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なつかしの東北沢へ。稲岡亜里子さんの写真展へ行きました。

2021年10月、憧れの写真家である稲岡亜里子さんの展示が下北沢のGreat  Booksで開催されました。まだまだわたしが写真をライフワークにすることなど考えていなかった20代前半の頃、今はなき『BiRD』という雑誌を通して稲岡さんのことを知りました。

『BiRD』はTRANSIT系列の雑誌で、いつも素晴らしい写真家の方々のお写真が表紙を飾り、中を開くとまた写真集のように美しい貴重な雑誌でした。その中でもアイスランド特集の号で表紙を飾っていた稲岡さんのお写真を見たときに『あ、わたしが好きなのはこの美しさだ』と一目惚れして、今でも心から離れない程、ずっとずっと稲岡さんの写真が大好きです。

中古品はたくさん販売しているようですね。貴重すぎてもう一冊欲しい…。

寒そうな空気と太陽のみえない空、グレーとブルーが混ざり合った世界が美しくて。東北に移住して自然に写真を撮りたいと思ったのは、稲岡さんの写真から受けた影響だったのかもしれません。これほど好きな写真家さんの展示、遠方だから、コロナ禍だからといって諦めることは出来ず、見に行くことにしました。

展示は下北沢のGreat  Booksというギャラリーで行われていて、私が以前住んでいた東北沢のアパートから歩いて5分ほどの距離でした。せっかくなので少し散歩。20代女子、東京、一人暮らしの楽しく忙しく寂しい記憶が蘇り、あの頃は充実していたけれど、苦しかったなあと、身体中からこぼれる思い出を以前よりも舗装された道に落としながら歩いている気持ちになりました。

そんなノスタルジック散歩を終え、いざ稲岡亜里子さんの展示へ。目の前にずっと憧れていた作品群がある。なんとも言えない、恋心と同じような、背筋に緊張が走るようなざわめいた感動でした。プリントの質感や色味は思っていたのと少し違いました。これは、実際に観てみないとわからないことでした。

アイスランドに住む双子の少女たちを写した作品群"EAGIE AND RAVEN"。本や雑誌だと真ん中に折れ線が入ってしまうものが1枚で見れるだけで嬉しかった。

写真集の装丁も美しいです。最後に書かれている詩とLUCAさんの和訳にも心底感動しました。

稲岡さんは現在京都で実家のお蕎麦屋さんを継がれているそうです。そんな背景もあり、もう何年も前に出会ったこの作品を、展示として観れる日がくるなんて思ってもみない出来事だったので、夢のようでした。開催して頂いたことに感謝。

最近、TRANSIT京都の表紙を飾っていたお写真も素敵だなあ。


世の中には、沢山の写真が溢れているけれど、心の底から良いと思える写真はそう多くはないと思います。稲岡さんのお写真に出会えた人生でほんとうに良かった。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!