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借り入れは確実だが、売上は不確実

思惑が先行するのは大阪万博を主導する政党によく似ているようです。

#日経COMEMO #NIKKEI

私は社内で稲盛和夫氏をテキストとして勉強会をやっていますが、丁度今月は稲盛氏の「経営問答」として「ホテルの老朽設備の大規模改修のタイミングについて」というケーススタディを使っています。

稲盛さんは「借り入れは確実だが、売上は不確実」として、設備投資で出る費用は確実に出ていくが、それによって得られると算段している売上は不確実であることを大前提にされます。

「出費と言いますか、お金を使うほうは計画通り、100%達成するのです。これだけの設備を、これだけの費用をかけて、これだけの売上でしようとするのですが、売上だけは絶対に保証できない。そして、使うお金だけは100%使ってしまう。」

そこで極力設備更新を自力あるいは小さい単位、パッチワークで行い、一方で売上拡大のさまざまな策を実行することを提案されます。

更にそれ以上に大事なのは、経営者一人がバランスの取れた売上と投資に取り組むのではなく、全員がそれぞれの立場で取り組むことをしないと、「設備投資をした、しないというのは社長やオーナーの役割で、私らには関係ない」という姿勢がもっとも禍根を残すということを示されています。

まさにこの大阪万博の社長、オーナーは誰?またこの絵空事の図面を書いたのは誰?計画に関わるコンサルタントは誰?

そうです、稲盛さんが示すように、赤字になろうがなるまいが、これらの人には関係ありません。だって計画したお金がきちんと懐に入る人たちなのです。

一方、この費用を出すのは誰?赤字になった時に負担するのは誰?

そうです。けっして入場券を買う人だけではありません。資金計画では

国庫補助金が617億円(構成比23%)
大阪府・大阪市補助金が617億円(構成比23%)
民間資金が617億円(構成比23%)
そして入場券売り上げが702億円(構成比26%)
その他収入が107億円(構成比4%)

です。国庫補助金は国民の税金、府市の補助金は府民・市民の税金、民間資本は万博跡地をIRという博打場にして食い物にしようという腹黒い企業団の手付金でしょうか。
ここまでは確実に入金はあるでしょうが、それ以外の3割を占める所はもしかしたら0円かもしれませんし、オーバーするかもしれないという不確定な部分。稲盛さんの言「売上は不確実」以外の何ものではありません。
仮に入場者ゼロでも、確実にお金を出すのがきまっているのは国民と大阪府民、大阪市民です。

一方支出は
会場建設費(施設整備費)が1180億円(構成比44%)
会場建設費(基盤・インフラ整備費)670億円(構成比25%)
運営費809億円(構成比30%)
です。

基盤・インフラはこの埋め立てた場所の整備代ですからとっくに出ていく金額。施設整備費は各パビリオンではなく、大屋根などの共通する場所の施設費用ですから、この記事にあるパビリオンはそれぞれの企業や国が負担するわけなので、もしかしたら0かもしれませんが、そうすると誰が見に来るのでしょうか?と思っていたら、欲の皮の突っ張った皆さんがおられるようです。

稲盛さんの経営問答と違い、これだけ放漫な計画をお気楽に進めるのは、万博関係者が自分の懐の金を出さないから、国民や府民・市民という他人の懐から出る金を使うからです。
ケーススタディのホテル経営者のように、借入金が返せなくなったらどうしようと真剣に悩む姿とは真反対の姿です。

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