ヒトと他の動物で決定的に違うところ
サピエンス全史を読んでいて「面白いなー!」と感じたことを少しずつ書いていきたいと思います。
※本文を薄したりはしていませんが、内容がわかってしまう部分もあるので、気になる方は閲覧を控えていただければと存じます。
読んでいてなるほどなー!と衝撃を受けたのですが、
本の中で「ヒトと他の動物で決定的に違うところ」として挙げられていたことが
「フィクション=虚構を信じられること」でした。(目の前で実際に起きていないことを信じることができる。そのフィクションを信じて一つにまとまれる・協力できる。)
これが身体的には強くない、むしろ弱いホモ・サピエンスが現在世界中に繁栄している理由のうちの一つだそうです。(ホモ・サピエンスが世界中に広がって行ってから大型動物種が激減したそうです。一番怖いのはやっぱりヒトかもしれません。)
他の動物はフィクション=虚構を信じられないけれども、
人間は信じることができるし、楽しむこともできる。これは目から鱗でした。
何を言っているのかというと、ヒトは実際に目の前で起きていないことも、見えていないことも信じることができるんですよね。だから想像もできるし、仮説も立てられる。約束もできるし、分業も高度な協力もできる。
よくよく考えてみれば、
通貨に価値を持たせるって虚構を信じていることに他ならないですよね。
「この国ではこの通貨という物質に価値を持たせますよ」という実際に存在しないものをみんなで信じています。その価値が信じられていないところでは価値をもたいことがある。(外国に行ったら使えないことなど。)
他にも小説だったり、映画だったり、実際に起こっていないものを起こっているものとして感情移入して楽しめたりすることもフィクションを信じられるから。
言い換えると、役になり切っておままごととかごっこ遊びができるのってめちゃめちゃ人間らしいことで他の動物にはできない遊びなんですよね。
お医者さんじゃないのにお医者さんごっこができたり、パン屋さんじゃないのにパン屋さんごっこを楽しめる。
俳優さんもそうですよね。婚姻関係がないのに、夫婦の役が演じられたり、パイロットじゃないのにパイロットを操縦できる。
などなど・・・
仮説を立てて行動することもある種フィクションを信じて行動できることになるのかもしれません。
ルールを守るのも守らなくてはならないというフィクションを信じられるからで、満員電車の中のヒトの数と同じ数のチンパンジーを集めて、チンパンジーで溢れかえった車両を再現したら間違いなく修羅場になります。
でもヒトは、「ルールを守ってこの状態を乗り越えたら目的地につく」という目の前で起こっていないことを信じられるんですよね。
約束もそうですよね。今目の前で起こっていないことについて思いを馳せることになります。
あとは神話だったり、言い伝えだったり、宗教だったりも人々を結束させる大きな力があると思います。
狩猟採集生活をしていた私たちの祖先の会話を妄想してみます。
A「みんなで狩りにいって、大型動物を捉えたら多くの人がお腹いっぱい肉を食えるんだ。協力してくれよ。」
(この時点では目の前に大型動物がいないとします。)
B「みんなお腹いっぱい食べられるのはいいな。協力するよ。」
こんな感じになりそうです。
もしヒトがフィクションを信じられなかったら、Aは単独で狩りにいくことになりそうです。
経験と仮説を組み合わせていくと、「気候が暖かい方にいくと植物が生い茂っていて植物性の食糧が多くある。南に移動しよう。」とか「寒いところでは植物は少なくなるけど大型動物が多くなる。食べ物の保存もしやすい。北に移動しよう。」とかアイデアが出る可能性もあります。
ホモ・サピエンスが全世界に広がって行った理由がなんとなくわかる気がします。
あとは分業もフィクションを信じられるが故に起こることだと思います。
元々は全員で行っていた狩りですが、得意不得意が出てきて、やがて分業するようになります。
狩りが得意な人、道具を作るのが得意な人に分かれてそれぞれが仕事をする。
道具を作る人は村で道具を作ることに専念していて臨場しない。
ただ、臨場したヒトしか食料が与えられないということはなく、道具も含めて捕獲に関わった全ての人に報酬が与えられる。そんな「約束」があるからそれを信じて目の前のことに取り組める。
株式会社もクラウドファンディングもそうですよね。まだ利益が出ていないものに対してお金を募って、「上手くいけば、配当金やリターンをお渡しします」というものを信じてお金を出す。
いろんなものが、他の動物にはなくてヒトにしかない力によって成り立っているんですね。
ヒトの力ってやっぱりすごいですね。
「フィクションを信じることができる」についてでした。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
サポートしていただけたら、実験用具を買うか、実験用の薬品を買うかまだ決めていませんが、生徒さんたちと授業のために使いたいと考えています。