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こう言う文章は生成AIでは書けないだろうなぁ:読書録「さよなら、愛しい人」

・さよなら、愛しい人
著者:レイモンド・チャンドラー、訳:村上春樹
ナレーター:古屋敷悠
出版:早川書房(audible版)

「さよなら、愛しい人」
「さらば愛しき女よ」
…まあでも、
「Farewell,My Lovely」
には勝てませんな。


村上春樹訳では三度目?
もちろんオーディオブックでは初めてです。
オーディオブックで聴いて、
「いやぁ、この描写や表現はスゴいわ」
と改めて感心させられるのは、黙読時には読み飛ばしてるからなんでしょうね、やっぱりw。
しかしまあスゴいもんはスゴい。
chatGPTなんかの生成AIでも、ラノベ的な物語創作はできるような気がするんですが、ここまで至るのはかなり掛かるように思います。
別にそうなって欲しいわけでもないけど。



ストーリーの方がそれに比べて…ってのは「言っちゃいけない」w。
「なんでここまでマーロウが<大鹿マロイ>のことを気にかけるのか、よう分からん」
…ってのは、「長いお別れ」の方でリブートしてるってことかな。(テリー・レノックスで)
「女性が累計的」
…ってのは、まあそうなんですが、今回聴いてみて、「ヴェルマ」の方を深掘りして欲しくなたのは我ながらチョット意外でした。

悲惨な境遇に生まれ、底辺の生活から逃れるために恋人を売り、金持ちの男と出会ってその境遇から抜け出ることが出来たにも関わらず、なぜか自堕落な生活を送り、企みが露見したのち、自分を救ってくれた金持ち男のために自ら命を断つ。

これに比べれば「アン・リオーダン」は確かにシンプルなキャラ。
「アンとくっつきゃええやん」
と最初に読んだ時(清水俊二訳)は思ったもんですが。



大沢在昌の「新宿鮫」シリーズを最近読んだ時(暗約領域)の
「事件に比重が置かれて、キャラが…」
って感想はチャンドラー作品を念頭に置いてのコメントだったんですが、結構チャンドラーもその時代を背景にした事件を扱ってるんですよね(黒人街の成立、人種差別、ギャング、怪しい霊能力者、闇賭博、汚職警官…)。
その生々しさが感じられないほど時代が過ぎ去って読むと、そこにキャラクターたちの関係性が強く浮かび上がって読めるようになる。
…そう言うもんかも。
「暗約領域」も、ヤクザの権現や渋川と鮫島の関係性にはそう言うものがあると言えるかもしれません。



次の作品は「高い窓」かな?
少ししたらaudibleで楽しませてもらおうと思います。


#読書感想文
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