川県警の刑事部長に竜崎が転任して2作目になりますが、転任早々の<お目見え>で派手目だった前作の事件に比べ、本作は割と地味な感じ(殺人事件で地味ってのも何ですが)。
米軍との関係、海を考慮した捜査、東京や近県との関係等、「神奈川」を舞台にした事件捜査の特徴みたいなのをさらった(それを竜崎が学ぶという構図)って位置付けでしょうか。
米軍の特別捜査官が捜査に参加したり、入庁試験で同期トップだった赴任してきたり…と、設定には「おっ」と思わせるところがあるんですが、割とサラッと話は進んだりしますw。
そこら辺は、次作以降への「種蒔き」かもしれませんがね。
竜崎は相変わらず竜崎。
自分なりの「合理性」と「正義」を貫いていきます。
自分達の思惑で動く人間が、それに振り回されて、最後に「ザマァ」ってのがこのシリーズの読みどころでもあるんですが、だいぶ周りも(読む側も)それが分かってきててw、ちょっと爽快感が少なめ…かな。本作は。
同期トップなんかはハマってくれるんですがw。
「現場」に近いところにいて、「現場」の人間の信頼を勝ち取っていく。
そういう構図が「神奈川編」でも展開していくようですが、個人的にはもうちょっと「警察官僚」としての<闘い>みたいなものを見せてほしいな〜とも。
1作目にはそういう雰囲気もありましたしね。
「事件を解決していく」ってのも、それはそれで楽しませてはくれるんですけど。
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