本当のリモートワークはこれから始まる。リモート組織2.0とは?コロナと会社・人事のこれから
お疲れさまです、overflowの鈴木です。今日はリモート組織は3段階の進化をしながら、進んでいく話を書きたいと思います。先日オンラインイベントで登壇の際に使用したこちらの資料を、さらに噛み砕いて説明していきます。
一番お伝えしたいことはこの図に集約されてます。
今、人事は死ぬほど大変!!
お前が言うな!って話は重々承知の上なのですが
・事業上、人事の方とお話する機会が多い
・逆に当事者ではないので、一歩引いて客観的に見ることで起きている全体像が掴みやすい立場であること
という点から、比較的冷静にいまの経営者や人事のみなさんの状況をお伝えできるのかな、と思っています。
①そもそも、今の時期は多忙
zoom入社式が話題でしたが、異例づくめの4/1となりましたね。過去歴史上を振り返ってもこれだけ多くの会社が入社式をオンラインで行うということは初めてのことだったと思います。
多分にもれず、弊社もzoom入社式となりました。
問題はここです。
『そもそも、人事の4月は忙しい』
新入社員の受け入れ準備、研修・オンボーディング準備、年度による体制変更後の組織フィット感の確認、翌期の新卒採用が佳境、評価・査定の集計を始めるタイミング(会社毎に差はあり)、中途採用は通年でハード業務、税務関係対応、etc...
ただでさえ忙しい人事のみなさんが、1年の中で最も忙しいタイミングに、突然のごとく襲来したコロナタスク。
この三重苦は想像を超える多忙さであることは容易に想像がつきます。
②降って湧いたコロナ対策
重要度が高いタスクを抱えていながら、緊急度・重要度ともにSSクラスで投入されてきたのがコロナ対策。
この有事のときに最優先で必要なのは、情報(ノウハウ)です。リモートワークについて実例をベースにした情報共有という観点で弊社の例が少しでも役に立てば、、、、🙏と思いこのnoteを書くに至ります。
本格化するリモートワークにすぐに適応していけるのか、はたまたそうならないのか。パフォーマンスとして結果が大きく二分してくるのがここからのタイミングだと考えています。
こちらで安宅さんが書いている以下の変化は不可逆なのではないかと考えています。
マクロ的には
・密閉(closed) > 開放(open)
・高密度(dense)で人が集まって活動 > 疎(sparce)に活動
・接触(contact) > 非接触(non-contact)
・モノ以上にヒトが物理的に動く社会 > ヒトはあまり動かないがモノは物理的に動く社会
そんな「開疎化」な世界が訪れたときに、私はリモート組織も進化し、以下のような変遷を経て「リモート組織2.0」の状態になるのではと考えています。
STEP1のノウハウはすでに多く周知され始めているので、今回のnoteではSTEP2について深堀りしてみました。
弊社(overflow,Inc)について
何者だ、と思われる方もいるかと思い、要点だけサクッとお伝えしておきます。ほんとサクッと
2020年2月時点で関わるメンバーが270人
そのうち、フリーランス・副業が62.8%、リモートメンバーが90%以上
それを創業から約3年やってきた会社です
AbemaTVのアベマプライムで複業、リモートワークについて取材していただきました
その経験をベースにつくったサービスがOffersです
では、本題に。
リモート環境を整えてからがスタート。リモートワークにおけるソフト面とは
キャスター石倉さんのわかりやすいコチラの資料などで、リモートワークのハード面(ビデオツール、チャットツール、在宅環境など)導入におけるノウハウ展開は十分周知され、一巡した感じがしているのでコミュニケーションや事業推進方法などのソフト面について書いていきます。
①経営・マネジメントのスタンス
ここが最も抽象的かつ、切り替えが大変な部分になると思います。リモートワークでオンラインミーティングを始めると
・空気感がわからない
・相手に伝わってるのかわからない
・話を聞いてくれているかわからない
・一体感がない
などの不安・心配から、本当は性善説でいたくても性悪説っぽい振る舞いになってしまうことがあると思います。「今ほんとに働いてるかな?」と心配したり。
私は、リモートワークを成立させるには信用できる関係性構築において返報性の原理をベースにすることが大切だと考えています。
好意の返報性とは、人から好意ある施しを受けたり、親切にしてもらったときに、それ以上の好意や親切をもってお返ししたいと思う心理です。
鶏卵の話のようですが、「この人は信用できる」と思うのは「信用されている」と感じているときに生み出されやすいものです。なので、まずは「信用している」ということをしっかりと伝えることが大切だと思います。日々のコミュニケーションの中で。
名著、NETFLIXの最強人事戦略に出てくる「大人として扱う」と似ています。
最後に、従業員を子どものように細かくマネジメントしないことです。
リーダーは、職場にいる全員が一人前の大人で、誰もが良い成果を出したがっていることを信じて疑わないことです。子どもと働いているわけではないのです。これが基盤にあることで、人を管理する方法が変わってきます。
けんすうさんもおっしゃっていますが、むしろ働かせすぎていないか?を危惧することのほうが重要です。
具体的施策としては
・ゴールイメージは細かく、明確にして、共通認識を持っておく
・プロセス管理をしない
・「指導」ではなく、「サポート」に徹する
・逆ピラミッドの組織デザイン
などを意識して、細かいコミュニケーションを通じて「信頼」が伝わっていくと考えています。めっっっっちゃ気になるけど、ぐっとこらえてみることをおすすめします。
また、チャットベースのテキストコミュニケーションが今後増えてくることが予想される中で、このような点を意識して変えていくにはどうするべきかの具体策については後述しようと思います。
②ドキュメントが命
「発言」に集中するのではなく「アウトプット」に集中するのがリモートには適しています(オフラインでも本来そうなのですが)
ビデオ会議で置き換えられればいいのですが、通信環境の問題で遅延や画質の粗さが生まれオフラインほどの満足感を得られず、ストレスになり、生産性が下がっているように感じることがあります。
そのためにも、ドキュメントによる補完が必要になってきます。
以下のような見出しで予めドキュメントをつくっておき、会議の前に出席者に送付、会議後にそのままupdateしたものを共有、をするだけでもスムーズに進みます。(なんなら会議せず、ドキュメント上でのリアルタイム更新で終わることもあります)
・会議の目的
・現状の課題
・考えている打ち手
・この会議で意思決定したいポイント
これをやると「あれ?いままで1時間の会議30分で終わるじゃん」という発見があるはずです。
弊社の場合はNotionにまとめるようにしており、あとから入ってきたメンバーでも探せて、自己学習を進められるようにしています。あと、そもそも会議はほとんど無く、リアルタイムにslackやドキュメント上で解決できることがほとんどです。
ちなみに、Amazonではリモート問わずドキュメントカルチャーが浸透しています。
ベゾス氏はさらに、「会議では必ず、出席者の1人が6ページのメモを準備する。主題、文章、動詞がしっかりと使われた物語のような構成になっている。箇条書きだけのメモではない。議論のための、コンテキスト(文脈)を作り出すためのメモだ」と説明した。
③チャットコミュニケーションは未来の必須スキル
これだけリモートが加速すると、「対面コミュニケーション」より「テキストコミュニケーション」の比率が増えます。
対面とテキストは得られる情報量に差があるので違いを理解することが必要になります。
対面は表情や声のトーン、動きからたくさんの情報を読み取りますが、テキスト文面はそのまま読み取り、受け手に解釈が委ねられます。
「いいですね」
「いいですね!!」
この2つだけでも受け手の解釈は大きく変わります。さらにオフライン時代につけているレッテルが「怖い」という印象をもっていれば、前者の「いいですね」は全然良さそうじゃないと感じたり、興味ないのかな?と思ってしまいます。
受け手に対しての配慮・想像力が求められるのがテキストコミュニケーションであり、発信者のスキルが重要になります。
・オフライン時代に相手にどんな印象持たれてるか
・相手と自分の情報量の差(差がある部分は丁寧に説明を補う必要がある)
・感嘆符や絵文字など感情を伝えられる手段を意識強めに使ってみる
など、発信者と受け手のギャップを減らす努力が必要になります。ウィズコロナ・アフターコロナにおいては、テキストコミュニケーション力が必須スキルとして求められるようになると予想しています。
参考までに弊社のslack活用事例です↓
④数字は誰でも見れて、わかりやすく
今まで経営方針や事業計画の進捗・変更はオフラインの定例会議で、紙を配り、口頭で数字を説明していく方法だった、という企業は多いと思います。
実は自然と気づかず、口頭で補うことに依存している部分があります。
数字はファクトなので、解釈のズレは起きません。見れる状態、見やすい状態にさえしておけば意思疎通の摩擦は減り、説明コストは劇的に下がります。以下は構築時のポイントです。
・リアルタイムに集計できるデータソースを使うこと
・グラフが集約されたダッシュボードをつくること(一覧性の担保)
・最初はスプレッドシートでつくってみる、いきなりツールいれると時間かかる
・スプレッドシートでGAS、IMPORTRANGE、VLOOKを使えば十分
数字の集計、取りまとめの初期設計と構築はやや大変な作業ですが、一度完成してしまえばあとは永遠と説明コストが低い状態を続けることができます。
・事業PL
・各チームごとの主要KPI
・施策あたり投資額
を、それぞれに対して「計画」「着地予測」「実績」で可視化しておくイメージです。
弊社ではすべての事業部、チームで数字をダッシュボード化し、誰でも最新のKPIを確認することができるのでリーダーの説明コストを圧縮しています。
ダッシュボードの例
また、月に一回実施している「ALL HANDS」という取り組みでは、超ロングなアジェンダになってますw
が、2日前までに記入完了し、当日までに全員がすべての部署の数字やアクションに目を通し、質問を書き出すところまで完了しておくルールです。
当日は数十名がオンライン参加ですが、「認識が揃っている状態」で集まれるのでスムーズに進行ができます。
ここまで話してきた、STEP2について海外の事例を踏まえた30個の具体的なTIPSを弊社の@ststgcが解説してくれているので、こちらもぜひ。
人材領域における今後の変化
コロナの猛威がどこまで広がるか次第なので、あくまで予測ですがこれから起きうる人材領域への変化をまとめてみました。
まとめると
・リモートへの対応は急務
・リモートを前提とした経営、組織、採用に早くフィットした企業ほど得られるメリットが大きい(採用、人材流出抑止ともに)
・求職者はアンテナの高いハイクラスから流出し始める
・リモートと収入面のリスクヘッジのために副業・兼業を検討する求職者人口が増える
・経営リスクを回避するために、人件費を変動費化する動きが出る
あたりが起きうると考えています。頭を180度切り替えて「もともと世界はリモートで動いていた」という前提で動き、会社をまるごと変えていくことで得られるメリットが複利的に大きくなります。
---追記---
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お届けする内容は、「私たちがこれまで取り組んだ成功例、海外の最新事例、参考となるベストプラクティス」を予定しています。経営層やマネジメント層の方々によく見られています。
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また、オンライン完結型で「withコロナ時代の組織戦略」で組織の軽量化についても支援させていただいてますので、カジュアルにご相談お待ちしてます!
さいごに
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さっそく来週、リモート組織についてのオンラインイベントがありますのでこちらもお気軽にご参加ください。
リモートおすすめ文献
我らがBaseCampの新著。リモートワークマニュアルの金字塔です。
途中で紹介した名著
同じく途中で紹介したキャスターさんのリモートマニュアル
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