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〈無料〉あなたも出来る飛行機からの脱出「非常口をあけるとき覚えておきたい最低限のこと」

この記事では飛行機のシートで
最近人気の非常口席に座る際に
知っておいたほうが良いことを
解説します。

連続してupしてきました

こんなこといままで誰も教えてくれてなかったシリーズ

あなたも出来る飛行機からの脱出「はじめに」 

「救命胴衣と非常口はどこにあるのか?」

「着陸準備ってなんでやらなきゃいけないの?」

「なぜスリッパで離着陸してはいけないの?」 

ときましたので今日は上級者向けに

非常口座席に座った時の心構え

を解説します。


はじめに、なぜ非常口の開け方を説明するのか?
安全脱出のための基礎知識1「非常口の種類」
安全脱出の基礎知識2「ジャッジメントを覚えよう」
まとめ

   


はじめに、なぜ非常口の開け方を説明するのか?

非常口座席は足元が広い席なので
「自称乗り慣れた」乗客に
とても人気があります。

あなたは緊急脱出の際は脱出の
援助をすることに同意し
ラッキーにも足元広い席
ゲットしました。

ところが…

なんとタキシング中に機内に煙が発生
機外へ脱出しないといけないみたい。

煙で客室乗務員の姿は見えない。
パニックになった機内。
乗務員からの指示もよく聞こえない。
あなたはこの時どうしますか?

注:
機体中央の非常口座席に座ってる場合を想定します。
すなわち機材の想定はA320/B737型機材です。
このタイプは機体中央に乗務員が着席していないシートの横に窓型の
脱出口があるものです。

そもそもこんなシチュエーションを
考えながら非常口座席に座ることに
同意してる人はあまりいないと思います。

ほとんどのひとは何も考えず
「非常口座席が足元が広いから」
という理由で座席指定していますよね

チェックインの際にグランドスタッフに
「非常口座席にお座りの場合は緊急脱出の援助をお願いします。」
なんて言われて
「おっけーおっけー任しとけ」とか
調子いい感じで答えたりしてませんか?

飛行機に頻繁に乗ってて慣れてる自負が
あるのであれば、是非今からわたしが
説明することは知識として身につけて
おきましょう。

ここでわたしが伝授するのは
運悪く自分で非常口ドアを開けないと
ならなくなった場合の最低限の手順です。

大型機材では旅客が非常口ドアを
自分の判断で開けなければならない
ってことは非常口には乗務員が
必ず座っているので無いのですが
一部の機材、例えばA320やB737などは
非常口なんだけど乗務員が座ってない席
というのが存在します。

いま例に出したA320/B737等は
非常に多くのエアラインが所有しており、
世界中飛んでいる人気のメジャー機種です。
LCCなどでもよく使われていますので、
搭乗した事がある人はとても多いと
おもいます。

これらの機材は機体中央(翼上)に
「窓型タイプの脱出口」がついており
ここは普通に旅客しか座ってませんので
今回はこのタイプの非常口座席に乗ってる
ことを想定して脱出の仕方を書きます。

この機材ですと機首と後尾にしか
客室乗務員が座っていないので
要はなんかあったら脱出の仕方や
窓の開け方を指示してくれる人が
近くに誰もいないのです。

窓型タイプの脱出口のある非常口に
座ってしまった場合、最低限の知識は
持っていたほうが、自分も助かり
周りも助けられるので
出来るだけ丁寧にわかりやすく
端折らず説明していきますね。
そういえば
覚えておくべき英単語はもう
頭に入ってますでしょうか?

「でぃっちんぐ」と
「えばきゅえーしょん」です。

詳しくは

「脱出するための英語塾」
に書いてありますのでよく読んで
みてください。

これは文中何度も出てくるので
覚えておくとよいでしょう。


安全脱出のための基礎知識1「非常口の種類」

ここでドアの開け方を説明する前に
飛行機の脱出口にはいろいろ種類がある
っていうのを覚えてください。
最低限の基礎知識です。

飛行機の非常口ドアには緊急脱出用の
滑り台兼救命ボートがあらかじめ仕込まれている
という事を知っておかねばなりません。

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ドアの中にボートと滑り台が入ってる

飛行機に乗ったら出発前に全員見ないといけない
セーフティビデオでも説明してますが
緊急脱出用のスライド(滑り台)   
というのはディッチング(着水)の際は
救命ボートにもなる両方に使えるものが多いです

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「多いです」って書いたのはわざとよ。
全部じゃないのだ。

そう、今回例に出したA320だのB737だのは
機体の中央の窓型脱出口には
脱出用スライドもラフトも無いんです。

窓が外れるだけ。
さあここでわかりやすいセーフティデモビデオを
ご紹介します。


そしてこれが窓型脱出口

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A320 窓型EXIT

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よっこらしょと窓枠をよじ登って
このように

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翼上の脱出経路

翼上を伝って降りるという
超出るのがめんどうな脱出口なのだ。

飛行機ってドアの位置する条件で
救命ボートにもなるスライド(滑り台)か
それとも簡易EXITとなるか決まります。

ドアによってスライド/ラフトが
設置されてないところがあるんですね。
それが翼の中央の脱出口。

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翼上に救命ボートの無い脱出口画像

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窓型EXIT

乗務員が近くに座ってない席
レガシーキャリアでは上級会員のみが
指定出来たり、
LCCではエクストラレッグシートと
言う名前でオプション料金を払って
指定したりする、足元広いシート
として売られてるあの席です。

なので飛行機に乗りなれると自覚のある
旅客が座りがちな席でありますが、
乗り慣れてると言ってもただ何回も
乗ってるだけではこういう専門知識は
身につきませんのでね。

はっきり念を押します。

非常用の脱出口って、基礎知識が無かったり
専門訓練を受けてない人が自分勝手な判断で
勝手に開けてはいけないのです。 
                                

いま説明したことで

「ドアの場所によっては救命ボートにはならない脱出用スライドもある」

という、ざっくりとした基礎知識が持てた
賢い人はもう分かったと思いますが
なぜ「でぃっちんぐ(着水)」という状況を
一刻も早く把握することが大事なのか?

もう答えは簡単ですね。

機体が滑走路を滑ってそのまま海中に
ドボンと落ちてしまった場合
条件が整わないと開けられない
EXITがあることを知らないと
大変なことになるからです。

日本の空でも沢山飛んでるB737やA320

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この図をご覧いただければ窓型脱出口が
どの辺りにあるのかわかりやすいと思います。

さっきも書いた通り機体中央にある
非常口座席等には、乗務員が近くにいません
ここで勘違いした正義感あふれる意識高い人が
空港カウンターで援助を了承して座ったがために
俺様は頼まれたんだから非常口を開ける権利がある
短絡的に思い込んで勘違いしてしまい
何も考えず勢いで開けてしまう場合が
あるかもしれず。

こわいですね。

そしてそんな状況、機内がパニックの時は
客室乗務員は機体真ん中までいちいち様子を見に
親切にやってくることはあり得ないでしょう。

てか、混乱状態で機体中央までは到達できない
のはもう簡単に予測できますね。

その時、旅客が自ら外の状況を見て
着水してしまっていて非常口をむやみに
あけることは適切ではないなど
的確に判断しないと助かりません。

パニックに陥った人や、判断できないひとが
勝手に非常口を開けようとする場合は
そいつを羽交い締めにしてでも
非常口を開けるのを止めないといけません。

それも立派な
「非常口座席に座る人が期待されている援助」
になるのです。

正しい知識はたくさんの人の命を救います。


安全脱出の基礎知識2「ジャッジメントを覚えよう」

航空機事故で脱出案件になった場合
正しい知識は多くの人の命を救いますと
安全脱出の基礎知識1で書きました。

この項目では一歩進んで
窓型脱出口をあける際の
「ジャッジメント」っていう
重要な儀式を覚えましょう。

もう一度状況を思い出してください。

自分は空港のカウンターで脱出の際の
援助を了承し足元が広い席である
機体中央の非常口座席に座っている。

突然タキシング中に機内に煙が充満
客室乗務員は前と後ろにしかいない。
判断は自分でしないといけない。
脱出命令の合図であるEVAC警報は
客室内に鳴り響いている。

さあどうする。

まずは前か後ろに逃げましょう。

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脱出口

え?開けないの?と思った方
そりゃそうです。

素人が非常口を触らないほうが
いいに決まってます。
それにさっきも言った通り
窓型脱出口はうまく出られたとしても
そのあと外に滑り台もボートも何も無いので

このように

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翼上脱出口

翼をつたって下に降りないといけない
かなり足元が悪く歩くのですら難関な仕様です。

それこそスリッパだのサンダルだの
ヒールだのでは翼上出ることも無理です。

で、前も後ろもパニックでもう出られん、
煙も炎も迫ってきてて万事休すってなったら
はじめて開けるくらいの気持ちでちょうどいいです
最後まで前か後ろの正規の脱出口から
逃げること最優先してください。

でももう駄目だ、ここは開けないと
助からないってなった場合。
どうするか教えます。

まずは窓の外を確認してください

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離着陸時シェードを開けていることが
重要だと書きましたがこの
ジャッジメントをするのに
窓は大事な情報源です。

外の状況を確認せずにすぐに
窓型脱出口をはあけてはいけません。

まずやることは窓から外を確認します。

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確認することはこの4つ

水位
スペースがあるか
火災は無いか
燃料は漏れてないか


順に詳しく説明します。

1:水位

ディッチング(着水)だったら、
浸水度合いを見ます。
ドアをオープンできる水位か
水が入ってくるような浸水でドア開けたら
せっかく浮いてた機体が水の侵入で
一気に沈んでしまうかもしれません。
ここは慎重に確認するところ

2:スペースがあるか

EXITの外のスペースがあるか見ます。

例えば翼が折れて機体のほうに
干渉している場合などは
脱出口のドアは開けられないし
フェンスや壁に衝突してドアを開けても
脱出する隙間がなかったりしたら
その脱出口は使えないですから。
人が出られるスペースがあるかを確認して
開けることは大事なのです。

3:火災はないか

次は火災が起きてないかを確認します
むやみに開けたら
火が機内へ入ってくるかもしれません。
火の中を華麗にスルーして脱出するのは
プリンセステンコーに任せて、
他のEXITへ逃げましょう。

4:燃料は漏れてないか

そして次に燃料が漏洩してないか見ます。
燃料が漏れてたら
そこに引火爆発する危険があるので
脱出経路としては不適切です。
翼は燃料タンクも兼ねているので
漏れた燃料に引火して爆発するかもしれません。
これもEXITを開けてはいけない状況です。

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この4項目の確認が出来てはじめてEXITを
開けてもいいのです。

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セーフティーインストラクション

窓型タイプの脱出口の開け方は座席の前にある
セフティーインストラクションという
安全のしおりみたいなのに書いてあるんで
非常口座席に座った場合は熟読しましょう。



まとめ

この記事はなるべくシンプルに
分かりやすくがモットーなので
シチュエーションをかなり絞りましたが、
空港カウンターでいくら援助を了承したとしても
非常口はむやみやたらに開けてはいけない
ということは伝わりましたでしょうか?

ポイントは

★飛行機の非常口はおおまかに2種類ある
 :スライド・ラフトがドアに仕込まれてる複雑タイプ
 :窓が外れるだけのシンプルタイプ(滑り台もボートもない)

★やむを得ず非常口を開ける場合はジャッジする
 1:水位は?
 2:スペースはあるか?
 3:火災は起こってないか?
 4:燃料の漏洩はないか?

さて、ここまで読んで事情がわかった人は
多いと思いますが
例に出したA320/B737等の飛行機だと
いくらちょっとだけ他の席より足元が広い
といっても、非常口座席って面倒すぎって
思います。

ぶっちゃけ
ここに追加料金を払ってまで座りたくないな
と専門知識のあるわたしですらおもいます。

もっと現実的なこと言うと
機体の真ん中の非常口座席は
どの非常口からも実は最も遠いので。
逃げるの一番最後になっちゃうのよね。

そしてこのエリアには
客室乗務員もいないので
万が一の際に条件がそろってしまうと
自分が脱出口を開けなきゃいけないんだ
っておもうと気が滅入ります。

なので
「足元広い席でラッキー」みたいなのは
旅慣れ気取りの戯言なのです。
自分のせいで助からない人がいるかも
ってのはここに座る場合は
きっちり考えないといけません。

その辺はトレードオフですけどね。

そんなこんなで、
「あなたもできる飛行機からの脱出」
何かあったときに頭の隅っこに残ってて
怪我無く安全に脱出してほしいと思って
書きました。なので全文無料です。

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SNSでシェアしてくださると非常口ドアを
正しく扱える人が増えるかなって思います。

==========

急な脱出の際は荷物を持って逃げられません。
国際線搭乗ではパスポートやスマホやクレカなどは肌身離さず
ポケットに入れて離着陸しましょう。

ーーーーー

旅行で使える荷物のパッキングの技

旅慣れは荷物が少ないって洗脳されてる人多いですけど
あれ誤解なので惑わされないでねって話を書いてます。

荷物を少なくしないといけないのって
経済的理由であって旅慣れとは全然関係ないのです。

賢い皆さんは知識は正しくアップデートしましょう。


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