小児科と、ピアノ教室の共通点

「この子、ADHD(注意欠陥・多動症)なのですが・・・それでも、ピアノを教えていただけるでしょうか?」

お母さんは、不安げに私に尋ねました。

今から2年ほど前のことです。Aくんは、病院でADHDと診断されました。お母さんは、そんなAくんにぜひ特技を、と、ピアノを習わせたくなり、私の教室 にやって来られたのです。

当のAくんは、ニコニコしながら「ピアノ、やりたい!」と、やる気満々。


そして翌週から、Aくんのレッスンが始まりました。多少、落ち着かないところがありますが、私は一切、叱りません。むしろ「Aくん、元気だね!」と、褒めまくりました。


とはいえ、なかなか集中力は持続しません。そこで、短い時間で音楽に興味が持てる「音符のフラッシュカード」のようなものを作りました。

また、Aくんが好きな歌を、片手でも弾けるようにアレンジした、特製の楽譜を作りました。


その甲斐あってか、Aくんはだんだん落ち着き、ピアノもグングン上達しました。

でも、お母さんの不安は、なかなか抜けません。


「お医者さんには、『ピアノは習ってもいいけど、上達しませんよ』って言われました」

「ママ友からは、『音楽だと、落ち着きがなくなるんじゃないの?お勉強をさせた方がいいかも』って言われました」


と、レッスンのたびに、不安を口にされました。

でも、私は

「大丈夫ですよ!私に、まかせてください」

と、繰り返しました。


今では、Aくんは集中力がつき、60分のレッスン中、ずっとピアノに向かっています。


お母さんの不安。それは、往々にして、子どもに伝染してしまいます。


以前、ある小児科の先生から聞いたのですが、なかなか病状がよくならない子がいた。いろいろな治療法を試してみてもダメ。

そのうち、お母さんが子どもをネグレクト(育児放棄)していることがわかった。

それ以来、彼は、お母さんも一緒に治療しよう。お悩みの相談相手になろう、と決心したそうです。


お子さんの前に、まずお母さん。

これは、小児科も、ピアノ教室も、まったく同じです。


仮に先生が男性だとしても、小児科とピアノ教室の先生には、ある意味、

「母性的」

な感覚が、必要だと感じます。


最近読んだ本。とても共感しました!

慈愛に満ちた文体で書かれています。

子育てでお悩みのお母さんは、この本を手に取られたらいかがでしょうか?

↓     ↓     ↓


オンライン音楽教室を運営する会社を経営しています。他に、ピアノの先生の学校学長、作曲家・ピアニスト、オーケストラ指揮者。最近、スポーツジムにハマってます!http://himawari.ishikawa.jp