11.おいしい店やイベントチラシ。「探検」で通院を楽しくする。
■絶品フィナンシェはどこで
そのカフェは、今日に限って「開店時刻は午後になる」と、昨日、聞かされた。マスターののぶさんが、がんの治療のために通院する日なのが理由だという。でも、会社の近くで昼食のラーメンを食べた後、口直しにコーヒーを飲みたくなり、念のために前を通ってみた。
おっ! 開いている。どうやら、病院は予定よりも早く終わったらしい。
「もう、いいですか?」
「あ、どうぞぉ」
カウンターに座りコーヒーを頼むと、開店が遅れたお詫わびにと小さな焼き菓子も出してくれた。
「病院の近くのケーキ店のフィナンシェです。その店のパティシエが作るスイーツは絶品で、病院に行くと必ず買うんですよ」
のぶさんはいつも以上に、楽しそうに話している。
「どうせ病院に行かなければならないのだから、もっと楽しくなるにはどうしたらいいかなっていつも考えているんです。病院の周囲を歩いて、おいしそうな食べ物屋や、新しくできた店などを探すのは、『探検』の第一歩ですからね」
「た・ん・け・ん……?」
フィナンシェから漂ってくるバターの香りとほろ苦いコーヒーの相性を楽しみつつ、自分の知っている病院のイメージや周辺の様子を思い浮かべてみた。通院なんて、はっきり言って楽しいものではない。そのために通う道が探検先だなんて、まったく思いつかない。
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読売新聞ヨミドクターでは読みやすさが定評。その連載内容を含め、今日からできるアイデアが満載。もしかしたら、あなたの人生が、生き方が変わるかもしれません。
のぶさんのペイシェントカフェ
500円
和モダンカフェ。マスターとの会話。マスターは患者の立場から今の医療をうまく活用しているノウハウを、コーヒーとともにあなたに教えてくれる。「…
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