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「その先」の話ですな:読書録「DX進化論」

・DX進化論  つながりがリプートされた世界の先
著者:尾原和啓、宮田裕章、山口周
出版:MdN

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対談される皆さんの問題意識が「先」に行き過ぎてて、若干ついていけない気持ちにも…w。
僕自身の課題認識は、まだ業務や行政システムのデジタル化・効率化…くらいのところをウロウロしてる感じなもので。
対談者の視線は、その先。「社会の価値観」や「国家のあり方」みたいなものが、、D Xによってどんな風に変わっていくか…にあります。


ベースにあるのは、
「データ」が大量に集められ、分析され、活用されることで、個々人が持つ多様な価値観が把握できるようになり、そこに焦点を当てたきめの細かな対応ができるようになる
という認識。
本書でいう「DX」ってそこまで広範囲の視座を持ったものになっています。
「最大公約数の幸福」ではなく、「最大“多様“の幸福」を目指す社会。
<「役に立つ的な最小不幸をコミュニティが担保しつつ、意味論的な最大“多様“幸福」をどう実現していくか>
今の中央集権的な「資本主義」や「民主主義」の仕組みをハックする…ってスタンスでしょうかね、言ってみれば。


そこまで今の社会が変わって行くのか/行けるのか、個人的にはなんとも言えませんが、例えばこの1年余りの「コロナ対策」においては、中央集権的なアナログな仕組みの限界もかなり露わになりましたし、そこへの問題意識は結構共有されたような気配も感じています。
今繰り広げられている自民党総裁選が、毎度毎度繰り返されていた「井戸の中の争い」とは異なり、結構幅広く政策論争が行われ、一定の注目を浴びるようになってるのも、その影響かなぁ、とか思ったりもします。
「中央集権的なアナログな存在」を仮想敵としていたはずの野党の方が空回りしている現状を見ましてもw。


僕個人としては
「こうなって欲しいなぁ」
と考えています。
それだけに本書について言えば、「概念」的なところよりも、もっと社会実装のところの議論をして欲しかったな、ってのがありますかね。
宮田さんあたりは、実際はそういうところに食い込んでるはずですし、「デジタル庁」ができることで、そこに踏み込んでいく機運も高まっていますから。


まあ、「既得権益層」の反発・揺り戻しも強そうですがね。
彼らは「過去の仕組み」で<成功>して、既得権益を確保してるわけですから。
権力者層から、巷の小権威に至るまで、ここら辺の反発は必ずあると思います。
もっともそこらへんの不合理性を「露わ」にしちゃうのもまたデジタル化の一側面でもあるので、ここら辺はイタチごっこかな?


そのことを考えると、実はあんまり野党の方を推せない…ってのが結構不思議なんだよなぁ、今の政治勢力の構図って。(もちろん自民も既得権益層に支えられてるんだけど、どっちがこういう変革に取り組めるかっていうと、野党には期待できないです)
ま、菅政権後がどうなるのか。
結構、興味あります。


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