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『ハムレット』にも出てくる恋愛テク 「間欠強化」とは?

「恋愛に使えるエビデンス」マガジン

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『ハムレット』に出てくる恋愛テク「間欠強化」

『ハムレット』に出てくる長広舌の侍従長(じじゅうちょう)、ポローニアス(Polonius)。彼は息子のレアティーズ(Laertes)に向けた贈る言葉でも聴衆の胸に響かせるのですが、娘のオフィーリア(Ophelia)にも、ハムレットととの色恋沙汰について、こんな言葉を教訓としてかけます。

“なにごとも控えめにな。お求めならば、いつでもお話相手を務めまするでは、あまりに見識がない。もっとお高く構えて、時には会うて差し上げるくらいが良いのだ”

現代なら「ツンデレ」という態度が、これに相当するのではないでしょうか。ツンとしたり、ときにはデレッとしたり、予測の出来ないリアクションに思いを寄せる側は翻弄されます。これ、心理学では「間欠強化(かんけつきょうか)効果」と言います。

間欠強化効果

間欠強化効果(Intermittent reinforcement effect)とは

不定期に報酬を与えることで、被験者から最大の努力を得られると判断される方法です。被験者は、望ましい行動をしても、規則的に報酬を受け取るのではなく、不規則な間隔で報酬を受け取ることで、望ましい行動がより強化されます。簡単に言うと、毎回報酬がもらえるときよりも、ときどき報酬がもらえるときのほうが、人間はのめり込みやすくなるというもの。

https://whatis.techtarget.com/definition/intermittent-reinforcement

さきの『ハムレット』のポローニアスの言葉を今一度、とりあげると「時には会うて差し上げるくらいが良い」ということ。そのほうが、相手が夢中になる可能性が高くなるということです。これは、ギャンブル依存症やゲームのなかにもみられるものです。

間欠強化はギャンプルにもゲームにも使われている

不確実で不規則な報酬こそ人間をのめり込ませる…

ギャンプルは、不規則な報酬があるもの。勝ったり、負けたり。それゆえにのめり込みます。オンラインゲームなら「ガチャ」に、この「不規則な報酬」という要素が含まれています。それゆえに何度もトライすることになります。このとき、脳内で大量に分泌されているのが、ドーパミンです。ドーパミンは、恋愛、ゲーム、依存症、ギャンプル、AVなどをしているときに出る神経伝達物質のひとつ。

ドーパミンを多幸感を生み出す快楽の神経伝達物質と紹介されていることがありますが、それは間違い。正確には「多幸感が得られそうで、得られない焦りやジリジリした気持ち」を生むのがドーパミンです。ちなみにパーキンソン病の治療には、ドーパミンが投与されることがあり、その結果、今まで真面目だった人が急にポルノやギャンプルにはまってしまうという症状が現れてしまうこともあります。

依存症を形成する仕組みや夢中になる仕組みに詳しいのはこちらの3冊。


間欠強化はオペラント条件付けのひとつ

オペラント条件付け(operant conditioning)とは、報酬や罰などの刺激に適応して、自発的にある行動を行うように学習することです。行動主義心理学の基本的な理論のひとつ。1938年に、アメリカ合衆国のバラス・スキナー(Burrhus Frederic Skinner。スキナー箱のスキナー博士)が、マウスやハトを用いて体系的な研究を開始したもの。スキナー箱とは、マウスが餌が出るレバーを押すように自発的に行動(operate)するようになることを観察する代表的な実験装置です。

イワン・パブロフによる有名なパブロフの犬は、古典的条件づけで、その反応は、自発的ではなく、オペラント条件付けは、自発的な行動で、これが両者の違い。古典的条件づけは、遺伝的に組み込まれた反応(唾液が出る)と、無関係な反応(ベルの音)とを結びつけるもの。

恋愛における間欠強化効果

人間は、不定期に報酬が得られるものに対して夢中になります。間欠強化に関連して「ツンデレ」という表現がよく使われますが、これはツンとしていたり、デレっとしたりが、不定期なことを意味したもので、こういう反応に相手は夢中になるかもというのが、恋愛における間欠強化の例です。

メールや連絡にときどき返事をする。または、いつも返事をくれていたのに、ときどき返事が来なくなる、というものに人は惹きつけられてしまいます。このように継続して相手を引きつけるのに有効なのが、間欠強化。ちなみに習慣を形成するのには、連続強化と言って、継続的に繰り返すほうが有効です。

DVの被害者も間欠強化を受けている?

日頃厳しく虐待を受けるも時折やさしくされる、という態度から抜け出せなくなる関係のなかにも、この間欠強化が観られます。なので、パートナーにDV傾向があり、自分がその関係から脱することができないときは、この間欠強化効果というものを思い出してみましょう。そうするとメタ認知といって、自分を外部から見るような視点が生まれ、冷静さが湧いてきます。

メタ認知とは

簡単にいうと、自分の感情や思考に「…とわたしは思っている(感じている)」と付け足す時発生する視点です。認知している自分を認知する、それがメタ認知。ハマっているときには、視点が第一階層にありますが、メタ認知は、その階層を上からみる第二階層に移動します。この視点から判断することは、より冷静で合理的なものになります。

まとめ

好きな人から連絡が来たら、すぐに返事をしたくなりますが、そこをぐっと堪えるとこの「間欠強化効果」が現れるかもです。でも、みているとマメな男の人って、モテている気がするんですよね(笑)。レスの速さに人は喜ぶから、ある程度の連続強化してから、ときどき間欠強化を使ったほうが良い気がします。最初から間欠強化をしていると「この人、連絡してもあまり返事こないし、もう良いや」ってなるかも?

恋愛は、小手先のテクニックよりも、生きぬく力や清潔感などの総合的なものが成就に関わってくるものなので、テクニックについては頭の片隅においておいて、まずは人生を謳歌する方向で力を注ぐほうが良いかもです!?

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参照

※1:intermittent reinforcement

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