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ハードボイルドって、いつの間にやら時代遅れ感が強くなった気がする:読書録「大いなる眠り」

・大いなる眠り 
著者:レイモンド・チャンドラー 訳:村上春樹
ナレーター:古屋敷悠
出版:早川書房(audible版)

双葉十三郎訳で2、3回。
村上春樹訳で1回。
…で、今回オーディオブックで村上春樹訳の「再読」ということになります。


中身については、どうこういうことはないでしょう。
村上春樹訳を読んだ時、
「双葉訳に比べて、丁寧な訳で、品がいいな」
と思ったんですが、今回はそこまでは感じなかったです。
チャンドラーの描写が丁寧で、
「どこまで描写するのか」
の塩梅がすごく「村上春樹っぽい」とは思いましたw。
まあ、村上春樹がチャンドラーに学んだ…ってことなんでしょうが。



考えてみたら、内藤陳さんが「読まずに死ねるか」を書いて、冒険小説・ハードボイルドが流行りになったの80年代。
村上春樹さんのデビューは79年ですから、ハードボイルドのスタイルが日本で受け入れられるようになった土壌が「村上春樹」ブームの裏にはあったのかもなぁ…と。
(「羊をめぐる冒険」(82年)「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」(85年)あたりはハードボイルド・スタイルがかなり強いです。
ブームとなった「ノルウェイの森」(87年)はそこまでじゃないですけど)



「ハードボイルド」ブームはいつしか過ぎ去り(というより、スタイルが咀嚼されて、誰も特別に思わなくなった感じかな。文体とかスタイルがそうなっていくにつれて、物語的なハードボイルドはやや戯画的になって来たかも)、日本文学で「異端」っぽかった「村上春樹」がいつの間にやらメインストリートに位置付けられるようになり…とまあ、なんだかここら辺の流れは振り返ると不思議な感じもします。
村上春樹作品は「純文学」とは僕には昔も今も思えないんですけどねぇ。



チャンドラーの他の村上春樹訳もaudibleになっています。
発表順に読んだことはないので、一回順番に聴いてみようかな?
ボチボチ、ね。



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