マガジンのカバー画像

書記の読書記録まとめ

1,291
今までに読んだ本についてのレビュー。 ブクログ:https://booklog.jp/users/9512a62a15b04973
運営しているクリエイター

2023年9月の記事一覧

書記の読書記録#1053『ルベーグ積分超入門 関数解析や数理ファイナンス理解のために』

森 真『ルベーグ積分超入門 関数解析や数理ファイナンス理解のために』のレビュー レビュールベーグ積分の応用に焦点を当てた教科書で,数学書から見れば確かに超入門かもしれない。 もくじ1章 線形代数と微分積分 2章 ルベーグ積分のおもちゃ 3章 抽象的測度論 4章 関数解析入門 5章 加法的集合関数 6章 測度の構成 本記事のもくじはこちら:

書記の読書記録#1052『計算機シミュレーションのための確率分布乱数生成法』

四辻 哲章『計算機シミュレーションのための確率分布乱数生成法』のレビュー レビュー以下に示す膨大な量の分布について,さまざまな乱数生成法がまとめられた力作。この分布の乱数を生成したいと思ったら本書をあたれば間違いないだろう。 収録されている確率分布連続分布: 正規分布・半正規分布・対数正規分布・コーシー分布・レヴィ分布・指数分布・ラプラス分布・レイリー分布・ワイブル分布・ガンベル分布・ガンマ分布・ベータ分布・ディリクレ分布・べき関数分布・指数べき分布・アーラン分布・カイ

書記の読書記録#1051『西洋音楽史―「クラシック」の黄昏 (中公新書)』

岡田 暁生『西洋音楽史―「クラシック」の黄昏 (中公新書)』のレビュー レビューグラウト/パリスカ『新 西洋音楽史』と比べ,当時における作曲者の立ち位置や大衆文化との関係についてより踏み込んだ記述が見られる。有名な作曲者と代表作品を知っていることは前提としている。 もくじ第1章 謎めいた中世音楽 第2章 ルネサンスと「音楽」の始まり 第3章 バロック―既視感と違和感 第4章 ウィーン古典派と啓蒙のユートピア 第5章 ロマン派音楽の偉大さと矛盾 第6章 爛熟と崩壊―世紀転換

書記の読書記録#1050『パターン認識と機械学習』(上下巻)

C.M. ビショップ『パターン認識と機械学習』(上下巻)のレビュー レビュー通称『PRML』。ベイズ統計に基づいた機械学習モデルが数多く解説されている。数式の難度は大学教養レベルの微積分と線形代数が前提で,ベイズ統計の計算(主に条件付き確率)に慣れていると一気に読みやすくなる。 もくじ上巻 第1章 序論  1.1 例:多項式フィッティング  1.2 確率論  1.3 モデル選択  1.4 次元の呪い  1.5 決定理論  1.6 情報理論 第2章 確率分布  2.1 二

書記の読書記録#1049『計算統計学の方法―ブートストラップ・EMアルゴリズム・MCMC (シリーズ予測と発見の科学 5)』

小西 貞則,越智 義道,大森 裕浩『計算統計学の方法―ブートストラップ・EMアルゴリズム・MCMC (シリーズ予測と発見の科学 5)』のレビュー レビュー数理統計学の延長としてのサンプリングの教科書。 もくじ第I部 ブートストラップ 1. ブートストラップ法  1.1 基本的事項  1.2 ブートストラップ法  1.3 パラメトリックブートストラップ法  1.4 効率的ブートストラップシミュレーション  1.5 回帰モデルへの適用例 2. ブートストラップ信頼区間  2

書記の読書記録#1048『キリスト教一千年史:地域とテーマで読む』(上下巻)

ロバート・ルイス・ウィルケン(訳:大谷哲,小坂俊介,津田拓郎,青柳寛俊)『キリスト教一千年史:地域とテーマで読む』(上下巻)のレビュー レビュー主に古代キリスト教を専門とする著者による,1世紀のナザレのイエスから西暦1000年ごろまでのキリスト教世界をまとめた本。内容自体は世界史の知識の延長線上で読むことができ,そこでは見過ごしてきた出来事やものを知ることができる。 もくじ 上巻 序章  第1章  エルサレムでのはじまり  第2章  エフェソス、ローマ、エデッサ――キ

書記の読書記録#1047 岩田『確率論』

岩田 耕一郎『確率論』のレビュー レビュー確率論の教科書について比較はできないが,今後は舟木『確率論』や西尾『確率論』などのような定番テキストの一つとなるかもしれない。 もくじ第1章 プロローグ 第2章 確率空間 第3章 分布と期待値 第4章 フビニの定理 第5章 独立性 第6章 特性関数 第7章 独立性と極限 第8章 ブラウン運動の構成 本記事のもくじはこちら:

書記の読書記録#1046『ベイズ深層学習 (機械学習プロフェッショナルシリーズ)』

須山 敦志『ベイズ深層学習 (機械学習プロフェッショナルシリーズ)』のレビュー レビュー須山『機械学習スタートアップシリーズ ベイズ推論による機械学習入門』では物足りない人向けの,ベイズ統計+深層学習の専門書。少なくともPRMLを理解するだけの地力は必須。 もくじ第1章 はじめに 第2章 ニューラルネットワークの基礎 第3章 ベイズ推論の基礎 第4章 近似ベイズ推論 第5章 ニューラルネットワークのベイズ推論 第6章 深層生成モデル 第7章 深層学習とガウス過程 本記事

書記の読書記録#1045『OpenCVによる画像処理入門 改訂第3版 (KS情報科学専門書)』

小枝正直,上田悦子,中村恭之『OpenCVによる画像処理入門 改訂第3版 (KS情報科学専門書)』のレビュー レビューいくつかの画像処理について,数式・C++言語によるアルゴリズム・OpenCVでの記述(C++言語とPython)がそれぞれ簡単にまとまっている。 もくじ1章 画像処理とOpenCV  1.1 身近にあるカメラと画像処理  1.2 ヒトの感覚器官  1.3 ヒトの視覚  1.4 画像処理とコンピュータビジョン  1.5 OpenCV 2章 OpenCV の

書記の読書記録#1044『ゼロからできるMCMC マルコフ連鎖モンテカルロ法の実践的入門 (KS理工学専門書)』

花田 政範,松浦 壮『ゼロからできるMCMC マルコフ連鎖モンテカルロ法の実践的入門 (KS理工学専門書)』のレビュー レビュー難易度は鎌谷『モンテカルロ統計計算』とほぼ同程度で,こちらの方がメトロポリス法に至るまでが早い。後半の応用例には高度な物理学も含ま興味深い。 もくじChapter 1 なぜマルコフ連鎖モンテカルロ法が必要なのか 1.1 確率と期待値 1.2 どうやって計算するか ~次元の呪い Chapter 2 そもそもモンテカルロ法とは 2.1 そもそも

書記の読書記録#1043『信号処理のための線形代数入門: 特異値解析から機械学習への応用まで』

『信号処理のための線形代数入門: 特異値解析から機械学習への応用まで』のレビュー レビューアレイ信号処理の教科書としてはもちろんのこと,線形代数の教科書としてもユニークで,本書における線形代数を攻略することで応用の幅が大きく広がる。 もくじ第1章 ベクトルと行列 1.1 行列に関する基礎的な事柄   1.1.1 行列の定義   1.1.2 列ベクトルと行ベクトル   1.1.3 正方行列   1.1.4 行列の和と積   1.1.5 逆行列と直交行列 1.2 行列式に関す

書記の読書記録#1042『ベイズ信号処理 ―信号・ノイズ・推定をベイズ的に考える―』

関原 謙介『ベイズ信号処理 ―信号・ノイズ・推定をベイズ的に考える―』のレビュー レビュー『統計的信号処理 -信号・ノイズ・推定を理解する-』のうちベイズ統計に特化した内容で,因子分析や判別分析などへの応用も参考になる。 もくじ第1章 確率と確率分布 1.1 確率 1.2 確率分布 1.3 ベクトル型確率変数 1.4 多次元正規分布 第2章 最尤推定と正則化ミニマムノルム解 2.1 線形離散モデル 2.2 最尤原理と最小二乗法の導出 2.3 線形最小二乗法の解 2.4 

書記の読書記録#1041『モンテカルロ統計計算 (データサイエンス入門シリーズ)』

鎌谷 研吾,駒木 文保『モンテカルロ統計計算 (データサイエンス入門シリーズ)』のレビュー レビュー乱数生成,モンテカルロ積分,ギブスサンプリング,メトロポリス・ヘイスティングス法といった技術の数理がまとめられた教科書で,数理統計学の既習者向け。 もくじ第1章 序論 1.1 確率と条件つき確率 1.1.1 分割表 1.1.2 スパムメールフィルタ 1.1.3 ベイズの公式の一般化 1.1.4 R 言語について 1.2 個人確率とベイズ統計学 1.2.1 事後分布 1.2

書記の読書記録#1040『現代化学史: 原子・分子の科学の発展』

廣田 襄『現代化学史: 原子・分子の科学の発展』のレビュー レビュー近代からの化学を振り返る大著であり,分野ごとに分類した上でノーベル賞受賞者の研究を中心にまとめている。広大な「化学」という分野を整理することに成功した労作と言える。 もくじ第1部 近代化学の完成へ(近代化学への道―18世紀までの化学:原子・分子の科学の曙;近代化学の発展―19世紀の化学:原子・分子の概念の確立と専門の分化) 第2部 現代化学の誕生とその発展(19世紀末から20世紀初期の物理学の革命―X線、