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「サービスに奇跡は無い」 接客される技術 で目指すもの


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この記事ではなぜSUZUがこのシリーズを開始するのか、意味や目的や目指すゴールなどを記します。

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まえがき
「このシリーズをはじめるにあたって」


客のほうが成長スピードが早いアンバランス

 客側が未熟なせいで良くない接客を無闇に絶賛してしまうと、その接客法は正しいと認識され、「客が喜んだから成功」として変なサービスが定着してしまいます。

これ、客全員がいちげんさん、もしくはビギナーでとどまっていれば問題は起きません、だって経験値が浅く、おまけに見る目の解像度の低い客にはその接客の良し悪しは検証されにくいですから。

でもいまって、客はサービスされる側として割と簡単に経験を積むことが出来どんどん洗練されていきます。そのうえ客同士はSNSで情報交換もできる時代なので横の繋がりも生まれます。ネットによって客の「接客され体験」を不特定多数と共有することも容易くなりました。

 こうやって世の中が変わり、客が情報を味方につけ成長スピードが格段に上がっている割に、サービス業の現場って未だにアナログです。旧態依然のマニュアルそのままで運用し「古い接客」の改革やカイゼンから実はとても遠いところに居たりします。

なぜなら現場のマンパワーに余裕があるわけないので、忙しすぎて日々の業務で手一杯。そんな中サービスする側が自分の接客を毎夜寝る前に見直すなんてことやらないし、出来ないんですね。考える暇がない。

ゆえに誰かに強く指摘されない限り、マニュアルに沿った接客行動が既に時代遅れであるなんて、微塵も思わずに同じ接客をする明日を迎えるわけです。


現場では初心者向けの接客が主流な訳

 余りよろしくないことに、サービスする側はマニュアル通りにやってるだけでも「なんとなく通用」してしまいます。だってコンスタントに客経験初心者は湧いてくるので、マニュアル接客に手ごたえすら感じてしまい、サービスの正解を誤った方向で習得しても立ち止まることが出来にくいです。

それに、客ビギナーさん達って無垢すぎるのです。サービスされ慣れてないゆえにマニュアルサービスでも手放しで喜んでくれちゃったりします。

接客する側にいると、むかーしむかし誰だか知らん人が言い出してからずっと信じられている「接客の極意」みたいな長年使われてきた古いマニュアルをちょっとなぞるだけで、イージーに接客成功体験を得られるので「このサービスはあってるんだ」と思ってしまうし、段々とマニュアル型サービスでで簡単に落ちる客をみて「チョロいな」って勘違いしがちなんですね。


チョロい客からの卒業

 以前はこの「客なんかチョロい」がどこかで止まる瞬間がありました。止まるというか、止めてもらえる瞬間が必ずあったのです。

それはベテランスタッフが良い接客をし、そこで学びを得て成長した客が客としてベテランになり、今度はまだ未熟なスタッフを育てる側に回るといった方法で、客と接客者間に良い循環が存在していたからなのです。

この循環の中でマニュアル接客が効かないベテラン客が現れ、そこであらためて「マニュアル接客って何だったんだろう?」みたいなイベントが必ず起きたわけです。

ベテランスタッフが新人客を育て、ベテラン客が新人スタッフを育てる

いままではこの循環が正しく起きると「客はチョロい」と思ってしまう「いつか来る罠」を無事卒業できていました。

ただ残念なことに昨今は客とスタッフがコラボして起きていた「ベテラン→新人」の循環が極端に減ってしまい、世の中はクレーマーVSスタッフか、もしくはビギナーでなんでも喜んでしまう無垢な客と、サービスの意味を考えずにマニュアルサービスばかりする未熟なスタッフ、という構図になってしまい、サービスする側とされる側の断絶が深まっていると感じています。


サービスがアップデートされない危機

両者の断絶は大変よろしくありません。

この断絶のせいで、ある時点で起こるマニュアルの否定があまりなされなくなり「古いままのサービス」がなかなかアップデート出来なくなったからです。

時代が変わり接客側はマニュアルの魔法が効かないベテラン客をクレーマーとして処理したり、客はマニュアル接客ばかりされ続けた結果、どうでもいい小手先のテクを価値あるものとし、「神対応」などと無駄に褒めてしまったり。

本来ならばお互いが幸せにしたり、幸せにされたりして協力して創り上げる場のはずなのに、現状はなかなか噛み合ってなくて難しいことになっています。


善きサービスを受け取るために客が学ぼう

 サービスを提供する側と提供される側の断絶は、現場の体験を台無しにします。お金も時間も使った上で体験が悪いなんて悲劇でしかありません。そんな悲劇を防ぐには我々「客」側がまずは「接客を知る」こと、これがこの断絶改革の初手なのではないだろうかとわたしは考えました。

客である我々がいままで訳も分からず受け入れてしまったり、つい喜んでしまっていた接客は果たして本当に「良質なサービス」だったのでしょうか?

ヘンテコなサービスや的外れなサービスを持て囃した挙句、あろうことか「奇跡のサービス」などと煽ったりしませんでしたか?

物事の真贋を見極めるためには 解像度をあげることが必要で、それには「知識の蓄積」が大前提になってきます。接客だって「知っていない」と正当な評価はできません。

いま経験値を蓄積し成長した客に必要なのは「なんでその接客方法が取り入れられるようになったのか」などサービスの歴史を知り、本来の「なりたち」や「意味」を考え、サービスって何だろうとまず分解し、基本を理解することです。

現場で良いサービスを一緒に創るには、客にも接客の基礎知識が必要なのです。

もし噛み合わないサービスに遭遇したら毅然とNOと表明出来るようになること。本当に良いサービスに出会ったら適切に褒めることが出来るようになること。自分が受けた接客に対してのフィードバックを現場に渡すことが必要です。


客側が変わらないとサービスは変わらない

 古いサービスを新しいものにアップデートするのは、客側のアプローチにかかっています。いつまでもすぐ落ちるチョロい客で居続けるわけにもいきませんし、それは幸せな体験には繋がりませんからね。

そろそろ時代にマッチしない太古の昭和接客マニュアルは、新しい令和時代に合わせて撲滅させたいですしね。

かつては正しかった事だとしても、時代とともに不正解になるなんてのは当たり前に起こります。接客だって同じです、客が色々な選択肢を持って成長すればそれに合わせてアップデートも必要です。サービスだって時代に合わせて変化し続けたほうが、ニューノーマルのこれからがきっと楽しくなると思うので。


目指すゴールは「客が接客を一緒に楽しむ」

 わたしが読者の皆さんと目指したいゴールは、サービスの受け手として受動的であることから脱却し、接客者と共にサービスに参加し、創り、場を最大限楽しむことが出来る客になることです。

ただ接客してもらうのではなくサービス自体を楽しむことが出来る客になる

わたしはこのシリーズを通して接客についてじっくり、ゆっくり、出来るだけ深く考え、そして学べるような場を作ろうとしています。

その為にまずは今まで「よいサービス」とされてきたものが2020年でも「よいサービス」なのか、客側の視点を使って分類・分析・分解して理解を深めます。

どうぞご期待ください。


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