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[客力の磨き方] 良き客になるための教科書-ホテル編- 「客の出したゴミ、中身の分別チェックしてるって本当ですか?」

客力の磨き方シリーズのホテル編


はじめに

みなさまはホテルの部屋を掃除してもらう時ってどうしてますか?

唐突にこんなことを聞くのには理由があります。
わたしはご存知のように、この30年間ホテルに泊まりまくりな訳ですが、連泊やチェックアウトの際、一体部屋がどうなってたら掃除のスタッフが掃除しやすいのかな?と考え続けてきました。

独自に取材を続けた結果「使ったものは使ったとわかりやすいように置く」「元に戻したり、使用済みをわかりにくく置かない」等、大事なポイントは押さえられるようにはなりましたが、お掃除してくれる方々の本音がどこにあるのかなど、細かい部分は突っ込んで聞く機会が持てずにいました。

なので、疑問を解消すべく思い切ってホテルの内部事情に詳しい人に、「SUZUが疑問を持っていたり、どうしたらいいか迷っている様々なこと」を聞いてみることにしました。

今回わたしの質問にお答えくださったのは、ホテルでGMの経験もあり、現在はホテルや宿泊施設の現場で最前線に立っているコンサルのかず様です。

そしてこの記事は

〈サービスに奇跡はない「接客される技術」〉シリーズの企画であり
【客力の磨き方】ホテル編 としての立ち位置です。「客力」は磨いた方が充実した時間を過ごせますのでね。

これからは「客力」を上げていくことってとても大事だと思うのです。客だからと無駄に偉そうに振舞うことは野暮だと自覚し、客が自覚的に「良い客であろう」と客力を磨くことがまず客のあるべき姿だと思うので。

客として初心者でないのなら、経験を積んで成長したその先で「お客様は神様」の意味を都合よく解釈することは一番避けたいことです。



新しくはじめるホテル編の初回のテーマは「部屋の清掃」です。

・使用済みタオルはどこに置けば掃除スタッフがまとめやすいのか?
・ホテルの部屋にあるゴミ箱が小さい問題に客はどう対峙したらいいのか?
・チェックアウトの際ゴミの分別はどこまでしておくのが望ましいのか?
・ホテルの人たちは客に部屋でどんなことをされたら激おこになるのか?
・ホテルでどんな風に部屋を使えば良い客だと思ってもらえるのか?

楽しく快適にホテルに宿泊したいのに、最低限のお作法を知らないことが理由で、データベースに「要注意客」って書き込まれたら台無しですからね。これを教科書にして「客もちょっとは学ぼう」ってのがこの記事の目的です。

それでははじまります。

ここから先は…全文無料でお届けします。





ゴミの分別、どこまで客がするべきですか?

SUZU:チェックアウトするとき、また連泊で部屋を掃除して欲しい時等、ざっくりとゴミを分別することにしているのですが、どこまでやればいいのか迷うことがあります。

なので最初はゴミの分別について伺いたいと思います。

わたしが実行しているのは、まずペットボトルとビン、カンの分別、これらはゴミ箱に入れず、ゴミ箱の横に種類別に並べてます。また不燃か可燃かも袋を持参し分別してから捨てていますが、プラゴミか?紙ゴミか?などと分けはじめるとキリがないので、そこまではしていません。
時間がある時はホテルの住所から地域の分別方法を調べたりもするのですが、地域ごと全然違うのでいまはおおまかな分別だけを心掛けてます。
こんな感じで手探り状態ですがこれで合格いただけるかしら?

「燃えるゴミはゴミ箱へ、燃えないゴミやペットボトルはゴミ箱横へ」

かず:各自治体で分別方法が違うため、ホテルによってはゴミ箱を数種類置いてあったり、お願いが掲示されていることがあります。指定や個別設置がある場合はそれに沿っていただくとありがたいのですが、そうではない場合、「燃えるゴミ」「燃えないゴミ」「ペットボトル」に分けて置いていただくのが一番助かります。SUZU様がおっしゃるように、燃えるゴミはゴミ箱へ、燃えないゴミやペットボトルはゴミ箱横へ、その程度の分別でもかなりありがたいです。

S:「燃えるゴミはゴミ箱へ、燃えないゴミやペットボトルはゴミ箱横へ」ですね。

レジ袋有料化問題

K: 以前はごみ箱の横にコンビニ袋にまとめて置かれるお客様も多かったです。その場合はゴミとして回収しております。最近はコンビニ袋が有料となり、捨てる用の袋をお持ちでない場合もありますが、フロントにお声掛けいただければご用意できるホテルも多いと思います。

S:こんなところにもレジ袋有料化問題が!
素朴な疑問ですが、捨てる用の袋を頼む先はフロントなのですか?客室係(ハウスキーピング)じゃなくていいんでしょうか?ラグジュアリーホテルの客室の電話って大体各担当につながるボタンがあるので。フロントにかけて「ゴミ袋のことはハウスキーピングにかけろよボケ」って内心思われたら嫌なので…この辺ほんとのことを教えてください。

K: ゴミ袋としての利用であれば、客室係へのコールでも大丈夫です。その場合は、例えばゴミ箱内に掛けるような透明袋などを持っていく場合もあります。この袋をご要望であれば客室係へご連絡をお願いします。コンビニ袋は、ちょっと買い物にいきたい時や雨で濡れたものをいれたいなど様々なご要望があり、フロントに常備しているケースも多いです。レジ袋有料化後はこのご要望も多いので、客室係・フロント係どちらでも構いません。

S:コンビニ袋の用意までしてるなんてさすがラグジュアリーホテルですね。聞いて良かったです。出掛けに「レジ袋ってありますか?」とフロントで貰っていける場合もあるのですね。それは良いこと聞きましたわ。

それにしても日本のラグジュアリーホテルを使ってて感心するのは、本当に何でも用意してるんだなってこと、これは細やかすぎて驚きますね。無いって思ってもダメ元でありますか?って聞いてみると大抵何でもある。これはすごいことです。

ゴミ袋は客室係に、買い物の時に必要そうなレジ袋ならフロントに電話して聞いてみる、参考になりました。


クリーニングバッグはゴミ袋ではない

K: たまに(ゴミ袋の代わりに)クリーニング用の袋にいれて捨てられる方もいらっしゃいますが、

S:クリーニング袋をゴミ袋として使う、なるほどーナイスアイデアですねぇって感心してる場合じゃ無いですね。それは衝撃的なお話です。ありえないですわ。その発想がなかったのでいまとても驚いております。

最近極端なエコ化が進み、ラグジュアリーホテルのクリーニング用の袋って、ビニール製を全く見なくなって、布製だったり不織布だったりなんですが、まさかのあれをゴミ袋にしてしまうって非常識な客がいるんですか? 想像を絶しますね。

あ、でもそういえばクリーニング袋がエコ仕様で紙になってるところもあって、紙製ならゴミ袋にちょうどいいなと使ってしまう客はいそうではありますね。


K: (ゴミ袋をクリーニング袋で代替してしまうことは)不織布でも数件ありました。ビニールや紙製の場合、さほどレアケースではありません。お客様目線で考えると、ゴミをまとめる袋としてなにか探したらクリーニングの袋があった、という感じでしょうね。特にそれ自体は問題にはしておりませんが、より入れやすい袋もありますのでフロントにご連絡下さい。

S:ええええ、ちょっと待ってください。不織布のクリーニングバッグをゴミ袋にするって相当非常識で問題ありありですよ。
「より入れやすい袋もありますのでフロントへ」
ってレベルの話じゃ無いですよねこれ、やられたら激おこですよね?
ホテルスタッフの本音は「クリーニング袋をゴミ袋に使ってくれるなよ、ゴミ袋は準備があるからいくらでも渡すからお願いだそっちに入れてくれ」って訳してみたんですけど、あってますか? 

K: 確かにそれはありますね(苦笑)本音で細かなことを言いますと、専用のクリーニング袋と汎用のゴミ袋では単価がかなり違います。一部屋単位では大した差ではありませんが、館全体的に考えるとクリーニング袋を使用されるのはやめていただければ、というのは正直あります。

S:ですよね。
皆さん、どうかゴミをまとめたいならクリーニング袋は使わないようにおねがいします。ゴミ箱にかけている的なビニール袋が必要なら客室係に、レジ袋ならフロントに電話しましょう。ほんとこれはモラルの問題でもあるので。
自分の中にクリーニング袋をゴミ袋の代わりにしてしまう発想がなかったのでちょっと衝撃を受けてます。
でも話を聞いてやる人いるだろうなーとは思いました。



ゴミ箱の横に置いていても捨ててもらえない

S:ホテルによってはゴミ箱に投入されてないものは捨てない「すべて忘れ物として処理する」みたいな謎ルールがあって、ゴミ箱の横に入りきらないものをゴミ箱の横に並べていたらぜんぶそのままに置いていかれて絶望しました。
それ以降念のため「ゴミです」ってポストイットで貼ってるんですけど、どんなケースだと紛らわしいと認定されるのでしょうか。

K: 連泊のお客様で、ゴミ箱の横に少し中身の残ったペットボトルを置かれている場合があります。

S:あー一番嫌がられるパターンですね、ペットボトル飲み残しの放置。これはわたし独自の取材でも明らかになってるキングオブクソ客認定されるやつです。
ペットボトルの中身残しておく、かつゴミ箱にちゃんと入れない。はめちゃくちゃ嫌われてますね。


K: 私たちも基本的にはゴミと判断しますが、ごくまれに「飲むつもりだった」とおっしゃる方がいらっしゃるのも事実です。まぁこれはクレーマーの罠のケースもありますが・・・ そのため、連泊のお客様は「少しでも残っているものは捨てない」と判断するホテルも少なくないかと。

S:そんな罠を仕掛けるクレーマーがいるんですか。なんか悲しいですわね。色んな客がいるでは済まされないですわ。
これはほんとお掃除の方は神経すり減りますね。
旅慣れ良い子は、ペットボトルを捨てて欲しい場合は絶対に絶対に中身は空にしましょう。


ホテルのゴミ箱は小さすぎ

S:ラグジュアリーホテルのゴミ箱って設置数が少ないのは掃除面倒だからってのはわかるんですが、極端にサイズが小さいのはなんででしょう?

K: ゴミ箱が小さい主な理由は、生活感を出さないためだと思われます。小さくしないとダメということはないのですが、ゴミ箱は小さい方が雰囲気を壊さないという風潮はあると思います。お客様の利便性を考えるとその点は改めて疑問ですね。シティホテルやビジネスホテルの方がゴミ箱は大きいものを使っています。

S:いまですね、わたしめっちゃ脳内「へーボタン」を連打しております。「ゴミ箱が小さい方が雰囲気を壊さない」なるほどそこまで客のことを考えてくれてるラグジュアリーホテルって…すごいけど、客にとっては使いにくいです。
今はコ口ナでターンダウンもないホテルが多いし1泊で結構なゴミの量になるのでゴミ箱はおおきくするか数を増やして欲しいですね。

ちょっと話があっちこっち飛びましたので、まとめます。

ホテルスタッフからみて「こうなってるとありがたい」って具体的なゴミの置き方ってどのようなものでしょうか?

K: 燃えるゴミ、燃えないゴミ、ペットボトルと分けて置いていただければ助かります。またゴミ箱の周りにまとめて置いていただくと、基本的には全てゴミだと判断しております。飲みかけのジュース類は中身を捨てていただくとゴミと判断しやすいです。またデスクやテーブルの上に置いたままの空いたペットボトルは結構悩みます。結局は回収しないことが多いので、捨てる場合はゴミ箱横に置いていただければと


S:重要なポイントですね、これ試験に出ます!

デスクやテーブルの上に置いたままの空のペットボトル。これもよく聞くんですけど、捨てて欲しいゴミはゴミ箱にってことですな。当たり前のことだけど完璧に出来てる人少なそう。

今までやってなかった人、次回から参考にしてみてください。


客の出したゴミ、 分別されてるか中身見るってほんと?

S:わたしが客なのになんでこんなに不燃可燃ペットボトルビンカン分別を気にしているかと言いますと、ゴミはある程度分別してから部屋を去らないと、お掃除スタッフは客が出したゴミの中身をあけてチェックする作業があると聞いたからなんですが。

例えば不燃ゴミと可燃ゴミを一緒に入れていたら、それもスタッフが全部取り出して「燃える」「燃えない」とか分別してるんでしょうか?
それともこの分別って、ペットボトルとカン・ビンが混じっていたら取り出す程度なのですか?

開封して視認する

K: いろんな対応の仕方がありますが、最近はコ口ナのこともあり、ある程度分別していただいているお客様のゴミ袋は、外から触って不燃物が入ってなさそうであればそのまま捨てます。または開封してさっと視認します。プライバシーや衛生面の観点からも、最近はあまり細かくチェックは行いません。以前はおっしゃるように細かく分別していました。特に分別が厳しくなった頃ですね。最近は最終的にゴミを回収する企業の技術力がすごく進歩し、ある程度の混在はOKな場合もあり、清掃スタッフのリスク・衛生面を優先しているところは多いです。


S:やはりいまはコ口ナ禍なのでマスクなど衛生に関わるものをきちんと捨てるのは客側の配慮も必要そうですね。

わたし自身はスタッフを危険に晒したくないなと思う気持ちもあって、マスクなどは別にしてビニール袋にいれ封を閉じてから燃えるゴミにまとめています。

マスク専用廃棄袋を部屋に置いてあるホテルもあります。



部屋が汚すぎる客は情報共有されますか?

S:あんまりにも部屋のゴミ捨てがぐちゃぐちゃで汚部屋にしちゃった客とかって、端末にリマークス入れて情報共有したりするんですか?

K: 極端に部屋を汚す方は正式に情報共有する場合があります。実際の報告事例としては「ビールシャワーをされたのか、カーペットがアルコール類でびしょ濡れで特別清掃依頼」「壁に大きな汚れがついており、一般清掃では取れないので特別清掃依頼」などがありました。このレベルだと次回の要注意人物扱いにはなります。

S:航空会社で言うところのリマちゃんですね。

それ、あんまりひどく部屋を汚したりすると出禁になったりするんですか?次回の予約受けないとか。

K: 各ホテルの判断にはなりますが、よほどひどく部屋を汚された場合はあり得ます。ただ通常は1回くらいは様子見、ただし要注意人物視はされている、という感じですね。

迷惑な客に対する措置

S:ちなみに、清掃関連でラグジュアリーホテルの部屋で絶対してほしくないことって何かありますか?

これをやられたら絶対に即要注意人物リスト入りとか。

さきほどビールシャワーの話がでてましたが、シャンパン風呂に入るとか、薔薇の花びらバスタブに入れるとか、Twitterで見たのはスイートルームでパーティーしてラメ入り風船割るとかですが。

部屋で毛染めはしないで欲しい

K: どれも正直困ることではあります(苦笑)次のお客様への影響が色濃く残るもの、ですね。臭いや詰まりはやっかいですし、ラメは全て取り去るのにかなり苦労します。事前にご相談いただくと逆に協力できたり、翌日からの部屋調整を行えるのでありがたいです。一番頻繁でかなり困っているのは、髪を染める行為です。これは禁止事項としてわざわざ提示しているところもあります。それでも頻繁にあります。染料がバスタブや壁面に付くと、なかなか取れないんです。通常清掃ではまず完全にはとれないので、特別清掃扱いになります。またタオルや枕カバーなどあらゆるものがダメになります。追加料金をいただくと記載があってもやられることはあり、本当に困っています。

S:パーティーしたいとかでホテルでビールかけやらラメ入り風船割るなどは、きっとやらかす客がいるんだろうなとは想定していましたが、ホテルに泊まってる時間に髪染めをしてしまうのかのほうが想像できてませんでしたわ。
タオルや枕カバーが全部ダメになるって、それはやはり罰金ものですよね。それこそやったら「部屋で髪染めする要注意客」としてリマークス情報を入れられるやつですね。

K: 清掃に限ったことではありませんが、良い面・注意点は小さなことでもお客様情報に書き込むことはよくありますね。

S:具体的に書き込む情報としては「要注意客」とかではない場合、「リクエストが細かい」「神経質」「清掃チェック厳しい」「すぐ怒る」とかですか? 
あと「良い面」って具体的にどんなこと書くのですか?これは是非知りたいです。

K: 清掃面で共有される注意点としては、「○○に関してお叱りをうけた」などは書き込みますね。これはお客様が厳しいという意味ではなく、同じ間違いは繰り返さないという目的です。また「ゴミ袋のご依頼を受けたので、次回も用意しておく」など、今後そのお客様がご利用になる際にご滞在をより快適にできるよう、そういう注意点が多いです。

S:裏で「ムカつく客」とか書かれて共有してるのかとドキドキしてましたが。快適に過ごしてもらうためってのがラグジュアリーホテルっぽくてすごいなと思いました。

K: 良い面に関しては、清掃面では「ゴミは分別して置いていただけた」や「ベッド回りをキレイにしてご出発されている」、「清掃スタッフがお部屋前でお会いした際にお声かけいただいた」などです。また接客面では「いつも笑顔で応じていただける」「チェックインが混んでお待ちいただいたのに、大変だねとお声かけいただいた」など、ほんの少しでもスタッフが嬉しかったことが書き込まれたりします。

S:ラグジュアリーホテルだとそんなことまで共有されちゃってるんですね。わたし部屋は掃除し易いようにという気持ちで連泊中もゴミ分別などをかなり頑張ってるので、それ共有されてるといいな。
それにしても細かく見られてるんですね。お掃除の人にちゃんと挨拶しててよかったわ。成績つけられてるみたい。
これからも良い客でいるために頑張ろうって気持ちになりました。

素敵なお客様はスタッフの教育にいい影響を与えている

K: 重要事項の共有というより、備考欄・メモ欄などに書いてありますね。これはお客様ご自身の清掃・ご利用面というより、このような対応をされる方は自社顧客として理想という点で共有することが多いです。「こういうことができる人」という意味ではなく、このような対応が自然と身に付いていて、様々な振る舞いが素敵な方という観点ですね。スタッフに対しても分け隔てなく気持よく対応していただけますので。内部事情までお話しすると、このようなお客様には勉強中のスタッフをあえて担当させて、「素敵なお客様」を感じてもらう事もあります。

S:そんな教育の仕方があるんですね。

実は思い当たる節がありまして、ホテルじゃないんですがレストランでわたしの席にばっかり新人がやってくる傾向があって、あれってそれ的な何かなんですかね?
もし「素敵なお客様」認定してもらえてるならそれってとても嬉しいのですが。本音を言えば「わたしは練習台ではなく客なんだけどな」と思ってるのですが。
その辺についてはどうお考えですか?


K: おっしゃる通りです。実は、私たちも常に悩ましく感じているところです。お金をいただいている以上、最高のサービスを提供しご満足いただくことが大前提であり、それと相反する接客になっていることは承知しております。CSと教育、この兼ね合いはどこでも悩んでいることではないでしょうか。正直なところ、お客様にご納得いただける答えはできないかと・・・申し訳ございません。

私たちがこの教育面で意識していることは、その方が自社の理想のゲストであることです。より素敵なスタッフになって欲しいのであの方に接し、何かを掴んで欲しい、という気持です。音楽家が一流の音楽を聴き、画家が有名な絵画に接し、ソムリエが高級ワインで研鑽を積む・・・このスタンスと同じで、どれだけ多くの素敵なお客様に接してきたか、これがスタッフの身になっていきます。この話で勘違いされがちな「あの人なら失敗しても怒られない」は無いですね。また、すぐフォローできるように見守っています。

ただ、お客様側からみたら関係のないことであり、私たち自身もジレンマを感じている、というのが正直なところです。

S:現場でイケてる客が自然とその振る舞いでスタッフを育てるってのは昔からの伝統みたいなものなので、その良い循環の仲間に入れていただけるなら、喜んで「良い客」になるために頑張ろうって思いましたわ。

新人がアサインされるのは「良い客認定キター」みたいな感じで受け止めれば「客力」試験に合格した気分にもなれますね。
これはいいこと聞きました。
なかなか共有できない内容ですから、お話しくださってありがとうございます。


使用済みタオルはどこに置けばいいですか?

S:最近はエコ精神を前面に押し出しているラグジュアリーホテルが多く、「取り替えて欲しいタオルだけバスタブに入れといてね」ってことになってるホテルが目に付くようになりました。なので交換希望のタオルを指示通りバスタブに投げ込んでいたのですが、ある日読者の方からお便りをもらいました。

タオルはバスタブのフチに掛けて

その方は清掃スタッフらしく、我々客が指示通りバスタブの中に放り込んだタオルをかなり無理な姿勢で取ると腰を痛めるので、できましたら取りやすいようにバスタブのフチに引っ掛けるようにまとめるか、もしくはバスタブの中ではなく床にまとめておいて欲しいとのこと。

ちなみに、これは自分で検証してみまして、確かにラグジュアリーホテルで設置されている大きくて深い浴槽の場合は、タオル類を全部バスタブの中に投げ込むと、それらを取り出しにくいことは確かですし、それを取ろうとすると結構危ない姿勢になるので、それ以来清掃してくれるスタッフの安全のためにもフチにまとめ掛けしているんですが。

日本のホテルではどうするのが正解なんでしょうか?

K: これはよく聞かれる質問です。海外のマナーでは、使用済みのタオル類は浴槽内へとアドバイスされていることが多いです。ただ、現実的にはフチにまとめて置いていただいたほうが助かります。

S:わかりました。タオル類はバスタブのフチにまとめて掛けるようにしますね。

K: SUZU様おっしゃるように、バスタブが浅めの海外と違い、日本のホテルは溜めること前提で深い浴槽が多く、取り出す時には結構負担のかかる姿勢になります。

また多くの場合、バスタブは使用後で濡れており、そこに放り込まれるタオル類は水分を吸ってしまいます。回収する時に重かったり、水が滴り落ちたり、余計な手間が掛かっています。また、各部屋から同様のタオルを回収した後の台車重量はかなりの重さになり、女性や高齢中心の清掃スタッフには負担が大きいですね。バスタブ縁にまとめて置いていただくとありがたいです。

S:水分を吸って重くなるという視点もなるほどですわ。これは聞いてみて良かったです。自分でタオル回収したことも運んだこともないので、言われてみるまで気づきませんでした。


浴衣やパジャマはたたまないのが正解ですか?

S:浴衣やパジャマは交換希望の場合どこにどう置いておくのが正解ですか?
また、たたんだほうがいいのか、広げたままでいいのか迷っていたら、これも読者の方からのお便りで
「たたまれた浴衣やパジャマは中に何か巻き込まれてないか確認のために一旦広げるので、たたまないでいただけるとありがたい」
と聞いたのですが。


K:中に何か入っていないか確認するため広げますので、畳んでいただく必要はなく、広げたままで構いません。お忘れ物やティッシュ類など毎回確認しております。また、見た目的に畳んでおきたいという方もいらっしゃいますので、その場合は簡単に畳んでいただいてももちろん大丈夫です。ただ、ボタン付きパジャマの場合、ボタンまで止めて畳む方がいらっしゃいますが、それは開けたままがありがたいです。

たたまれたものはいちいち広げて確認している。

S:やはり、浴衣やパジャマは何か中に巻き込まれてないか、お掃除の方がチェックのためにいちいちひろげて確認しているんですね。

今回の記事ではお掃除担当のスタッフがやりやすいためにはどうしておくのがポイントかの話を聞いているので。客がどうしたいかとかノイズになるのがよくわかりました。一分一秒を争ってる現場でたたんでしまったものをひろげさせる手間をかけさせちゃいけないってことですな。

よく理解できました。

パジャマ類は「ひろげたまま」そして「ボタンは止めない」は大事です、マイルールにします。


使用済みで交換希望のパジャマや浴衣をどこに置けばいいですか?

S:使用済み浴衣やパジャマはタオルと一緒にバスルーム?それともベッドの上?椅子の背にかけておく?と毎回悩んでます。

とにかく使ったら使用済みとひとめで掃除する人が判断し易いように置いておくのがいいかなと思ってるんですが、パジャマとタオル類は一緒にしないほうがいいのか否か。
毎度悩むので模範解答があったら判断の軸になるので教えて欲しいです。


K: 使用済みや連泊時の交換ご希望のパジャマは、タオル類と一緒にバスタブ縁に置いていただくとありがたいです。

S:タオルと一緒にバスタブのフチですね。長年の悩みが解決しました。浴槽のフチにタオルと一緒にひろげて置いておくってことがファイナルアンサーですね。

K: 交換ご希望ということもはっきりわかりますし、一度に回収できるので助かります。また連泊・清掃不要のお客様がドア外の通路に置かれる方法もあります。

S:コ口ナ禍なので掃除を断ることが多いのですが、このタオルやパジャマを廊下に出しておいて下さいって言われた際に、直に床に置いていいのかすっごく迷うんですよね。

バトラーボックスがついてるホテルならいいのですが、それがないラグジュアリーホテルで床に直置きするのは抵抗があるのですけど、これ本当に床に置いていいんですか?

K: これはホテル側から特別な用意がない場合、そのままで構いません。ただ、他のお客様も通られますので、簡単に畳んで壁側に寄せて置いていただければと思います。たまにドアから投げただけで、通路真ん中辺りまで広がっているケースもありますので・・・通路はパブリックスペースで、ご出発や朝食に向かわれるお客様もいらしゃっいますので、皆様が気持ちよくお過ごしいただければと思います。


バスローブなど毎日交換を希望しない時は?

S:パジャマといえばもうひとつお聞きしたいことを思い出しました。

ラグジュアリーホテルで定番のバスローブ、あれ3泊くらいであれば別に取り替えてもらわなくてもいいかなって、わたしはバスローブは風呂上がり濡れた状態では使用せず、パジャマの上のガウンのようにはおるだけなので使用したらハンガーにかけているのですが、どこのホテルに泊まっても大体パジャマと一緒に毎日新しいものに入れ替えてあるのです。

巨大で厚みがあるバスローブを毎日新品に入れ替えるのはそれこそ「エコじゃない」感じがしてしまうので毎回気になってます。
これってメモか何かでお掃除スタッフに伝言として「交換は希望してない」と書き置き残したほうがいいのでしょうか?

それとももう毎日交換がルーティーンなので、細かいこと言われないほうが面倒ではないって感じですかね?

K: 明確に交換不要とわかる場合を除き、基本的には交換します。SUZU様おっしゃるようにメモ書きがあったり、フロントにお言付けいただいたりなどです。最近はエコやSDGsの面でその点を配慮するホテルも増えてきましたが、お客様に毎日清潔で快適に過ごしていただくため、まずは交換が基本になっています。ただ、お客様によって何が快適かは異なりますので、伝言など残していただくのは非常に助かります。「このお客様のご希望はこの対応」とクリアにわかるので、メモ書きなどは本当にありがたく思っています。

S:わたしはメモで伝言を書き残すタイプなので、マイメモ帳まで持参してステイしてるのですが、書き置き方式のリクエスト、正解だったようでよかったです。
ただし、外資系ラグジュアリーホテルの掃除スタッフは日本であっても日本人じゃないケースも多々あるので英語も書いておく必要があります。(これマメな)


清掃の敵、髪の毛問題を考える

S:わたしは「ホテル暮らし」をしてたレベルで尋常じゃない泊数ホテルに泊まってまして、そうなると明らかに自分の毛髪ではないものがバスルームの床に1本2本落ちてたからと言って、どうとも思わず拾ってポイと捨てるくらいには鍛えられてるんですけど。

ベッドで寝ようと掛け布団をめくったら中のシーツに髪の毛ベローンみたいな場合、ギョッとしますし、まさかこのシーツ変えてないの?と疑ってしまいます。こういうのどこまで我慢すべきですかね?

これでシーツ変えてって言い出す客とかだと髪の毛ぐらいで文句言うなよ、うるさい客だなって感じですか?
実際そのようにツイートしてるホテル関係者を見て、髪の毛では文句を言ってはいけないのかなと。

K: これはぜひおっしゃって下さい。ご滞在中は少しのご不満もなくお過ごしいただきたい、というのは真剣にホテル業に携わっている者の本音です。様々なタイプの人が働いているので中にはそのようなツイートもあるでしょうし、また安価な宿では対応が異なるかもしれません。ただラグジュアリークラスでは徹底してCSに拘ります。この点は今後の改善点・注意点にも繋がるので、ぜひおっしゃって下さい。

S:ラグジュアリーホテルが徹底してCSにこだわると言うのはよく理解できますが、最近ラグジュアリーホテルの清掃不備が散見されます。
正直、安宿のほうが部屋がシンプルだからか清掃不備が起きにくいのかなと考えていますが、こと最近のラグジュアリーホテルの清掃が甘いのには原因って何かあると思いますか?かなり気になるレベルで行き届いてないなって感じるのがラグジュアリーホテルのほうなので。

人手不足と人材の奪い合い

K: 現状を率直にお話しすると、清掃人手不足のホテルは多いと思います。ホテルによって様々な理由・戦略があるとは思いますが、主な理由の一つとしてこの人手不足が挙げられます。清掃スタッフの多くは、派遣・契約・アルバイトなどです。コ口ナ禍で稼働が落ちた際、多くのスタッフ達は仕事がなく、生活のために他業種に移られた方も多くいらっしゃいました。再度お願いしても既に他の仕事に就かれているため、以前よりスタッフが減っているホテルも多くあります。

S:なるほど、コ口ナだと色々厳しいですね。

手抜きではなく手が回らない

K: その状況で以前と同様の部屋数を清掃するので、1人当たり・時間当たりの担当部屋数はかなり増えています。手抜きというより手が回らない、というのが正直なところです。

S:わたしもラグジュアリーホテルに実際に泊まってコ口ナ禍2年間の様子を見ているのですが、わざと手抜きしてるとかではなく、もう全力でやっても全然間に合ってないって事なんだろうなってのはわかります。
なので、なるべく時短に協力したくてゴミの分別や、タオルの置き方など工夫して協力したいのが本音です。

K: またこれ(人手不足)はシティホテルやビジネスホテルでも同様であり、求人のため時給を上げています。少し高めだったラグジュアリー系と大差なく、それであれば「指紋一つでも注意されるホテルより、ビジネスホテルの清掃がいい」と移った方も少なくありません。

以前から繁忙期には他部署スタッフも清掃を手伝ったりしておりますが、現状はもうそれでは間に合いませんし、そもそも他部署も人手不足、という感じです。コ口ナ禍だけでなく、オリンピックに向けて大小様々なホテルオープンラッシュでしたので、人材取り合いもありました。

S:人材の取り合いですか。客が増えても働ける人の人数は急に増えませんもんね。東京はほんとにオリンピックとインバウンドを見込んでのオープンラッシュピークでしたから、2020-2021年は。

K: ただ、あくまでホテル側の理由であり、お客様に我慢していただくことではないのでなんとか人手を、と各ホテルとも頑張ってはおりますが、なかなか解消できない問題でもあります。


清掃不備は我慢したほうがいいラインってあるんですか?

S:清掃不備があったとしても、実際は余程のことがない限り我慢してしまうのですが、果たしてどのレベル例えば髪の毛が何本だったら言ったほうがいいってありますかね。ちなみにわたしはちょっとぐらいの清掃不備に関してはいちいち言うのはナシと考えているのですが、例えば髪の毛が5本以上目についたとか、その他の不備をポイント制でイエローカード5枚たまれば「さすがにこれは清掃甘すぎなのでは?」と問う基準にしてるのですが。

K: 厳密に言えば1本でもNGなのがラグジュアリー清掃の基本ですが、どんなに清掃に気をつけていても最後の最後で自分の髪の毛が落ちてしまうことがないとは言い切れません。その点を考慮すれば、何本だったらというより、お客様が少しでも不快に感じられたら言っていただく、というご判断になるかと。清潔なお部屋でご不満なくお過ごしいただく、それがまず最低限のサービス提供になりますので、各お客様ごとの判断基準に拠ります。

S:わかりました。不快レベルはその客ごとに異なるので、自分基準でその部屋が快適ではなかったら言ってみてもいいってことですね。そうですよね、せっかく素敵なホテルにくつろぎたくて行ったのに部屋が汚くて楽しくない時間を過ごすとか勿体無いですもんね。我慢しないほうがいいですよね。

部屋の汚損で濡れ衣を着せられる可能性はありますか?

S:清掃不備といえば、自分が汚してないのに汚損事案に遭遇した場合「わたしがやった」と疑われたくないのでクレームではなく「報告」しておくってことがあります。

これは黙っていたら「部屋を汚す客」「備品を壊してバックレてる客」として「要注意人物」とリマークス入れられてしまうのが怖いからなのですが。

壊れてるよ汚染されてるよっていうのは自己防衛のためには「報告」ってすべきなんでしょうか?
今回思っていたよりも客情報を細かくデータ共有しているってことが確認できたので、ふと心配になってしまった次第です。

K: フロントにお伝えいただくか、メモ書きなど置いていただいた方がいいです。あまりに酷い場合は、やはり「その日のお客様が」と捉えられます。もちろん一番はホテル側の清掃不備・チェック不足であり、それ自体が大問題なのですが、SUZU様のこのご質問内容に沿えば、自己防衛された方がいいですね。

自己防衛はしておいた方が無難

S:やはり自己防衛が必要なんですね、クレーマーに間違われたら嫌だからって報告しないと悪い方へ情報共有されて「壊した、汚した」とされてしまう可能性もあるわけですな。
あとセットされているべき物がないなど、盗んだと思われても嫌ですよね。
となるとさっき話題にでました「汚れていても我慢してしまう」が是か非かの答えが出た気がしますね。


清掃スタッフへのお礼

S:コ口ナでどこにも行けなくなる前は、海外のホテルステイばかりだったので、清掃のスタッフにむけてチップ(現金)が必須でサンキューカードとチップとちょっとしたお菓子を必ず置いていたのですが、国外に出られないまチップの習慣のない日本のホテルで連泊の際に清掃の方にお礼に何をどう置けばいいのかな、どうしようかなと考えてます。
何が一番うれしいですか?やっぱりチップ(現金)なのでしょうか?


日本ではチップは困ることがある

K: 基本的に日本国内では清掃に対してのチップは必要ありません。時々置いてもらえる方もいらっしゃいますが、例えば前日清掃をした担当者と当日の担当者が違った場合、どちらに宛てたものか?と問題になったケースもあります。また清掃に限らず、ホテル内でチップの受取があった場合は経理へ全額持参、結局は会社の売上になるという取り決めがある企業も珍しくありません。チップがまだ一般的ではない日本では、少々難しい点でもあります。

S:なるほど、理解しました。
チップ習慣のない日本では、心付けを良かれと思って部屋に置いておくと、大人の事情も絡んだ面倒なことが起きてしまい、かえって迷惑になってしまうってことですね。

チップなのに会社の売り上げになってしまうのは切ないです。

ということは…
(これはわたしの独り言)チップを渡したければ自分の部屋を掃除をしてくれるスタッフに直接手渡しですね。
ちょっと秘密を共有する感じでスリルありますが(独り言終わり)


スポットが当たりにくい部署それが清掃

K: 様々な清掃の方々と接してきましたが、一番嬉しいのはやはりお礼の一筆、サンキューカードのようです。フロントやレストランと違い、スポットの当たりにくい部署なので、お客様からの直の一言は清掃後にみんなで回し読みされています。

S:スポットが当たらないって、言われてみればそうですね

小分けのお菓子は喜ばれる

K: また、メッセージと共に何か置いていただくとしたら、清掃終了後にみんなで一息つけるちょっとしたお菓子が喜ばれています。女性がほとんどの職場ですので、清掃の方々へ何かお渡しいただけるのであれば、みんなで分けられるお菓子が宜しいかと思います。

S:小分けのお菓子ですね、喜んでもらえる個包装のお菓子を探して持っていきますわ。具体的には何個ぐらい入ってるものがいいですか?

K: もし置いていただけるのであれば、小分け5~6個くらいから、でしょうか。ただ、個数はあまり気にされず「お客様が気に入って置いていただけるもの」で十分にありがたいです。規模により数人~数十人以上のスタッフが頑張ってくれていますので。この場合全体的に共有されることが多く、そんなお客様がいらっしゃったという報告だけでみんな笑顔になります。

S:絶対次回は美味しい何かを持っていこうと思いました。
ポチ袋と便箋封筒そして個包装のお菓子ヨシ!って感じです。

K: 清掃スタッフはお客様から直接お礼を言われることがかなり少ないので、お客様からのメッセージやお気持ちがダイレクトに届くことを本当に喜んでいます。多分、皆さんが想像されるより大喜びで、それが仕事へのモチベーションにもなっています。

S:この「直接お礼を言われることが少ない」っておはなし。一番のおもてなしである清掃をやってるのにコミュニケーションがないのは悲しいですよね。客としても気にかけたいですね。感謝していてもちゃんと伝えないとわからないですものね。具体的にどうするべきかイメージが湧きました。


細やかな気配りで客に寄り添うのが清掃という仕事

S:そうそう最後に質問です。
お掃除のスタッフはお部屋の時計のアラームも毎回リセットしてるんですか?

海外では朝の四時に前の客がセットした目覚ましが鳴り響いたりしてびっくりして起きるトラップがあって、部屋に入ったら目覚まし時計がオフか確認するのがわたしのルーティンなのですが、日本のラグジュアリーホテル見事にどこも目覚ましが「7時に」セットされてるんですよね。

あれがすごいなといつも感心してまして、清掃ってほんと客に一番寄り添う接客そのものなのですね。

時刻のずれも正確にチェック

K: リセットしています(笑)ラグジュアリーホテルの清掃チェック表はかなり細かく記載されており、その中にアラーム解除や時間ずれチェックもあります。

S:それはすごいですね。
海外でホテルを利用するとそもそも時計が正確ではなかったりしますので驚きました。
コ口ナで日本のラグジュアリーホテルに頻繁に泊まるようになって驚いたのは時計の正確さとアラームのリセットが完璧なこと。
そうやってチェック表でチェックしてたとは。改めてすごいですね。


清潔な部屋と館内が一番長く客をもてなす

K: 私たちが接客する上で清潔感は大前提であり、それを保っていただく清掃部署は縁の下の力持ちです。清掃担当の皆さんが整えてくれた清潔な舞台があるからこそ、全ての接客が活きてきます。私たちスタッフが接客するより、清潔なお部屋・館内が一番長くお客様をおもてなししています。清掃の方々には感謝しかありません。今回このような内容を取り上げていただけることは、とても嬉しく思っています。ホテルに限らず、日本のいろんな場所が他国より比較的清潔なのは清掃の方々のお陰ですね。

S:「清潔なお部屋・館内が一番長くお客様をおもてなししています」
これはほんとうにそうですね。客としてもホテルの清掃の方に今まで以上に感謝しながら過ごそうと心に誓いましたわ。
今回かずさまとお話しできてよかったです。色々教えていただきましてありがとうございます。次回もよろしくお願いしますね。

まとめ

今回の企画ですが「こうやってきたけど正解かな」と疑問を持っていた事にきちんと答えが出て大変有意義な対談でした。客としてはゴミの分別や、交換希望や使用済みを分かりやすいように置く、みたいな小さい心がけは今後も続けていこうと決意を新たにしました。

そして良かれと思ってバスタブにタオルを投げ込んだり、パジャマをきっちりたたんだり、見栄えの為にボタンを止めたりしていたのが、かえって清掃の手間になってしまっていることもはっきり知れましたので、「どうすれば良いのか」の具体策がわかってよかったです。

交換希望のものは全てひろげてバスタブのフチにかける

ホテルの部屋を掃除してもらうのであれば、とにかく自分がやって欲しいことを分かり易くするのは、すべて自分の為ですからね。片付けられてなかったり交換されてなかったりして直接困るのは自分なのです。

サービスに奇跡はない

「サービスに奇跡はない」このシリーズの基本の考え方です。奇跡のサービスなんて派手な演出を加えた何かには魂は宿りません。

サービスってコツとかハックとかそんなまやかしで出来た雑なものではないんですよね。スポットの当たらない場所で働く誰かが、小さな小さなおもてなしの粒をそっと丁寧に崩れないように積み上げる事でしか成し得ないものなのです。

そんなサービスの真理について、かずさまが清掃の心意気をお聞かせくださったおかげで感じ取ることができました。

客力を磨くとは「本物のサービスを受け取れるスキルを磨く」ことに他なりません。昨今持て囃される派手な目くらましのうわっ面演出に惑わされず、地味だけどその誰かの積み上げてくれた小さな粒を、はっきりと感じ取れるようになることが客力そのものでもあると私は考えています。


それでは次回もお楽しみに。

是非スキ♡ボタンも押していってくださいね。


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今回対談をお受けくださったディライティングオール代表のかず様の会社はこちらです。


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SUZUはこんな記事も書いてます。

ホテルの部屋は廊下と一緒くらいの気持ちで防犯対策しましょう。
キーはあってないようなものなので。


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