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思い出「時代の波に乗る子供達」

【木曜日の早朝】

8歳の時。

この頃、埼玉県の三郷団地に住んでいた。

この当時、ガンダムのプラモデルが大流行した。

そして、三郷団地のおもちゃ屋でも、ガンプラが売られ始めた。

この玩具屋は色々な種類のガンプラを全部合わせ200個前後入荷していた。

この事は、店員が200個あるから大丈夫だよ!と叫んでいたので解った。

俺もこのガンプラが欲しくて、学校が終わったら即おもちゃ屋に向かった。

そうすると毎回おもちゃ屋には、子供達が山のように集まっている。

みんなガンプラを取り合いしながら買っていたのだ。

毎回この状況は、店員も収拾がつかないのである対策が練られた。

それは、朝5時にガンプラの名前がランダムに書かれた整理券を配る方法。

おもちゃは前日に入荷できるガンプラの数が解るから、種類も分かる。

そして、みんな平等に種類の指定はできないようにした。

俺も朝5時に整理券を貰い、学校から帰ったら買いに行く日課が続いた。

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【子供たちの美徳】

ガンプラが入荷するのは、毎週木曜日。

俺は、木曜日はこっそり早起きして整理券を貰いに行った。

この時の家族の起床時間は、6:30だった。

そして帰ってくるのは、家族の起床前の6:00頃。

当然親もこの事は気が付いている。

ある時、とうとう母親に早起きする理由を問い詰められてしまった。

俺は、仕方なく正直に話した。

そうしたら行く時は必ず1声かけてから行くように言われ許可してくれた。

そして毎週木曜日は、寝ている母親を起こして1声かけていくようにした。

おもちゃ屋に行くと、毎回長蛇の列が作られている。

先頭の人達は、朝4時ごろから並んでいるらしい。

買える物はランダムなのに、そんな早くから並ぶ根性に俺は感心した。

これが、ガンダム愛なんだと。

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【遅刻】

とある木曜日。

俺は、寝坊してしまった。

起きたのが朝6:00。

この時物凄く焦りテンパって急いで支度し、走っておもちゃ屋に向かった。

でも時既に遅し、もうみんな整理券を貰い終わって家に帰っていた。

おもちゃ屋には誰もいない。

俺は、店員にもう整理券配り終わっちゃった?と半べそ状態で聞いた。

そうしたら、まだ整理券が余っているという。

俺は、この時ほど神の恩し召しを感じた事は無かった。

そして、その整理券を貰い、ホッとした脱力感のまま家に戻った。

この後、学校が終りスキップしながらガンプラを買いに行った。

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【過去はゴミ、未来は宝】

店員に整理券を見せると、整理券に書いてあったガンプラを出してくれた。

それを見た俺は、衝撃が走った!

ガンダムに似ていたが、明らかに何かが違う物だった。

その箱にかかれていた名前は「最強戦士ドン」

俺は、これが学校で噂になっていた偽物のガンダムと即解った。

俺は、店員に「これなの?!」と思わず聞いてしまった。

でも店員は、満面の笑みで「そうだよ、ガンプラだよ(*'▽')」と答えた。

大人には、ガンダムなんて解らないんだと絶望してしまった。

そういえば整理券の中には、ハズレがあると聞いた事がある。

まさにこれがそうだった。

そしてこの整理券は、貰った子がいらないと付き返した整理券だった。

朝並んでいる時、整理券をいらないという子がいて不思議に思っていた。

それは、こういう事だったんだと、今解った。

俺は、店員がガンダムと信じているのに買わないのは可哀そうな気がした。

なので俺は、仕方なく購入して帰った。

その後ハズレガンダムを持っている事は恥ずかしくて誰にも言えなかった。

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