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謀を巡らせるのは…:読書録「黒牢城」

・黒牢城
著者:米澤穂信
出版:KADOKAWA(Kindle版)



織田信長に叛旗を翻した荒木村重。
籠城する彼の元に訪れ、捉えられ、牢に押し込められた黒田官兵衛。
…その史実を背景に、有岡城籠城中、「閉鎖空間」である城で発生する奇異な事件の解決を、城主の村重が、囚人である官兵衛に依頼する…というスタイルでの連作短編集になります(収録されているのは4編)。


それぞれの事件の背景には「謀(はかりごと)」があり、さらに大きな「謀」がその裏には進展しているという…連作短編としては「ありがち」な構図ではあるものの、それが「戦国」という時代、「荒木村重」「黒田官兵衛」という、一筋縄では語れない武将の、極めて特殊な状況下での廻り合わせを題材とすることで、非常に興味深いエンタメ小説になっています。



正直、米澤穂信さんについては僕個人としては「当たり外れ」があるんですが(「氷菓」シリーズは乗り切れず、「満願」は好き)、本作は「当たり」の方でしたね。
(まあ、ちょっと「氷菓」っぽいとこも、なきにしもあらず…ではあったんですがw)


あと「荒木村重」。
僕はこの武将が嫌いなんですよw。
まずはお気に入りの「織田信長」に「あのタイミングで」叛旗を翻したこと。
それ以上に、自分だけが城を落ち、孤立した部下たちを見捨てたことで、女子供を含めた大虐殺(やったのは信長ですが)を起こしながら、自分は天寿を全うした…って生き様がどうも…。
そこら辺にも本作はリーチしています。
もしかしたら読み終えたら、ちょっとは、村重のことが好きになるかな…と思わなくもなかったんですが、そりゃなかったっすねw。


歴史好き、ミステリー好きなら、読んで損はない作品ではないか、と。
賞レースに絡んでくるかどうかは、なんともいえませんが…。

う〜ん、「王とサーカス」読むべきかなぁ…。


#読書感想文
#黒牢城
#米澤穂信

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