僕の人生の旅路と、共に歩む仲間を探しに3.それでも、僕は働く
それでも、僕は働く
2014年、会社が不祥事を起こした。販売店にも生卵が投げ込まれる異常事態の中、僕はただ謝ることしか出来なかった。
変わるのは今しかない。
そうして始まった社内再生チームに参加させてもらった僕は、大好きな会社のために、タブー無しで向き合った。それはある意味、これまでの自己を否定することでもあったけれど、僕はこの組織のために相応の覚悟はできていた。
本気の議論を経て「販売店を地域になくてはならない存在にする」を合言葉に、シニアのお困りごとをサポートする機能を全販売店に実装するという意思決定がなされた。これで、もしいつか紙の新聞が無くなったとしても、販売店は商売を続けることができるだろう。
「取引先は、今まで頑張ってきてよかったと言ってくれるかな」
あのころ、そんな期待感に包まれていたのを思い出す。
(朝刊配達の準備風景。早起きは大変だけど、朝を独り占めしたような気持ちになれる)
けれど、再生を目指し意思決定したはずの取り組みは、残念ながら頓挫した。これは僕からの見え方であって、より高い視座にいる方々は、より複雑な条件の中で、きっと最善の意思決定をしたのだと思う。
組織が変容するのは本当に難しくて、「変わらない」という残酷な現実を前に、非力さや無力さをつくづく感じたけれど、会社という一つの生命体はただ、僕の願いとは違う意思決定をしただけなのだと、今はそう捉えている。
「うちも同じだよ」
「私の会社もそうだった」
そんな言葉が、本気で組織に向き合っているたくさんの方々から届いた。どの組織にも、同じ痛みがあった。
東京に生まれ、秋田に育ち、同じだけの時間を新聞社で過ごした。喜びや達成感よりも、悔しさと挫折感のほうが大きいけれど、こんな人間にも役割と居場所を与えてくれた会社の懐の大きさに、心から感謝している。けれど僕は、感じたことを率直に言い合えるポジティブなコミュニティで、失敗を恐れずチャレンジし、それによって世界に貢献したい。人生の目的やビジョンと、組織のビジョンを共鳴させたい。
70歳定年どころか、生涯現役になるであろうこれからの時代。働き方はそのまま生き方になる。だからこそ、個人と組織の関係はイコールで、正直でありたい。組織のために心と身体をすり減らすことを、親やパートナーはあなたに望むだろうか。かけがえのないあなたの人生を浪費することだけは、してほしくない。
世界一大切な息子にも、僕は心からそう願う。
ここまで読んでくださった人にも、そうでない人にも、
素晴らしい今日がありますように。
ありがとうございました。
続きます。
その4 僕の決心
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